【植木靖男の相場展望】 ─ 10月安値が先行きを占う分岐点
「10月安値が先行きを占う分岐点」
●早期の中間反騰シナリオは後退
東京市場は、ここへきてようやく落ち着きを取り戻すかにみえたが、12月のSQの日に急落したことをみれば、先行き早期に中間反騰態勢に入るとみるのは無理筋のように思われる。
今の株価水準の立ち位置を確認しておきたい。
日経平均株価は10月2日高値からほぼ1ヵ月経過した10月29日に2万1149円の安値(終値ベース)をつけたあと、上値2万2500円、下値2万1000円処のレンジ相場に終始している。投資家にとっては1カイ2ヤリの苦しい戦いを強いられているのが現状だ。しかし、多くの投資家が1カイ2ヤリでは商売にならない。そこに長期投資家が介在してこその1カイ2ヤリだからだ。
さて、気にかかるのは、10月安値からすでに2ヵ月が経過しつつあるのに、いまだ10月安値を下回っていないことだ。
先行きを占う意味で、下回っていないことがプラスかマイナスかは定かではないが、ちなみにNYダウ平均は、10月安値後上げ下げを繰り返しながらキリもみ型で下落して新たな下値を模索している。
仮に、これまでのように日経平均が米国株の後を追いかけるとすれば、早期に10月安値を下回るとみることもできる。
もっとも、下回るにしても本年3月安値2万0617円を割るリスクは小さいだろう。
なぜなら、17年末頃より上値2万4000円、下値2万円のレンジ相場が依然続いているからだ。
●勝負は上昇株察知のスピードに
ともあれ、当面の株価を見通すと、安値を下回れば師走相場は騰げても上限は低く、限定的といえよう。逆にプロにとっては腕の振るいどころといえよう。
1カイ2ヤリ相場であれば、いかに人より早く上昇銘柄を察知するかが勝負となる。
では、当面の物色銘柄はなにか。現在の相場には、柱となる業種が見えないのが特徴ともいえる。
いわゆる個別材料株相場だ。ただ、ここ一両日、武田薬品工業 <4502> の台頭が著しい。過去の経験則からみて、医薬品株は全体が天井を打ったあと上昇することが多い。
加えて、認知症治療薬のエーザイ <4523> 、インフルエンザの塩野義製薬 <4507> 、新興市場からは再生医療のサンバイオ <4592> [東証M]、精神・神経障害治療薬のそーせいグループ <4565> [東証M]とエース級が目白押しだ。
こうしたなか、武田は売買代金で首位になるなどの大賑わいをみせてもいる。大型買収を巡っては強弱感が対立、久しぶりに大型株が仕手化する公算もあろう。注目したい。
このほか、キヤノン電子 <7739> も面白そうだ。宇宙関連として名乗りを挙げているが、将来が楽しみだ。売買急増をみせている鎌倉新書 <6184> 。19年1月期営業利益予想を上方修正した。いずれも1カイ2ヤリ候補銘柄だ。
2018年12月14日 記
株探ニュース