窪田朋一郎氏【年末年始も荒れ模様? 日経平均の行方を読む】(1) <相場観特集>
―FOMC、ソフトバンク上場など注目イベント目白押し―
週明け17日の東京株式市場では、日経平均株価が反発に転じた。前週末の米国株市場ではNYダウが500ドル近い下げをみせたものの、これに先立ち前週末の日経平均は米株価指数先物を横にらみに水準を大きく切り下げていたこともあって、買い戻しが優勢となった。しかし、全体地合いは決して楽観できる状況とはいえない。今週はFOMC(米連邦公開市場員会)や超大型IPOであるソフトバンク <9434> の東証1部上場など注目スケジュールが多いが、これらを含め年末年始の相場をどうみるか、先読みに定評のある市場関係者2人に見通しを聞いた。
●「ボックス相場継続で上値は2万2200円がメド」
窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)
日経平均など一部の指数は強いものの個別株をみると値下がり銘柄数が多く、足もとの地合いは良いとは言えない。過去には主力株が弱くても中小型株は強いという局面もあったが、きょうはマザーズ市場など新興市場も売り圧力が強く、個人投資家マインドは盛り上がりにくい状況だ。ただし、全体観として下値を売り込むような環境にはない。日経平均は年末年始も基本的にボックス圏の往来が続く公算が大きい。
今週は何といっても18~19日に行われるFOMCに対するマーケットの視線が熱い。12月の利上げについては織り込みが完了しており、問題は来年の利上げ見通しだ。これまでの市場コンセンサスでは年3回というのがメインシナリオだったが、現状は1回ないし2回に変わってきた。世界景気減速への懸念は中国や欧州などの経済指標から現実味を帯びているが、もし来年の利上げが1回という見方が強まれば、米株市場にはポジティブで株価上昇の足場となるだろう。
もっとも、この場合は外国為替市場でドル売り要因となり、ドル安・円高に誘導されやすいことで“痛し痒し”の部分がある。米株高イコール日本株高とはならず、為替の円高警戒感が日経平均の上値を押さえることも想定しておく必要がある。ボックス相場のレンジは下値2万900円、上値が2万2200円前後とみている。
また、今週は過去最大規模のIPOであるソフトバンクの上場も控えるが、同社株への評価は機関投資家と個人投資家で見方が分かれているようだ。個人投資家にすれば高配当利回りは魅力で保有の根拠となるが、成長性に対する見解が株価にどう影響するかは未知数だ。いずれにしても初値形成を含めセカンダリーの値運びが全体相場に与える影響は小さくないといえる。同社株の上場に伴い新たな投資資金を誘引することで、仮に同銘柄の回転が効くようなら、全体相場にもプラスに働くだろう。
全体相場の物色対象としては、当面は内需系のディフェンシブ銘柄が有利。政策が追い風となる建設のほか、一部の値がさの小売関連株に取り組み妙味がある。また、このほかでは地味ながら電力・ガス関連株が継続的な買いを集めており、注目が怠れない。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウオッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。
株探ニュース