来週の相場で注目すべき3つのポイント:英EU離脱合意案の議会採決、米企業決算本格化、米政府機関閉鎖問題

市況
2019年1月12日 19時37分

■株式相場見通し

予想レンジ:上限21000-下限19500円

来週の日経平均は20000円台を固める展開が見込まれる。NYダウは現地4日から10日の5日続伸で1315ドル超の上昇幅を見て一服のタイミングが見込まれ、日経平均はこれに影響を受けて伸び悩む可能性がある。先の米中通商協議では明確な合意がなく、次回の主席交渉官協議へと持ち越しになった。米予算を含む政府機関閉鎖、米金融政策、欧州政治リスクと不透明要因が重なる中で、日経平均は為替動向に影響を受けやすくなることが予想される。また、再来週21日はキング牧師誕生記念日で米国市場は3連休を控えていることも週後半の見送りムードを高めることにもなりそうだ。ただし、テクニカル的にみた日経平均は7日以降、上昇中の5日移動平均線上での推移を堅持しており、基調的には水準訂正高の動きが継続と見ることができる。20800円近辺に低下してきた25日移動平均線が目先の上値メドとして意識されるが、21000円近辺までは昨年12月に短期で急落した価格帯にあることから、買いのエネルギー次第では戻りに弾みが付く可能性もある。

物色的には、主要3月期企業の第3四半期決算発表を21日からの週に控え、来週は4営業日であることも相まって手掛かり材料に欠ける週となろう。3月期決算企業および設備投資、中国関連株の指針となる安川電機<6506>は、10日に通期予想を下方修正したものの、株価は織り込み済みとなって売り買いが交錯した。また、主要上場企業の第2四半期(4-9月)決算時の想定為替レートは1ドル約110円、12月調査の日銀短観による想定為替レートは1ドル109.41円であり、現状の為替はこれよりも円高となっていることから、主力ハイテク株も買いが続きにくい。米国では14日にシティ、15日にJPモルガン、16日にバンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックスと金融株を先陣に決算発表が本格化する。なお、アップルの決算発表予定は29日だ。決算を控えて大型株が動きにくい中、中小型株の個別株物色が継続されそうだ。

■為替市場見通し

来週のドル・円は下げ渋りか。米連邦準備制度理事会(FRB)が9日に公表した連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(昨年12月18-19日開催分)によると、多くのメンバーが株安への懸念から追加利上げに慎重姿勢を示したことが判明した。それにより、米国経済の減速感が強まり、年内利上げ観測は後退した。

パウエルFRB議長はその後の講演でバランスシートの正常化について言及したものの、来週発表される小売売上高やフィラデルフィア製造業景況指数などの経済指標が低調だった場合、ドル買い意欲は弱まりそうだ。英国の欧州連合(EU)離脱合意案が15日にも議会採決されるが、議会承認を得られない場合は政局混迷でリスク回避の円買いに振れる可能性があろう。

しかしながら、貿易・通商問題を巡る米国と中国の対立は解消されつつあるとの期待が広がっており、リスク回避的な円買いは一服している。米政府機関の閉鎖は続いており、完全再開の保証はないものの、米下院は11日、連邦政府機関の再開に向けた法案を賛成多数で可決した。共和党のマコネル上院院内総務は上院で「同法案を採決にかける意向はない」と表明したが、トランプ大統領の決断次第では、早期再開の可能性は残されており、ドルに対する支援材料となりそうだ。

■来週の注目スケジュール

1月14日(月):株式市場は祝日のため休場(成人の日)、中貿易収支、露日外相会談など

1月15日(火):日本工作機械受注、欧貿易収支、英EU離脱合意案の議会採決など

1月16日(水):機械受注、対米証券投資収支、米小売売上高など

1月17日(木):ユーロ圏CPI、トルコ中央銀行が政策金利発表、米住宅着工件数など

1月18日(金):欧経常収支、米鉱工業生産指数など

1月19日(土):第1回TPP委員会(閣僚級)

《SK》

提供:フィスコ

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