高橋春樹氏【米経済好調でリスクオン、日経平均の上値は】(2) <相場観特集>
―決算発表を絡め思惑が入り乱れ、舵取りに難しさも―
週明け4日の東京株式市場では、日経平均株価が続伸。注目された米1月の雇用統計など好調な米経済指標が投資家のセンチメントを改善させ、リスク選好の流れのなか、外国為替市場でもドル高・円安が進行して全体相場を後押しした。今週は週末にオプションSQを控えるなど先物主導で思惑含みの値動きも想定される。企業の決算発表も中盤に入り、個別株の明暗も分かれている。ここからの相場展開をどう見るか、先読みに定評のある市場関係者2人に当面の見通しを聞いた。
●「2月中にも日経平均は半値戻しの2万1700円奪回へ」
高橋春樹氏(三木証券 取締役 商品本部長)
2月の東京株式相場の動向を展望する場合、上昇トレンドを維持できるかどうかは二つの条件に集約される。一つ目は、米国株式市場でNYダウ平均株価が堅調な推移を保てるかどうか。二つ目は、外国為替市場で、円安・ドル高基調が定着するかどうかだ。
NYダウは、既に昨年10月の過去最高値から、同12月下旬の安値までの下落幅の半値戻しを大きく上回る水準に回復し、順調な戻り歩調にある。米連邦準備制度理事会(FRB)が、先行きの金融政策のハト派路線への軌道修正を断行し、株式市場がこれを好感していることに加え、米1月の雇用統計など最近の主要経済指標の内容を見ると、昨年12月に高まっていた米景気失速懸念もやや後退しつつある。今後しばらくのNYダウは、一目均衡表の雲(抵抗帯)の下限と予想される2万4700ドルから上限の2万5700ドルのレンジで推移するものと想定している。
一方、外国為替市場の円相場は、FRBの先行き金融政策の軌道修正で米金利の年内の利上げ休止観測が浮上しているものの、米株式上昇による投資家のリスク許容度の高まりなどを背景に1ドル=110円台の円安・ドル高基調が定着する可能性がある。こうして、米株式市場の堅調持続と円安・ドル高基調の定着という条件が整えば、日経平均は2月中にも、昨年10月につけた昨年来高値から同12月の昨年来安値までの下落幅の半値戻しに相当する2万1700円水準の回復が達成できそうだ。
今後の物色対象としては、世界的なレベルでの構築が待ったなしとなっている5G(第5世代移動通信システム)に対応した設備投資関連の銘柄。また、中期的には花王 <4452> 、リクルートホールディングス <6098> 、ヤマトホールディングス <9064> といった安定成長の期待できる内需系の優良銘柄。更に、ディフェンシブの色彩が強く底堅い株価推移が想定されるJR各社などにも注目したい。
(聞き手・冨田康夫)
<プロフィール>(たかはし・はるき)
1977年岡山大学法文学部卒業・第一証券入社。1999年第一証券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。
株探ニュース