清水三津雄氏【米中貿易協議に光明、リスクオン相場は続くか】(2) <相場観特集>

特集
2019年2月25日 19時20分

―3月相場入りが目前、ここからの見通しと投資戦略―

25日の東京株式市場は主力株をはじめ広範囲に買いが及んだ。日経平均株価は前週に週間ベースで500円以上の上昇をみせており、目先買い疲れ感も意識されるところだが思った以上に上値指向は強い。売買代金は低調ながら、今は市場エネルギーの乏しさが売り圧力の弱さに反映されている。ただし、実質3月相場入りを目前に投資家のセンチメントが改善傾向にあるとはいえ、リスク要因も依然として横たわることに変わりはない。果たしてこの順風地合いは続くのか。経験豊富な市場関係者にここからの相場展望と物色の方向性について聞いた。

●「夏場に向け上昇基調へ、出遅れは徐々に解消に」

清水三津雄氏(アイザワ証券 市場情報部 日本株ストラテジスト)

日経平均は足もとで上昇しているが、NYダウに比べて出遅れ感が目立つ。外国人投資家も現物ベースでは売り越しが続いている。

これは、日本は今年10月に消費増税を控えているほか、中国の景気動向などが懸念されている面があるだろう。また、今春からは日米物品貿易協定(TAG)交渉が始まることも予想され、同交渉が自動車業界や為替面へ影響を及ぼすことが警戒されている面もありそうだ。

ただ、この日本株の出遅れは徐々に解消されていくとみている。夏場にかけて日経平均は2万4000円乗せもあると予想する。

まず4月の統一地方選や7月の参院選を視野に入れた政府の経済対策の効果が出てくることが見込まれる。すでに補正予算が打たれており、その効果はこれから顕在化する。また、今年は「10連休」や「改元」が消費を押し上げることが期待できるほか、夏場にかけ消費増税に絡む駆け込み需要も見込めるだろう。

こうしたなか、年度末の3月月末に向けて日経平均は2万2500円前後への上昇を予想する。下値は2万円程度。TAG交渉への懸念で下落すれば、そこは買い場だろう。

個別テーマでは、4月からの働き方改革関連法の施行に注目している。非正規社員への福利厚生を改善する動きはベネフィット・ワン <2412> などに追い風となるだろう。また、今春の10連休は、エイチ・アイ・エス <9603> など旅行代理店にはプラスに働く。更に、政府の経済対策に絡み国土強靱化やインフラ整備に関係する大林組 <1802> や奥村組 <1833> 、ショーボンドホールディングス <1414> といった建設株の活躍にも期待したい。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(しみず・みつお)

アイザワ証券日本株ストラテジスト。歯切れの良さと分かりやすい説明に加え、ピンポイントの銘柄分析に定評がある。セミナー講師を年間50回以上務め、個人投資家との対話が好評を博す。「ラジオNIKKEI」「日経CNBC」「ストックボイス」にレギュラー出演中。

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