来週の株式相場見通し=波乱含みも買いに分がある展開か、金融相場の色彩も

市況
2019年5月10日 18時08分

来週(13~17日)の東京株式市場は、米中両国間の貿易摩擦が再び先鋭化するなか、先物主導で波乱含みの展開もあり得るが、一段と悲観に傾くことは想定しにくい。今週の4営業日で日経平均は既に900円を超える下げをみせていることもあって、自律反発のターンに転じる公算は大きく、総じて買いに分がある地合いが予想される。来週の日経平均の想定レンジは2万900~2万1900円とする。

トランプ米政権は日本時間の10日午後1時1分に、中国製品2000億ドル分に対する制裁関税を10%から25%に引き上げた。順調に進んでいるとみられた米中貿易交渉が幻想であったことに対するマーケットの失望も大きなものとなったが、それも10連休明けの4営業日(7~10日)でかなりの部分織り込みが進んだと判断される。関税引き上げに伴う中国景気への影響というよりは、中国が報復措置を打ち出すことで再び貿易摩擦問題が泥沼化し、世界経済が一段と変調をきたすというのが悲観のメインシナリオだ。

しかし、株式市場は世界経済の減速に対する懸念と表裏一体で、世界的に金融政策がハト派寄りに傾いている現状を心地よく感じている部分もある。むしろ、今の金融相場の再来ムードを歓迎しているフシもあり、“マーケットの本音”を見逃さないことが肝要だ。

「何事も行き着くところに落ち着くものである」とは、『ガルガンチュア物語』の著者として有名なラブレーの言葉だ。凡庸なようで、けだし至言である。世の中が波乱の様相を呈しても時間が経てば、必ず波はおさまり凪の状態が来る。これまでの経緯を顧みれば米中摩擦もその繰り返しである。金融緩和に伴う世界マネーの流動性の高まりを底流に、来週の株式市場は戻りを試す舞台へと回りそうだ。

一方、個別では引き続き企業の決算発表を絡め明暗を分ける展開が予想される。なお、本格化している決算発表も週半ば(15日・水曜日)で一巡することで、週後半以降は中小型のテーマ株物色の動きが再燃する可能性がある。買い場提供となっている銘柄は多く、チャートなどを参照にして冷静に有望株を選別したい。

日程面では、国内は4月上中旬の貿易統計、3月の景気動向指数速報値(13日)、4月の景気ウォッチャー調査(14日)、4月のマネーストック(15日)、4月の企業物価指数(16日)などが注目される。

海外では、3月のユーロ圏鉱工業生産、4月の米輸入物価指数(14日)、4月の中国小売売上高・中国固定資産投資・中国工業生産高、4月の米小売売上高・米鉱工業生産指数、5月のNY連銀製造業景気指数(15日)、3月のユーロ圏貿易収支、4月の米住宅着工件数、5月の米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(16日)、EU経済財務相理事会、5月の米消費者態度指数、4月の米景気先行指標総合指数(17日)などがある。(中村潤一)

出所:みんなの株式(minkabu PRESS)

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