石川久美子氏【要警戒? 続伸も上値重い日経平均そのココロは】(2) <相場観特集>

特集
2019年5月20日 19時15分

―対米通商摩擦への懸念と意識される国内経済の不透明感―

週明け20日の東京株式市場は日経平均株価が続伸した。しかし、上値の重さが意識され、朝方に2万1400円台に買われたものの、その後は戻り売りに伸び悩む展開を余儀なくされた。電機や機械、鉄鋼など景気敏感セクターが安く、個別ベースでも値下がり銘柄数は1200あまりに達するなど下値を探る動きが目立った。米中摩擦問題に対する不透明感が強いほか、近く日米間の貿易交渉も始まることで、警戒ムードは拭えない。株式市場全般の見通しや為替の動向について第一線で活躍する市場関係者3人に話を聞いた。

●「米中協議や米金融政策に注目、ドルは横ばい圏推移も」

石川久美子氏(ソニーフィナンシャルホールディングス 金融市場調査部 シニアアナリスト)

この日発表された1-3月期国内総生産(GDP)は、プラス成長を維持した。しかし、消費や設備投資は弱く、内容的には良くないだけに消費増税に関する議論を含め依然、先行きには不透明感は残るだろう。

このなか、当面のドル円相場は米国と中国の貿易摩擦や米国の金融政策の見通しなどに左右される展開となりそうだ。今後1ヵ月程度の相場のレンジは1ドル=108円50~111円40銭前後を見込む。トレンドは110円ラインを中心とする横ばいだろう。

米中に関しては、来月下旬の20ヵ国・地域(G20)首脳会議で、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席の間で会談があるかが焦点。また、今月下旬に日本も米国との間で通商問題に関する閣僚交渉が行われる。米中および日米の交渉での展開が注目される。

来月18~19日に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)を視野に米経済指標なども関心を集めそうだ。米金融政策に関して、市場は今年と来年の利下げを予想しているが、直近のFOMCでは今年は横ばいで来年は利上げが想定されている。この認識ギャップがどうカバーされるか注目されそうだ。

ユーロドルは1ユーロ=1.1000~1.1270ドル近辺を見込む。トレンドはユーロ安だろう。欧州の景況感は良くないうえに今月下旬の欧州議会選挙では、極右政党が躍進する可能性もあり、このことがユーロ安要因となることもあり得る。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(いしかわ・くみこ)

商品先物専門紙での貴金属および外国為替担当の編集記者を経て、2009年4月に外為どっとコムに入社。外為どっとコム総合研究所の立ち上げに参画。同年6月から研究員として外国為替相場の調査・分析。レポートや書籍、ブログなどの執筆、セミナー講師、テレビ、ラジオなどのコメンテーターとして活動。2016年11月より現職。外国為替市場の調査・分析業務を担当。

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