SOU Research Memo(1):世界を視野に成長を続けるラグジュアリーリユースカンパニー

特集
2019年5月29日 15時01分

■要約

SOU<9270>は、ブランド品や貴金属、骨董・美術品など高額なラグジュアリーリユース品の買取と販売を行っている。Webマーケティングによる訴求、買取専門店による買取、オークションによる販売、商品管理システム「SOU Brain」によるデータ重視の経営など、従来のラグジュアリーリユース業界になかったビジネスモデルとなっている。こうしたビジネスモデルを背景に同社は急成長を続け、設立後わずか7年で株式を上場するに至ったが、さらに、海外販路拡大、小売のオムニチャネル化、アプリ開発など業容の広がりを見せている。デジタルとリアルを融合し、新たな視点からサービスを提供する同社のビジネスモデルは、レガシーなリユース業界の中で、極めて独自性が強く差別化されたモデルと言うことができる。

同社は、Webマーケティングを駆使して多くの売り手を集客し、全国各地に配置された「なんぼや」を中心とする63店舗(2019年2月末時点、以下同)もの買取専門店で大量の商品を買い取っている。買い取った商品は平均2日で本部に集約され、検品・メンテナンスののち当月~翌月の業者向けオークションにてその多くを販売しており、安定した高回転の商売となっている。一部小売による販売もあり、ヴィンテージ品などを中心にラインナップした高級ラグジュアリーリユース店のほかECも運営、オムニチャネル化を進めている。このように、同社は集客力、買取力、販売力という3つのチカラを高速で回すことで成長してきた。そして3つのチカラの中心にあるのが、同社ビジネスモデルのコアとも言える商品管理システム「SOU Brain」である。また、こうしたWebや自社システムの利用といった同社のITリテラシーの高さも、従来のラグジュアリーリユース業界にはない大きな特徴と考えられる。

2019年8月期第2四半期の業績は、売上高18,956百万円(前年同期比23.2%増)、営業利益1,152百万円(同3.3%減)となった。営業利益は減益だが、利益進捗率が52%程度あり会社想定線の着地だったもようだ。営業減益要因は、12~1月の円高により国内オークションに参加する海外向け販売業者の買取意欲がやや下がったことにあり、現状では回復しているようだ。2019年8月期の業績見通しについて、同社は売上高35,650百万円(前期比13.1%増)、営業利益2,200百万円(同17.2%増)を見込んでいる。利益進捗率が順調なこと、仕入れが好調であるであることなどから、同社は2019年8月期業績見通しを「保守的想定」としている。

経営ミッションの「世界中の“価値”をオープンにし、ライフスタイルをスマートにする」と、経営ビジョンである「ラグジュアリーリユースカンパニーからグローバルラグジュアリーデータカンパニーへ」を実現するため、買取拠点の拡充、海外買取・販売の強化・拡大、資産管理アプリ「miney」の機能向上に取り組んでいる。まず買取拠点を拡充することで、国内既存ビジネスを安定的に伸ばす方針である。海外では、ネットオークション主体に販売を伸ばす考えで、さらには買取拠点の展開も進めていくようだ。「miney」は利便性向上によって使用を促進し、個人の資産管理ツールへと育成する方針である。こうした策により、仕入や販売だけでなく国内外の幅広く奥深いデータを集積することでき、「SOU Brain」の精度はますます上がると予想される。同社のビジネスモデルは海外でも差別化可能と考えられることから、同社の中長期成長に期待したい。

■Key Points

・集客力、買取力、販売力という3つのチカラで成長を続ける

・ビジネスモデルのコアにある商品管理システム「SOU Brain」

・グローバルラグジュアリーデータカンパニーとして国内外で飛躍へ

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《YM》

提供:フィスコ

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