新興市場見通し:マザーズ指数下落もSansan好発進、今週も新日本製薬などIPO
先週の新興市場では、マザーズ指数が下落した。日足チャートでは900ptを挟んだもみ合いが続いている。主要国・地域の金融緩和や米中摩擦緩和への期待から米国株が上昇。日経平均も連れ高となったが、為替の円高進行や中東情勢を巡る地政学リスクの高まりなどが懸念材料となり、個人投資家のマインドはさほど上向かなかったようだ。新規上場のSansan<4443>が物色を集め、既上場のマザーズ銘柄に換金売り圧力がかかった面もあるとみられる。なお、週間の騰落率は、日経平均が+0.7%であったのに対して、マザーズ指数は-2.4%、日経ジャスダック平均は+0.1%だった。
個別では、メルカリ<4385>が週間で6.6%安、PKSHA Technology<3993>が同5.5%安、サンバイオ<4592>が同13.4%安とマザーズ時価総額上位は全般軟調。ただ、ティーケーピー<3479>は同0.2%安にとどまり、マザーズ時価総額2位に浮上した。売買代金上位ではリボミック<4591>やチームスピリット<4397>が売られ、Kudan<4425>などが週間のマザーズ下落率上位に顔を出した。昨年12月上場銘柄の一角ではロックアップ解除スケジュールが意識されたようだ。一方、アイ・ピー・エス<4390>やメドピア<6095>は大幅高となり、イオレ<2334>やモルフォ<3653>が上昇率上位だった。ジャスダック主力も日本マクドナルドHD<2702>が同2.4%安となるなど全般軟調だったが、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>は同2.3%高となった。売買代金上位ではスリー・ディー・マトリックス<7777>などが売り優勢で、ビジョナリーHD<9263>が週間のジャスダック下落率トップだった。反面、日本テレホン<9425>は活況を見せ、ソフィアHD<6942>などが上昇率上位に顔を出した。IPOでは4社が新規上場。注目のSansanは大型案件ながら公開価格を上回る初値を付け、その後も値を上げるなど好調な滑り出しとなった。6月21日上場のブランディングテクノロジー<7067>は買い気配のまま初値持ち越しとなっている。
今週の新興市場では、マザーズ指数は現行水準でのもち合いが続きそうだ。ただ中小型株では循環物色の動きが見受けられ、売買はまずまず活発となるだろう。資金移動が速く、一部の銘柄は荒い値動きとなっており、機敏な対応が求められる局面と言える。とはいえ、Sansanなど資金回転が利いている銘柄も散見され、個人投資家の需給状況やマインドはさほど悪くないと考えられる。
マネジメントソリューションズ<7033>やプロレド・パートナーズ<7034>は直近の決算を好感した買いが続く。先週値を下げたチームスピリットなども成長期待は依然高い。また、今週は6月24日にオプトエレクトロニクス<6664>、28日に夢の街創造委員会<2484>、フロイント産業<6312>などが決算発表を予定している。バーコード読み取り装置のオプトエレは第2四半期も好調が続くか注目。出前サイト運営の夢の街創造はシェア拡大へ積極投資中だ。
IPO関連では、インフォネット<4444>など5社が新規上場する。Sansanの好発進を受けて個人投資家の初値買い意欲が高まっており、インフォネットやリビン・テクノロジーズ<4445>は前評判の高さも考慮すると初値を飛ばしそうだ。また、6月27日上場の新日本製薬<4931>はスキンケア商品の「PERFECT ONE」ブランドで知られ、Sansanに次ぐ6月の注目IPOに位置付けられている。
《FA》
提供:フィスコ