明日の株式相場戦略=米中首脳会談通過でムード変わる

市況
2019年7月1日 17時57分

米中首脳会談は必ずしもポジティブな形で終わったとは言い切れないものの、少なくとも週明け1日の東京株式市場はこのビッグイベントの結果を好感する格好でリスク選好ムード一色に染まった。為替の急速な円安もいいタイミングでフォローの風となった。

首脳会談では米中貿易協議を再開することで合意、そして中国に対する第4次追加関税も先送りされた。この2点については事前に予想されたところでサプライズはない。ただ、シナリオに沿わない展開がトランプ米大統領にはつきもので、ネガティブサプライズに身構えていたマーケットにとっては、“安堵感”が株高をもたらすのに十分な材料となった。更に中国ファーウェイへの取引禁止措置の緩和は、安全保障に影響を与えない一部の部品販売のみにとどまり、ニュースのヘッドラインが与えるほどのインパクトはないが、これも強力な買いの援軍となった。

日経平均株価454円高で値上がり銘柄数2000超は文字通りの全面高商状。売買代金2兆2000億円台はやや物足りないが、それでも閑散商いが常態化した最近の東証1部市場を考えれば盛り上がったといえる。さかのぼって6月21日に2兆7000億円の売買代金をこなしたが、これは英FTSEリバランスによる特殊要因によるもので、実質的には6月5日以来約1カ月ぶりの商い水準となる。ちなみに上げ幅は2月12日の531円高以来であり、きょうは久々の“活況高”といっても過言ではない。今週は買い方に分のある展開となりそうだ。

一方で、きょうは株価こそ急上昇したものの、あまり投資家の体温が感じられない相場であったことも否めない。アルゴリズム取引の形跡が強すぎて、投資家の思惑がぶつかって形成された上昇パフォーマンスとは色が違う。日経平均の“分足チャート”を見ると寄り後の売り買いが交錯する時間帯だけはやや乱気流に揉まれたものの、午前10時以降は“安定飛行”に入り、一定のスピードで定規で線を引いたように漸次水準を切り上げていく展開。トレンドフォローのHFTの買い注文がマシンガンのように這わされ、それをなぞった上昇であることを示唆する足だ。日米ともにこうした足が多くなっている。

個別では、全面高様相のなかで、特に村田製作所<6981>や太陽誘電<6976>が東証1部の売買代金2位と3位を占めるなど電子部品株への攻勢が目立った。太陽誘電に至っては売買代金だけでなく値上がり率でも東証1部で堂々の第2位にランクインし異彩を放った。トランプ米大統領が中国ファーウェイへの取引禁止措置の一部緩和に言及したことは、日本だけでなくアジア株市場全体にポジティブなインパクトを与え、台湾ではファーウェイとの取引関係が厚いTSMCが大幅高に買われ、本家の中国市場でもこれに似た形で関連株が分かりやすく値を飛ばす展開となった。AI売買の影響が大きいとしても、人間があえてこうした動きについていく、というトレーディング手法も考えられそうだ。

このほか個別株で目先マークしてみたい銘柄では、やはりAIやIoT、クラウド周辺のソフト開発会社が狙い目か。直近では建築向けに測量用CADなどを手掛ける福井コンピュータホールディングス<9790>、金融機関向けのシステム開発で実績の高いTDCソフト<4687>など。また、電気自動車(EV)関連では休養十分のモリテック スチール<5986>などにも目がとまる。

日程面では、あすは企業の物価見通し(6月日銀短観分)が開示されるほか、10年国債の入札がある。海外では豪州準備銀行理事会が行われ、ロシアなど非加盟国と主要産油国との合同OPEC会合なども予定されている。(中村潤一)

出所:みんなの株式(minkabu PRESS)

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