国内株式市場見通し:米利下げ期待ブレーキでも日経平均は堅調に

市況
2019年7月6日 15時17分

■米中協議再開を好感、日経平均は5週連続高

前週の日経平均は上昇した。週間ベースでは5週連続の上昇となった。6月29日の米中首脳会談では、通商協議再開が合意されるとともに、米国は新たな対中制裁関税を課さない方針を示したことで、摩擦激化が回避された。これを好感した週明け1日の日経平均は290円高からスタートするとその後も上げ幅を広げた。全面高のなか、米国が華為技術(ファーウェイ)への部品販売を一部認める方針と伝わり、太陽誘電<6976>や村田製<6981>、東京エレクトロン<8035>など電子部品、半導体関連が大きく買われた。米中の通商協議再開の合意と石油輸出国機構(OPEC)の減産延長で原油相場が上昇したことを好感してNYダウが続伸したものの、上げ幅を縮小して終えたことを警戒して2日の日経平均は小幅安で始まった。ただ、利益確定売りが一巡すると押し目買いもあり、日経平均は小幅続伸で大引けた。2日の米国市場でNYダウは3日続伸したものの、3日の日経平均は、米長期金利の低下に伴い円相場が一時1ドル=107円台半ばまで上昇する円高を嫌気して輸出関連株を中心に売りが広がり3日ぶりに反落した。また、物色的には6月の「ユニクロ」既存店売上高が大幅な増収となったファーストリテイリング<9983>が売買代金トップで2%超の上昇となったことが話題となった。独立記念日による休場を控えて短縮取引となった3日の米国市場は、6月ADP雇用統計が予想を下振れたことで利下げ期待が高まりNYダウが4日続伸し、約9カ月ぶりに史上最高値を更新して終了した。この流れを受けて4日の日経平均は反発した。ただ、4日の米国市場が休場、週末には6月米雇用統計発表も控えていることから、買いの手は限られ大引けにかけて上げ幅を縮小した。東証1部の出来高は8億2200万株台と今年最低に低迷した。5日の東京市場も米6月の雇用統計の発表を今晩に控えて模様眺めムードが強まったものの、後場に入り為替が円安に傾斜したことを受けて日経平均は小幅続伸となった。注目された米6月雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比22.4万人増と予想を大きく上振れた。金融当局による利下げ期待が後退し売りが先行して5日のNYダウは43.88ドル安と5日ぶりに反落した。

■米利下げ期待は後退も為替は円安

今週の日経平均は堅調さを継続するなか、ゴールデンウイーク明け後初となる22000円台回復に挑む可能性もある。米国の主要3指数は米中首脳会談後に史上最高値を更新し、東京市場でも過度な不安心理は後退している。クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は3日に米中当局者が電話協議を1週間以内に行うとしており、米中貿易摩擦の問題はひとまず小康状態に入る見込みだ。こうしたなか、注目されていた米6月雇用統計は非農業部門雇用者数の伸びが大幅に回復と市場予想を大きく上振れて米国の利下げ期待にはブレーギが掛かった。ただし、これを受けたNYダウは43ドル安と比較的下げは小幅で、シカゴ日経225先物清算値は大阪比55円安に留まっている。欧州市場で独10年物国債の利回りが過去最低を更新するなど、世界的に金利低下圧力の流れは継続している。10日のパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長による下院金融委員会での議会証言が注目されてこよう。また、米国利下げ期待が一時的に後退したことから為替の円高にブレーキが掛かって円安にふれたことは日経平均にとってプラス要因だ。

■日経平均22000円台回復も視野に

国内的には15日の「海の日」による3連休を控えて、来週後半は手控えムードが出やすいものの、参議院選の期間中で目立った売り材料が見当たらないことも確かだ。そんななか、チャート上では、5月大型連休明けの「マド」埋めとなる21875.11円がまず意識され、次に大引けでは4月26日以来となる22000円台回復が視野に入ってくる。仮に下落しても、21600円近辺を走る200日移動平均線や一目均衡表「雲上限」を割り込んでこない限り過度な弱気は禁物となる。物色的には11日のファーストリテイリングの今8月期第3四半期(9-5月)決算と、安川電機<6506>の今2月期第1四半期(3-5月)決算発表が注目される。また、人工知能やロボティクス分野などで先行する新興企業向け投資ファンドを大和証券グループ本社<8601>と運営を開始したソニー<6758>が5日にかけて5日続伸し5月の年初来高値を更新した。主力株の一角にはこのソニーや任天堂<7974>など高値もちあいを上放れる銘柄が散見され始めている。この動きが他の主力株に広がるかも焦点だ。

■FRB議長議会証言、景気ウォッチャー調査、中国貿易収支

今週の主な国内経済関連スケジュールは、8日に5月国際収支、5月機械受注、6月景気ウォッチャー調査、7月の地域経済報告(さくらリポート)、日銀支店長会議、9日に5月毎月勤労統計調査、6月マネーストック、6月工作機械受注、10日に6月国内企業物価指数、11日に6月都心オフィス空室率、5月第三次産業活動指数がそれぞれ発表・開催される見込み。一方、米国など海外経済関連の主要スケジュールは、10日にパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が下院金融委員会で議会証言、FOMC議事録要旨、中国6月消費者物価・生産者物価、12日に中国6月貿易収支、米6月生産者物価の発表が予定されている。

《FA》

提供:フィスコ

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