明日の株式相場戦略=半導体から5Gへと横に広がる投資マネー

市況
2019年7月25日 17時53分

日経平均株価は2万2000円に近づくと上値が重い。売買代金も低調なままだが、局地的に上げ潮が発生している。きょう(25日)の東京株式市場は半導体関連の物色人気に拍車がかかってきた。主役は何といってもアドバンテスト<6857>だ。注目を集めた24日引け後の4~6月期決算発表は、売上高が前年同期比6.7%減661億6500万円、最終利益は同13%減の120億8400万円と減収減益だったが市場コンセンサスを上回った。それにとどまらず、同期間の受注高が底入れの兆しをみせたことが、一気に上げ足に弾みをつける形となった。

そしてこのアドバンテストを主軸に東京エレクトロン<8035>やディスコ<6146>など他の製造装置メーカーが大幅高、更に信越化学工業<4063>の好決算を受け同社株だけでなくSUMCO<3436>、トクヤマ<4043>、東京応化工業<4186>など半導体素材メーカーにも燎原の火のごとく買いが広がった。

半導体製造装置関連ではウエハー搬送装置を手掛けるローツェ<6323>が強く、押し目があればマークしたい。同社株は2月決算企業でこの時期買いやすさがある。4月22日の高値2840円をクリアする公算は小さくない。

アドバンテストはストップ高で東証1部の値上がり率トップ(全市場を通じてはマザーズのアプリックス<3727>に次ぐ2位)に買われている。足の速い中小型株をおさえて同銘柄がランキング首位をとるのは極めて稀なことだ。しかも、売買代金も東証1部全上場銘柄のなかで3位に入る文字通りの集中人気となった。これは、「買い戻しに過ぎない一時的な現象」と斬って捨てるような動きではなさそうだ。流動性相場を謳うには今の東京市場はあまりに市場エネルギーに乏しいが、業績の“暗”の部分を織り込み、米国発の金融相場の恩恵が早晩見えてくる可能性がある。

中国関連で注目されたのは日本電産<6594>だったが、前日の決算内容と永守会長のコメントを聞く限り、さすがに厳しいかと思わせたが、フタを開けてみれば終始買い優勢で一時フシ目の1万5000円台に乗せた。これで大勢トレンドが変わったとは言い切れないものの、同社株も明らかに打たれ強くなってきた、ということはいえるのではないか。

きょうは、もう一つ光明が差し込んだ。アドバンテストの決算で次世代通信規格「5G」基地局関連の半導体テスター需要が収益に寄与したことが判明、これがアンリツ<6754>をはじめ5G関連株の一角に投資資金を誘導した。くしくも前日の米国株市場ではワイヤレス機器向けテスターを手掛けるテラダインが好決算を材料に大きく買われていた。このテラダインの好決算も米国での5G向け計測器需要の拡大を裏付けるものとしてアンリツの株価を刺激する格好となった。

半導体関連から5G関連にもバトンが渡されたことで、“アドバンテスト効果”同様に“アンリツ効果”も期待される地合いとなっている。

5G関連では海外を中心に同分野向けに光モニターを納入するsantec<6777>あたりも調整十分で魅力がある。きょうは目ざとく買われているが、一段の上値余地がありそうだ。ただし、今月末に4~6月期決算発表を控えており、その点はしっかり踏まえておかねばならない。

このほか、低位材料株では東海運<9380>がただならぬ動き。チャートは底値圏からの逆襲初動で抜群の味がある。同社は子会社を通じて大阪の夢洲近くに土地を保有しており、大阪カジノ関連の切り口で投資資金が向かっているもよう。仮にこの話がなくてもPBRは0.5倍台に過ぎず、年5円配を実施していることを考慮すれば水準訂正が見込める位置にある。同社も今月末に決算発表を控えている点は押さえておく必要がある。

日程面では、あすは国内では目ぼしいイベントは見当たらないが、東京エレクやキーエンス<6861>の決算発表などにマーケットの関心が高い。海外では4~6月の米GDP速報値が要注目となる。(中村潤一)

出所:みんなの株式(minkabu PRESS)

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