明日の株式相場戦略=逆イールド台風通過、ゲーム&バイオに資金流入

市況
2019年8月20日 17時47分

きょう(20日)の東京株式市場は、米国株高を追いかける形で3日続伸。閑散相場で迫力に欠けるとはいえ、250円弱下落した前週15日の下げ分を埋め切った形となった。

振り返って前週15日の下げは、14日のNYダウ800ドル安を受けてのものだ。この時は米国債券市場での長短金利の逆イールド発生が、景気後退の予兆という切り口で大々的に喧伝され不安心理を煽った。東京市場でも取引開始前に2万円大台割れやむなしという重苦しいムードが漂っていたが、フタを開けてみれば意外な底堅さを発揮した。

この時に売り方とすれば日経平均2万円ラインの攻防を想定していたはずで、その意味では全く“期待外れ”に終わり、この水準での日本株の売り仕掛けの難しさを悟ったのではないか。きょうの相場を終えた時点で嵐は過ぎ去ったとは言い切れないが、いずれにせよ米株暴落の余波で下げた分を、発信地のニューヨークよりも先に帳消しにしたことで、東京市場のセンチメントは相応に改善している。

米10年債利回りと2年債利回りの逆転は、「12年ぶり」などという言い回しがつくと大ごとのように伝わるが、これがすぐに景気後退のステージに経済実勢を追い込むということではない。過去のケースでは、逆イールド発生はFRBが利上げを進める、いわゆる金融引き締めのプロセスで短期金利が勢い余って長期金利を上抜くという形で示現するのが普通。今はFRBが予防的に前倒しで利下げに動き、金利低下局面に際して長期金利が下げ過ぎたことによる逆転現象。100メートル走を後ろ向きで走るような特殊な光景で、10年債利回りを2年債利回りが上回ったという事実を断片的に切り取って、大騒ぎするのは本質を見誤っている可能性がある。

この逆イールド発生が足腰の弱った株式市場において、売りの決定打にはならなかったことははっきりした。ただし、東京市場の体感温度の低さは否めない。売買代金を見れば分かるように、ボラティリティが低下すれば市場参加者も減少する。具体的にはヘッジファンドが駆使するHFTなどのアルゴリズム売買が作動しない相場では、商いも膨らまず、プログラム売買の影響がでる午前9時から10時過ぎくらいまでの時間帯を超えると、相場は凪状態に入る。

世界景気の減速に対する懸念と経済政策への期待が綱引きする構図は変わらないが、それに一喜一憂するプレーヤー(人間)が少ないというのが東京市場の現状だ。個人投資家は玄人筋同士が対峙するような相場で、目ざとい資金が回転商いを繰り返して利ザヤをとる形。相場にうねりは出にくくなっているが、丁半博打のような質の悪いものではなく、良いものは継続的に買われていく。細かく着地を繰り返しながら上昇相場に乗っていくという選択肢もある。短期売買は決して悪ではない。

個別では、今はゲーム関連やネット周辺株、あるいはバイオ関連などに物色の矛先が向いている。四半期決算発表の期間が通過したことで、定量的な材料に振り回されにくくなり、語弊を恐れずに言えば、業績が低迷している銘柄でも「材料性」に重きを置いて買いを入れやすくなる、というのが今の時間帯である。

ゲーム関連ではenish<3667>などの動きが典型だが、KLab<3656>やコロプラ<3668>などもこの時間軸で資金を誘引しやすい銘柄で、直近の値動きに反映されている。このほかGameWith<6552>なども位置的には食指の動く銘柄といえる。

バイオ関連も同様で、きょうは全面高様相。内容重視ならJCRファーマ<4552>ということになるが、天井の高さと出遅れ感からはサンバイオ<4592>のような銘柄に光が当たりやすい。チャート的にはキャンバス<4575>あたりか。

これ以外では、商いは薄いものの、テレマーケティング業界など中心にクラウド型のコールセンターシステムを開発・販売するコラボス<3908>に人気化素地を感じる。

日程面では、あすは7月の訪日外客数のほか、7月の全国百貨店売上高やスーパー売上高などが発表される。海外では7月の米中古住宅販売件数、FOMC議事要旨などが注目される。(中村潤一)

出所:みんなの株式(minkabu PRESS)

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