UMN Research Memo(4):2019年12月期中の提携第2フェーズ移行合意に向けて協議を加速

特集
2019年9月2日 15時14分

■UMNファーマ<4585>の今後の事業方針と業績見通し

1. 2019年12月期下期の事業方針

2019年12月期下期の事業方針として、提携第1フェーズにおける第4回マイルストーン条件を達成し(第4四半期の予定)、基盤技術整備の年内完了を目指すことに加えて、提携第2フェーズへの移行を前倒しすべく協議を加速していく方針となっている。

提携第2フェーズの協議に関しては、開発候補品の基礎的研究成果を踏まえたターゲットプロダクトプロファイル等の検討を進めていくと同時に、開発パイプラインの選定及び契約スキームや追加資金調達スキーム等の内容について、両社が中長期的にWin-Winの関係になるように条件を固めていく。契約スキームでは非臨床試験や臨床開発での両社の役割分担とマイルストーンフィー、並びに上市後の販売ロイヤリティ等の条件も決めていくことになる。なお、同社は提携第2フェーズへの移行合意が実現した後に、中期経営計画(計数含む)や開発パイプライン等の開示を行う予定にしている。

(1)基盤技術の確立

これまでに得られた知見を基に、最終の基盤整備を実施し、2019年内に基盤技術を確立する。また、各国でワクチンに関する規制が異なるため、主要国における規制情報等のデータを順次取得していく予定にしている。また、最終整備した基盤技術を用いて、第1開発候補品に関して非臨床、CMCで使用する抗原の製造を予定している。

(2)開発候補品の選定

第1開発候補品については、開発製剤の確定により非臨床GLP試験の開始に向けたプロセスへ移行するほか、開発計画及び上市計画の策定による事業性評価を実施する予定にしている。

第2開発候補品については、目標製剤特性を達成するための抗原、アジュバント、製剤デリバリー技術の組み合わせを検討すべく各種試験を推進していくと同時に、非臨床及び臨床開発計画の策定を進めていく。また、他の開発候補品については、候補品ごとの目標製品特性を策定し、ロジカルワクチンの創製の可能性と併せて優先順位付けを実施する。また、優先順位付けのうえ、順次基盤技術の適用検討と製剤パッケージの検討も行っていく。

提携第2フェーズへの移行が決まれば、2019年12月期業績は上方修正される見込み

2. 2019年12月期業績見通し

2019年12月期業績は売上高で前期比3.5%減の100百万円、営業損失で887百万円(前期は606百万円の損失)、経常損失で891百万円(同609百万円の損失)、当期純損失で893百万円(同728百万円の損失)となる見通し。売上高は塩野義製薬との業務提携に伴う第4回目のマイルストーンフィー50百万円を第4四半期に計上し、通期で100百万円を見込む。

研究開発費は前期比268百万円増加の737百万円を計画している(前期からの期ズレ60~70百万円含む)。秋田工場を中心に試験製造や開発候補品の製造プロセスの確立を推進していく予定となっている。秋田工場の人員は前期末比6名増の26名を予定している。横浜研究所や秋田研究所の人員は現状をキープし、不足分は派遣の活用で対応していく考えだ。その他、データインテグリティ※対応のための設備投資も行う予定となっているが、全体的には計画の範囲内で収まる可能性が高い。

※データインテグリティとは、情報処理などの分野で使われる用語で、データ(ソースデータ:原資料)がすべてそろっていて、欠損や不整合がないことを保証することを意味する。製薬業界におけるデータインテグリティでは、FDAやEMAが提示する「ALCOA原則」及び「CCEA」に則ったデータ(帰属性、同時性、原本性、正確性等)であることが求められている。日本では治験データの改ざん問題が数年前に発生したこともあり、各社対応を強化している。

一般管理費は前期比12百万円増の250百万円を計画している。知財及び人材採用関連費用の増加、転換社債の転換に伴う租税公課・法人税負担の増加を見込んでいるが、コストコントロールに取り組んでおり計画を若干程度下回る見込みだ。この結果、当期純損失は研究開発費用の増加を主因として前期比164百万円拡大する見通しとなっている。

ただ、同社は年内の提携第2フェーズへの移行合意と契約締結を目指しており、これが実現すれば契約一時金等の売上計上により、業績は上方修正されることになる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YM》

提供:フィスコ

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