明日の株式相場戦略=超閑散相場もAI関連など成長テーマに着目

市況
2019年9月3日 17時49分

売買代金は連日の1兆3000億円台、外国人投資家が抜けた東京市場はそのエネルギーの乏しさが浮き彫りになる。国内は個人投資家、機関投資家ともにごく限られた参戦にとどまっており、きょう(3日)の東京市場は日経平均が小幅反発したとはいえ「(続落したのとは)誤差の範囲で生気が感じられない」(国内証券マーケットアナリスト)という声が聞かれる。きょうは東証1部全体の7割の銘柄が高く、業種別でも33業種中28業種が上昇しているのだが、その現実とはおよそかけ離れたムードが漂う。

メディアは米中の貿易摩擦の「進展に対する期待感が後退」したという認識だが、前週末の株高は米中貿易摩擦の「先行き懸念が後退」という後付け解釈がなされていた。正直日替わりで同じところを往ったり来たりする、その理由付けにはほとんど意味がない。今月の日米欧の中央銀行による金融緩和への思惑が売り方の動きを封じているが、だからといって実需の買いが入るわけでもなく、売り方が8月初旬の急落の後始末(回収作業)を淡々と進めているという印象だ。

消費税の引き上げが刻々と迫っている。これが政策発動につながるかどうかが焦点。日銀の緩和的政策としてマイナス金利の深掘りはリスクの方が大きく、ETF買い入れ枠の拡大という切り札を切るのかどうか。更に安倍政権が財政出動という政策協調に動けば株式市場の視界は変わるのだろうが、今のところそのシナリオ実現への道は険しい。全般急落局面に遭遇すれば政策催促相場に対する思惑も含めてチャンスが生まれるが、現状ではキャッシュポジションを高めておくのが選択肢として有利であることは確かだ。しばらくは、個別株ごとの資金の流れをみながら短期スタンスで機動的に対応していくよりない。

個別ではハイパー<3054>の株価が良いポジションに位置している。同社は企業向けパソコン販売が主力。その幅広い顧客基盤を生かし情報セキュリティーニーズを取り込むなど経営の幅を広げている。19年12月期営業利益は前期比19%増の4億1000万円予想と大幅な伸びを見込むが、更に上振れする余地を内包している。小学校で20年度からプログラミング教育が必修化されるが、その際にパソコンの数が圧倒的に不足している状況が指摘されており、同社株は見直し機運に乗る可能性がありそうだ。

また、底値買い候補としては企業向け経営支援ソフトなどを販売するライトアップ<6580>をマークしてみたい。8月9日の19年4~6月期決算発表で営業赤字に転じたことを嫌気して下放れる形となったが、赤字幅はわずか2800万円。同社の第1四半期は前期実績(4100万円の黒字)をみても分かるようにそれほど通期業績への影響度という点で大きくはない。クラウドソリューション事業が下期に書き入れ時を迎えることで、20年3月期通期営業利益見通しについて会社側は3億5300万円(前期比27%増)予想を据え置いており、1000円を割れた水準は買い場となっている公算が大きい。

これ以外では、システム受託開発関連でソルクシーズ<4284>なども目を配っておくタイミングにある。金融向け案件が回復途上にあり19年12月期業績は急回復を会社側は見込んでいる。フィンテック分野を深耕しているほか、子会社を通じてIoT分野に注力しており、時流に乗るビジネスモデルは再評価される場面が訪れそうだ。動き出せば足は速く、当面は4ケタ大台回復が目標となる。

このほか困った時のテーマ買い対象として人工知能(AI)関連に再び光が当たりそうだ。AI関連は既に理想買いから現実買いの段階に移行している。株式市場での関心が一時的に薄まっている時でも、AIの活用に伴い企業の生産性向上は日進月歩で着実に進んでいる。同関連の穴株としては武蔵精密工業<7220>がある。“現場で使えるAI”を作ることを主眼にAIの社会実装ビジネスを展開するABEJA(東京都港区)とディープラーニング領域で協業しており、近い将来に同社に対するマーケットの評価が変わる可能性がある。

日程面では、あすは7月の米貿易収支、7月のユーロ圏小売売上高、4~6月の豪GDP、8月の財新中国非製造業PMIの発表がある。(中村潤一)

出所:みんなの株式(minkabu PRESS)

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