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2019年9月10日 19時30分
特集

債券バブル時代の投資術「最小分散型投資」に脚光、相次ぐ急騰銘柄の行方 <株探トップ特集>

―超低金利下の人気投資手法だが、金利底打ち反騰への懸念から警戒ムードも台頭―

足もとの株式市場では、債券市場の動向が高い関心を集めている。今夏は欧州や米国、そして日本で長期金利が急低下する“債券バブル”が話題となったが、今週から来週にかけて、欧州中央銀行(ECB)と米連邦準備制度理事会(FRB)、日本銀行が立て続けに金融政策決定会合を開催する。ECBとFRBの利下げは確実な情勢だが、この超低金利状態は資金の運用難状態ももたらしている。そんななか、株式市場で関心を集めているのが「最小分散型投資」と呼ばれる投資手法だ。この価格変動を抑えた債券代替型の運用手法にとって、足もとの金利上昇は関連銘柄の波乱要因にもなっている。

●「債券バブル」で金利は水没状態、欧米中銀の一段の金利引き下げは必至

今夏、世界の投資資金は債券市場に殺到し、“債券バブル”と呼ばれる状況が生まれた。特に、欧州市場では国債利回りが過去最低水準に落ち込み、ドイツ10年債は一時マイナス0.7%台に低下。欧州連合(EU)では、ポルトガルやイタリアなどを除き軒並み長期債利回りがマイナス圏となる「水没」状態にある。この低金利状態は米国や日本でも続き、年初に2.6%近辺だった米10年債利回りは一時1.46%前後に急低下。日本でも10年債は一時、マイナス0.295%まで低下した。このなか、12日のECB理事会と17~18日のFOMCでは政策金利の引き下げは確実な状況となっており、18~19日の日銀金融政策決定会合でも一段の追加緩和があるかどうかが注目されている。

●債券の代替投資として脚光、低ボラティリティで高リターン狙う

この超低金利の進行で、世界中の投資家は資金運用難に頭を悩ましている。その運用難の投資資金の流入が金価格の急騰や、日本ではREIT人気を呼んでいるが、そんななか株式投資の観点から注目を集めているのが、「最小分散型投資」と呼ばれる投資手法だ。

これは、銘柄の組み合わせを変えたり比率を増減させたりして、最適な比率で組み合わせることで価格変動リスクを最も抑えて市場平均に勝つことを目指す投資手法のこと。複数の銘柄からなる株式ポートフォリオに関して、過去のリスク(分散)が小さいほど、その後のリターンが大きくなるという研究結果に基づいている。低ボラティリティの運用戦略であることから「債券代替投資」とも位置付けられており、低金利で債券の運用難が続くとともに、最小分散型投資への資金が流入している。

債券代替投資は世界的に注目されている手法だが、日本株に対する最小分散投資の指数では、MSCI日本株最小分散インデックスがあり、同指数をベンチマークとするETF(上場投信)では「iシェアーズ MSCI 日本株最小分散 ETF <1477> [東証E]」が東証に上場している。また、同じく最小分散型投資の運用手法を採用する公募投信には、米国系のステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズが運用する「ステート・ストリート日本株式最小分散インデックス・オープン」や、アセットマネジメントOneが運用する「たわらノーロードplus 国内株式高配当最小分散戦略」などがある。

●OLCは年初から5割の急騰、NECや積水ハウス、名鉄も組み入れ上位

では、最小分散型投資のファンドはどんな銘柄から構成されているのか。「iシェアーズ MSCI 日本株最小分散 ETF」の場合、直近の組み入れ銘柄の上位10位はオリエンタルランド <4661> がトップで、続いてNEC <6701> 、NTTドコモ <9437> 、積水ハウス <1928> 、JR西日本 <9021> 、名古屋鉄道 <9048> 、日本電信電話 <9432> 、トヨタ自動車 <7203> 、日本マクドナルドホールディングス <2702> [JQ]、KDDI <9433> となっている。

組み入れトップのOLCの株価は、年初から5割近い急騰を演じたが、「最小分散型投資からの資金流入も株価上昇の見逃せない要因」(アナリスト)とみられている。NECも構造改革への期待に加え、最小分散型投資による資金流入が株価を押し上げたようだ。積水ハウスや名鉄といった銘柄も堅調な値動きとなっている。

ステート・ストリートの公募投信の組み入れ銘柄上位には、すかいらーくホールディングス <3197> やヤマダ電機 <9831> 、アセットマネジメントOneの公募投信ではメイテック <9744> やMS&ADインシュアランスグループホールディングス <8725> などが組み入れ上位となっている。

●世界景気の減速懸念で低金利は継続、調整は一時的との見方も

ただ、株価押し上げ役を果たした最小分散型投資だが、足もとでは潮流の変化も見え始めている。9月に入り世界的に金利は底打ちから反転上昇の動きを見せるなか、OLCや同社株の上昇による含み益拡大で急伸した京成電鉄 <9009> 、NECなどには高値波乱の動きが見え始めている。もっとも、市場からは「世界景気の減速懸念が強まるなか、金利の上昇があっても一時的」(アナリスト)との見方もあり、最小分散型投資の関連銘柄の人気は続くとの見方は少なくない。いずれにせよ、債券バブル相場と歩調を合わせて膨張する最小分散型投資関連銘柄の行方が今後の株式市場を大きく左右することは間違いない。

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