清水洋介氏【原油市況暴騰で相場波乱!? 日経平均はどう動く】(1) <相場観特集>

特集
2019年9月17日 18時30分

―サウジの石油施設攻撃でWTI原油価格急上昇の余波は―

3連休明けとなった17日の東京株式市場では、日経平均株価が前週末終値近辺で売り買いを交錯させ、小幅ながら10日続伸となった。14日にサウジアラビアの石油施設が無人機に攻撃され、これに伴う一部生産停止を余儀なくされた。WTI原油価格は一気に8ドル強の上昇で1バレル=63ドル近くまで水準を切り上げている。地政学リスクが高まるなかで、株式市場は今後どういう動きをみせるのか、第一線で活躍する市場関係者に意見を聞いた。

●「目先一服後に高値更新も、銀行など出遅れ株に妙味」

清水洋介氏(Argo Navis フィナンシャルコンシェルジュ)

日経平均は2万2000円を回復し堅調に推移している。足もとの株価を押し上げているのは、売り方の買い戻しと、売られ過ぎ銘柄への見直し買いだろう。

今週開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀決定会合の結果を確かめる必要があるが、一昨年に16連騰を演じた時もファーストリテイリング <9983> など日経平均への寄与度の高い銘柄が買い直され、全体相場を押し上げた。今回も似た状況にある。

ただ近年、日経平均が高値から1割以上の下落となった場合、高値を更新するのに半年程度の時間がかかっている。このため、日経平均が4月高値2万2362円を更新するのは来月下旬から11月に入ってからだとみている。目先は高値圏での一服局面となることも予想される。

こうしたなか、今後1ヵ月程度の日経平均のレンジは2万800~2万2300円を見込んでいる。

サウジアラビアの石油施設攻撃による原油価格の上昇が懸念されているが、今回の事件をきっかけに米国とイランが軍事衝突するようなことがなければ、影響は限定的ではないか。産油国である米国にとって原油高は、必ずしもマイナス要因とは言えない点にも注意が必要だ。

個別で注目できるのは「低PBR銘柄」や「低PER銘柄」、「高配当利回り銘柄」などだ。三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> のような銀行株や三菱商事 <8058> のような商社株、あるいはJT <2914> のような銘柄には見直し余地があるとみている。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(しみず・ようすけ)

大手証券会社に入社後、外資系証券会社、外資系オンライン証券会社などを経て、証券アナリスト、テクニカル分析の第一人者として、「チャートの先生」「ストラテジスト」の役割でテレビのレギュラー出演や雑誌の連載などで活躍。現役ディーラーとしても日々相場と対峙している。10年以上続いているメールマガジン「日々是相場」や投資に関しての講演などを行っている。2014年5月株式スクール開校、証券投資の本質、株式投資の楽しさを啓蒙している。

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