馬渕治好氏【日経平均は軟化傾向、10月相場の視界変わる?】(2) <相場観特集>

特集
2019年9月30日 19時45分

―週明けは続落で2万2000円ラインから下放れる兆候―

週明け30日の東京市場は日経平均株価が続落。既に実質10月相場入りしている東京市場だが、9月の予想外の強調相場を経て目先は利益確定を急ぐ動きが顕在化している。長期化する米中摩擦の問題などをはじめ引き続き不透明要因は多い。果たして全体相場の流れは変わりつつあるのか。第一線で活躍する市場関係者に、ここからの相場を見るうえでのポイントと日経平均株価の見通しについて話を聞いた。

●「10月相場は下値模索で2万円割れも」

馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)

東京株式市場は、足もと株価のトレンドは下向きに変わったとみている。結論から先に言えば10月中に2万円大台を割り込む可能性は小さくないと思われる。米国の政局不安については、トランプ米大統領が弾劾される可能性はほとんどなく、その点では過度な心配は不要と思うが、間接的には今回の弾劾問題を背景とした与野党の関係悪化が景気対策発動に影響を及ぼすことも考慮される。

それよりも、前週に浮上したトランプ米大統領が対中証券投資を抑制するという話はネガティブ材料として注意が必要だ。ナスダックに上場するネット検索大手のバイドゥなどは今後、インデックス外しの動きなども警戒され株価が変調をきたす懸念が大きい。また、電商取引大手アリババの株価下落はソフトバンクグループ <9984> の含み益減少につながり、同社株の下げを助長している。SBGは日経平均寄与度が大きい銘柄だけに、全体相場のセンチメント低下を加速させることも考えられる。

では、国内ファンダメンタルズ面はどうか。きょう朝方発表された8月の鉱工業生産は思った以上に低調だった。台風被害の影響があったとはいえ、在庫が高止まりの状況が確認され、先行き不透明感が強い。加えて10月からの消費税引き上げが消費マインドを冷やすことは不可避と思われ、経済実勢が下振れることへの懸念が拭えない。不安心理がクライマックスを迎えるのは10月下旬から本格化する製造業(3月決算企業)の上期決算発表だ。今の市場コンセンサスよりも悪い内容となる公算が大きく、これが全体株価の波乱要因となり得る。足もとは、キャッシュポジションを高めておく場面だと思われる。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(まぶち・はるよし)

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米MIT修士課程修了。米国CFA(証券アナリスト)。マスコミ出演は多数。最新の書籍は「投資の鉄人」(共著、日本経済新聞出版社)。日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」の執筆陣のひとり。

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