明日の株式相場戦略=ゲーム関連に集中人気、需給相場の威力

市況
2019年9月30日 18時05分

週明け30日の東京市場は日経平均が続落となった。続落は8月2日から7日まで4日連続安となって以来約2カ月ぶりとなる。これをもって全体波動が変わったとは言えないものの、やはり上昇相場に一服感が生じていることは否めない。

10月からの消費税引き上げを前に、きょう朝方発表された8月の鉱工業生産は前年同月比4.7%の低下と事前コンセンサスの3.9%低下を下回っており、10月相場の前途には暗雲が漂う。米中貿易摩擦問題も相変わらず押したり引いたりの状況。前週半ばにトランプ米大統領は「米中協議は想定より早く決着する」と発言し、マーケットに期待を抱かせたものの、週末には米メディアが「米政権が中国への証券投資の制限を検討している」と報じ、「中国企業の米国株市場での上場廃止を検討」とも伝わったことで、再びリスク回避のムードが強まった。

引き続き、全体指数とは連動しにくい個別材料株に資金が集まりやすく、今どういう方向に資金が流れているかを常に俯瞰しておく必要がある。

個別では足もとゲーム関連株人気が凄まじい。業績面に難があるものも多く、総花的に買われているわけではないが、コロプラ<3668>が連日の急騰できょうはストップ高で買い物を残すパフォーマンスを演じており、ここでフル回転している投資資金が溢れ出すように他の銘柄にも流入している。同社株は「ドラクエウォーク」がセールスランキングトップを続けるなど大ヒットしていることが物色人気の源泉となっているが、既に株価は約2週間で2.5倍化、PERは200倍を超え、株高の妥当性を俎上に載せてもはじまらない状況。信用取組は売り買い拮抗で信用倍率1.08倍、日証金では株不足に陥り貸株規制がかかっている。踏み上げを誘っての暴騰は需給相場の典型といえる。

これに刺激されてゲームや音楽などスマートフォン向けコンテンツ配信を手掛ける日本エンタープライズ<4829>がマドを大きく開けての大陽線示現、6~8月期の業績急回復がポジティブ視されたとはいえ、これも普通の感覚では“やり過ぎ”といえる買われ方。ソーシャルゲーム主力にスマホ向けゲームの開発・運営を行うオルトプラス<3672>や、スマホゲーム攻略サイトを展開するGameWith<6552>もストップ高。アプリ紹介サイトを運営するAppBank<6177>も一時値幅制限いっぱいに買われる場面があった。

ただし、どこまでも上がり続ける株はない。いきなり深い谷を形成するリスクとも常に向かい合わせで、もとよりファンダメンタルズ面から株価にブレーキは利かないため、売りの連鎖となるケースも考慮しておかなければならない。値を飛ばしている銘柄への飛び乗りは短期スタンスではひとつの戦略として肯定されるが、機動的な売買に熟練していることが条件となる。国内ネット証券によると、一部のゲーム関連株について外資系から空売り目的の貸株要請が来ているとの話も聞かれる。大きく上昇している銘柄については観賞用にとどめ、実際の投資対象は他を探す方が理にかなっている。

比較的初動とみられるものでは、中段を上放れたばかりのネオス<3627>IoT人工知能(AI)関連としての切り口もあり、目先押し目があれば買い場となりそうだ。また、ネオス子会社と連携するピーバンドットコム<3559>。株式分割により600円台半ばの水準にある時価は上値余力の大きさが意識される。

日程面では、あすは取引開始前に9月の日銀短観が開示されるほか、8月の完全失業率及び有効求人倍率も発表される。また、消費税率が8%から10%に引き上げられる。海外では中国の建国70周年で国慶節に伴う大型連休がスタートする。米国では9月のISM製造業景況感指数が発表される。(中村潤一)

出所:みんなの株式(minkabu PRESS)

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