秋のIPOシーズン突入! 物色人気復活の確度 <株探トップ特集>

特集
2019年9月30日 19時31分

―中小型株多く強調展開を想定、話題のBASEには強弱感対立の構図―

あすから10月に入り、今年度の後半相場が始まる。と、同時に秋のIPOシーズンにも突入する。今月は12社がIPOを予定しており、その動向が市場の注目を集めている。米国では未上場の有力企業であるユニコーンのIPOに警戒感が出ているが、東京市場でも9月は2社の初値が公開価格を下回るなど、高人気を誇ってきたIPO人気に陰りが出ている。果たして、10月IPOは人気を復活させることができるのか。その動向を探った。

●9月IPOは2社の初値が公開価格割れ、市場で囁かれる警戒感

10月IPOでは12社が登場する。18年の9銘柄から3社増える見通しだ。内訳は東証マザーズが7社、東証2部が3社、ジャスダックが2社。うち2社が名証2部へ重複上場する。その顔ぶれは、IT系やバイオ、金融サービス、ホテルなど多岐にわたる。成長性が高く株価の需給面の不安も少ないIPO銘柄は通常、全体相場の先行きに不透明感が強まるなかでは、買い安心感から人気が集中することが少なくない。

しかし、10月IPOに対しては、やや警戒感も出ている。ともに東証マザーズに上場した9月24日のChatwork <4448> [東証M]と、26日のHPCシステムズ <6597> [東証M]の初値はたて続けに公開価格を下回った。8月に上場したバイオベンチャーのステムリム <4599> [東証M]も初値は公開価格割れとなっており、市場からは「IPO人気に陰りが出てきたのではないか」との声も囁かれ始めた。

●チャットWとHPCシスの不振は資金吸収額の大きさなどが要因

初値が公開価格を下回ったチャットWの上場時の資金吸収額が150億円程度と大きく、ベンチャーキャピタルなどの売り出しが多い点が嫌気されたようだ。前期まで赤字が続いたことも警戒された様子だ。また、HPCシスも資金吸収額は60億円強とやや大きく、公募より売出株数が多い出口(エグジット)色が強い点などが警戒された模様だ。

この点を踏まえて、中小型株担当のアナリストは「いま市場が警戒するのはファンドなどの売り出し金額の大きい出口案件とみられる銘柄。それに赤字バイオ企業に代表される業績の黒字化がみえないIPOだ」と指摘する。

●10月IPOは小粒で業績堅調銘柄多く、人気挽回のチャンス

では、10月IPOは今夏の不調を引きずるのか。市場からは「来月上場する銘柄を眺めると一部を除き小粒な企業が多く、安心感がある。全体的に堅調なIPOを期待していいのではないか」(アナリスト)との見方が出ている。米国でシェアオフィスの「ウィーワーク」の上場が延期されるなどユニコーンの人気に陰りが出ているが、「日本国内のIPOと米国のIPOは別物とみていい」(市場関係者)ともいわれている。

10月のトップバッターとなるのは1日にマザーズ上場のパワーソリューションズ <4450> [東証M]。金融機関向け業務コンサルティングなどを展開しているが、資金調達額は6億円台と小さく上場時の時価総額も20億円台に過ぎない。

●HENNGEやAI CROSSなどIT関連企業に期待

また、8日にはともに東証マザーズに上場するHENNGE <4475> [東証M]とAI CROSS <4476> [東証M]の2社があるが、両社はIT関連銘柄としての人気が期待されている。HENNGEは企業向けクラウドセキュリティーサービスを提供、AI CROSSはSMSメッセージングサービスやビジネスチャットサービスの開発・提供などを行っている。HENNGEの資金調達額は20億円程度、AI CROSSも同7億円強だ。

9日にジャスダックに上場するアンビスホールディングス <7071> [JQ]は医療施設型ホスピス「医心館」などを展開。がんの末期症状や認知性の病気を持つ患者なども受け入れている。超高齢化社会の進展で注目されている。

東証2部には、2日に医療機器販売のレオクラン <7681> [東証2]、18日にビジネスホテル運営のワシントンホテル <4691> [東証2]、30日に光学シートなど販売の恵和 <4251> [東証2]の3社が上場するが、いずれも資金調達額はさほど大きくない。

●話題集めるBASEは資金吸収額の大きさや業績の赤字が懸念要因

そんななか、10月IPOで最も話題を集めているのが25日に東証マザーズに新規上場するBASE <4477> [東証M]だ。Eコマースプラットフォーム「BASE」の運営などを展開し、テレビコマーシャルも行い認知度も高い。お笑い芸人、ロンドンブーツ1号2号の田村淳氏が株主として登場していることも関心を集めている。ただ、想定発行価格ベースでの資金吸収額は100億円超でベンチャーキャピタルの売り出しも多いうえに、業績の赤字が続いている。「(株価が初値を割った)チャットWと共通点が少なくない」(アナリスト)ことに対し警戒感を示す声も出ている。市場関係者は最終的に公開価格がいくらになるかを注目している。

28日に東証マザーズに上場するセルソース <4880> [東証M]は、再生医療関連の組織・細胞の加工業務を行っており、バイオ関連企業と位置づけられるが、業績が黒字化していることは安心材料となっている。

上場日   市場・コード 社名            主幹事

10月1日  東マ・4450  パワーソリューションズ   大和

2日    東2・7681  レオクラン         日興

8日    東マ・4476  AI CROSS      SBI

8日    東マ・4475  HENNGE        野村

9日    JQ・7071  アンビスホールディングス  野村

18日    JQ・7682  浜木綿           野村

18日    東2・4691  ワシントンホテル      三菱

24日    東マ・7072  インティメート・マージャー みずほ

25日    東マ・4477  BASE          大和

28日    東マ・4880  セルソース         みずほ

29日    東マ・7073  ジェイック         日興

30日    東2・4251  恵和            大和

11月1日  東マ・7683  ダブルエー         みずほ

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