山田勉氏【踏み上げ相場突入か、新高値目前の日経平均】(2) <相場観特集>

特集
2019年10月15日 19時45分

―米中摩擦の後退と政策期待で変わる東京市場の秋景色―

3連休明け15日の東京株式市場は日経平均株価が大幅高で3日続伸、400円を超える上昇となり2万2000円大台を回復した。気が付けば今年4月25日の2万2307円(終値)の年初来高値更新が目前に迫ってきた。米中協議の進展を好感する形で一気にリスクオンの色を強めたが、ここから更に強気相場が繰り広げられるのかどうか、第一線で活躍するマーケット関係者2人に意見を聞いた。

●「日経平均はボックス離脱し2万4000円指向」

山田勉氏(カブドットコム証券 投資情報室 マーケットアナリスト)

前週末に注目された米中閣僚級の貿易協議は、サプライズこそなかったが事前に市場がささやかに期待していた通りの内容となり、これを好感する形で主力株を中心に広範囲に買い戻しを誘発している。中国側の米国産農産物の輸入拡大や、これを受けての対中関税引き上げ見送り自体はインパクトに乏しいとはいえ、米中両国とも合意を求めているというムードをマーケットが感じ取ったことが大きい。

今回の暫定合意は第1フェーズとの位置づけであり、11月中旬に行われるAPEC首脳会議での米中首脳会談で更なる進展が期待できる。今年に入ってから日経平均は2万~2万2000円強のボックス相場往来を繰り返してきた。このレンジ推移からいよいよ上放れるとの期待が高まっており、年内に2万4000円を意識する展開も想定される。

ここ株価は上昇してきたとはいえ株式需給面では過熱感に乏しい。6月以降の東証1部売買代金2兆円割れ常態化で信用買い残が低水準、一方で裁定売り残が高水準に積み上がっている。また、下値では日銀のETF買いや、企業の自社株買いが株価を支えている。

外部環境に目を向けても、世界的に金融政策は緩和策で協調の方向にある。更に景気後退への懸念を背景に、米国では来年の大統領選を前に減税実施の可能性があり、欧州でも2四半期連続のマイナス成長となりそうなドイツなどが財政出動に動く公算もある。国内も台風19号による河川の大規模氾濫が多く、水害からの復旧復興で補正予算も考えられる。「財政の秋」協調もなくはなさそうだ。株式市場的な見地では低迷相場が長引いたことで売り玉がこなれており、政策に対する期待感が、実勢経済の停滞もしくは企業業績の不振、増税後の弱い景況感を押し切る可能性がある。

物色対象としては、ここ市況底入れ期待が一段と高まってきた半導体関連に続くような格好で、アップル関連5G関連電子部品メーカーの村田製作所 <6981> 、ソニー <6758> 、アンリツ <6754> が動けば分かりやすい投資対象となる。ロボット関連の安川電機 <6506> やファナック <6954> などにも年初の安値からの修復余地をうかがう動きが期待できそうだ。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(やまだ・つとむ)

マーケットアナリストとして証券界で十数年活躍。2004年5月、カブドットコム証券入社。『こちカブ』(ラジオNIKKEI)『まーけっとNavi』(日テレNEWS24)『マーケットホットライン』(ストックボイス)などに出演。

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