人材関連にフォローの風、政策支援で急浮上するハイスペック銘柄を追え <株探トップ特集>

特集
2019年10月16日 19時30分

―政府主導の「働き方改革」や「同一労働同一賃金」で書き入れ時迎える派遣ビジネス―

世界的な金融緩和を背景とした株高の流れに、これまで乗り遅れていた東京市場が急速にキャッチアップを始めた。米中摩擦に対しては引き続き警戒する動きがあるものの、中期的な日本株の上値指向に期待が大きい。世界景気の減速懸念は拭えないが、内需については消費増税による向かい風のなかも良好な雇用環境が景気の支えとなっている。厚生労働省が10月1日に発表した8月の全産業の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同じ1.59倍と引き続き高い。一方、8月の完全失業率は2.2%と前月から横ばいで、約27年ぶりの低水準が続いている。

今月下旬以降は企業の決算発表が本格化するが、株式市場は米中摩擦の下振れリスクの織り込みが進んでおり、アクティブな個人投資家や海外ファンド筋によるテーマ買いの流れが活発化しそうだ。こうしたなか、人材紹介派遣関連銘柄に照準を合わせてみたい。構造的な人手不足、売り手市場が続き、政府が推進する「働き方改革」や「同一労働同一賃金」により人材紹介の増加及び派遣単価上昇が一段と進むことが見込まれている。

●同一労働同一賃金で変わる派遣ビジネス

2020年4月から同一企業の正社員と派遣社員・パートタイム労働者はガイドラインに沿って不合理な待遇差を設けることが禁じられる。派遣社員やパートタイム労働者はかつて安価な労働力として位置づけられた経緯もあり、正社員と同一労働同一賃金となればその活用が敬遠されるとの見方もあった。しかし、最近は風向きが変わってきており、派遣社員の待遇改善に対応するなど制度導入に備えた動きも報じられている。これに絡むビジネスを展開する人材サービス会社のマージン拡大への思惑が株式市場でも高まりつつある。パーソルホールディングス <2181> やパソナグループ <2168> などは足もとの株価こそ冴えないものの、早晩人材派遣大手として存在感を示すことになりそうだ。

じげん <3679> は転職や派遣を柱に、不動産・生活関連情報を一括検索するサイトを運営するが、スピード感のある事業拡大とM&Aで急成長を遂げている。同社人材分野の特徴は、「掲載報酬型」と「成果報酬型」の両輪を持つことで景気に左右されず安定的な利益成長を実現可能とするビジネスモデルを構築していること。社長の平尾丈氏は、学生時代に起業した経験を持ち、リクルートでの就学経験を経た若手経営者であり、その手腕に対するマーケットの期待も大きい。業績はここ数年大幅増収増益トレンドが続いている。営業利益は18年3月期に34%増益、19年3月期に23%増益を達成したが、20年3月期も前期比17%増の47億5000万円予想と伸び率こそ鈍化するものの2ケタ増益が続く見通しだ。

●若手転職市場は今年3割増

終身雇用や年功序列など日本型雇用が転換を迫られるなか、人手不足で転職しやすい環境が続き、新卒で入社し定年まで1社で勤め上げるよりも早めにキャリアを積みたいとの考え方から、若手転職市場が拡大している。20代向けの転職サービス登録者のうち、卒業後3年以内の割合が急増する傾向にあり、今年は前年比で3割も伸びている。

そうしたなか、ハウテレビジョン <7064> [東証M]は今年4月にマザーズに新規上場、若手ハイクラス層向け就活情報サイトや転職情報サイトの運営、キャリアアップ支援を手掛けていることが注目される。20年1月期上期(2-7月)は営業利益が前年同期実績比で倍増の8200万円となるなど業績も好調。通期営業利益1億円(前期比38.9%増)を見込んでいるが、上振れが意識されている。

ネット求人大手で転職仲介サイトを手掛けるエン・ジャパン <4849> は若手人材にターゲットを絞った「若手高年収層用転職求人サイト」を開設、銀行や大手商社出身の若手転職者のニーズを捉えている。20年3月期第1四半期(4-6月)営業利益が前年同期比16.0%減の29億400万円となったものの、売上高は同22.7%増の137億6300万円とトップラインはしっかり伸びている。国内求人サイトとHR-Techサービス「engage」の広告宣伝費および中期的な成長に向けた国内人材紹介の人員増に伴う先行投資を計上したが、通期では営業増益予想を据え置いている。

●保育士争奪戦でライクに注目

首都圏では待機児童の解消がなかなか進まない。国は20年度までに待機児童ゼロを目標に掲げていることもあって、保育士の有効求人倍率は右肩上がりを続け、18年11月は全国で3.20倍まで上昇。東京都に限れば6.44倍だ。春に向けて採用活動がピークを迎える12月前後は保育士の争奪戦が更に激化する公算が大きい。

こうした状況はグループで子育て支援サービスを手掛けるライク <2462> にとっては追い風となる。連結子会社のライクキッズ <6065> が認可保育園や学童クラブの運営と企業主導型保育などの事業所内の受託運営を行い、傘下の総合人材サービスを行うライクスタッフィングとの連携により保育士の採用機能を強化している。

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