裾野広がる「アウトドア関連」 前方視界良好、青空圏走る人気株も輩出 <株探トップ特集>
―芸能人によるSNS効果など追い風に市場拡大、マーケット規模は5000億円超―
自然と触れ合うことのできるアウトドア への人気が年々高まっている。国内景気の回復に加えて、芸能人がキャンプやバーベキューを楽しんでいる様子がテレビやSNSなどで紹介されていることがその背景の一つにはあるようだ。
また、10年ほど前からメディアで紹介されるようになった「山ガール」の存在や、おしゃれで個性的なキャンプの過ごし方をSNSに投稿している「おしゃれキャンパー」など女性人気が上昇していることも人気を後押ししている。山ガールが主人公のマンガ「ヤマノススメ」やそれぞれにキャンプを楽しむ女子高校生たちの日常をゆるく描いたマンガ「ゆるキャン△」のテレビアニメ化などもこうした傾向に拍車をかけている。
更に、アウトドアブランドのウェアやシューズを普段使いする人も増えており、今やアウトドア用品は通年で利用される商品となっている。関連する企業の業績にも好影響を与えそうだ。
●18年の国内アウトドア市場は7.5%増
矢野経済研究所(東京都中野区)が9月に発表した「アウトドア市場に関する調査(2019年)」によると、2018年の国内アウトドア市場規模は5007億7000万円(前年比7.5%増)と推計されている。若年層からシニア層に至るまで幅広い層でキャンプの人気が続いており、キャンプを含むライトアウトドア分野が拡大。平日や冬季など、それまでシーズンオフとされてきた時期にキャンプを楽しむ人も増えているという。
同社によると、19年の市場規模は引き続きキャンプが好調なことから5230億4000万円(前年比4.4%増)に達すると予測しており、キャンプ用品やライフスタイル分野向けのアパレルやシューズ、バッグ類の伸長を見込んでいる。
●ソロや平日のキャンプが増加
また、日本オートキャンプ協会の「オートキャンプ白書2019」によると、18年のキャンプの大きな特徴として「ソロ」と「平日」利用が増加しているほか、冬にも多くのテレビ番組でキャンプが取り上げられるようになったことで、冬キャンプ需要も高まっているとしている。こうしたことを受けて、スポーツ量販店におけるキャンプ用品売り場は通年展開となり、キャンプ場では繁閑の平準化が進む。
更に、キャンプやハイキング、野外フェスなどのライトアウトドア分野に加えて、街歩きや旅行、通勤・通学などでアウトドアブランドの商品を利用するライフスタイル分野でも需要が高まっている。こうしたことから、アウトドア関連市場は、今後も拡大が期待できそうだ。
●ゴルドウイン、ワークマンなど注目
国内におけるアウトドアブランド企業では、ゴールドウイン <8111> が快走を続けている。ラグビーワールドカップの日本代表にジャージを提供するカンタベリーオブニュージーランドジャパンを子会社に持ち、日本代表のレプリカジャージを販売していることから、ラグビーW杯関連として注目されるが、足もとでは「ザ・ノース・フェイス」「へリーハンセン」といったアウトドア関連ブランドも業績を牽引。第1四半期(4-6月)では、アウトドア関連の売上高構成比が75%に達した。同社では第1四半期決算発表時に上期業績予想を上方修正したが、この要因としてアウトドア関連ブランドの好調を挙げており、11月6日発表予定の上期決算では、通期予想(営業利益125億円、前期比5.4%増)の上方修正も期待されている。
ワークマン <7564> [JQ]は、作業服からアウトドアウェアへと商品を広げたことが業績を牽引している。10月1日に発表した9月度の月次売上高では、既存店売上高は前年同月比16.1%増、全店売上高は同20.6%増となり、既存店売上高は24ヵ月連続で前年実績を上回った。「綿アノラックパーカー」や「ULTIMATEフーデッドパーカー」など秋冬もののアウトドアウェアの販売が伸びたことが寄与しており、秋冬商戦は順調なスタートを切ったといえる。また同社では、これまでほとんど手付かずだった法人需要の開拓も本格化しており、業績(20年3月期営業利益予想150億1000万円、前期比11.0%増)の上振れ要因として働こう。
スノーピーク <7816> は、19年12月期上期営業利益は減益だったものの、会社側によると計画通りの水準で順調に推移しているとあり、通期計画は営業利益10億円(前期比8.7%増)の従来予想を据え置いた。アウトドア事業では、エントリー製品が新規顧客の獲得に貢献したほか、新製品や限定製品の販売も好調で、直営店売上高が2ケタ増となった。同社では今月、カンセキ <9903> [JQ]が運営するアウトドア専門店「WILD-1」のデックス東京ビーチ店(東京都港区)内に専用の売り場を設けると発表したが、新規顧客の開拓などでシナジーが期待できる。
アルペン <3028> は、ゴルフ用品などが有名だが18年以降、登山用品専門店「アルペンマウンテンズ」やキャンプ専門店「アルペンアウトドアーズ」の全国展開を開始している。同社は20年6月期の営業利益50億4400万円(前期比3.3倍)を見込むが、スポーツアパレルやキャンプ用品などアウトドア関連が牽引すると予想。足もとの7-9月では既存店売上高が前年同期比3.4%増と順調だ。
岩谷産業 <8088> は、カセットコンロがキャンプなどで使用されており、19年4月には2本のボンベを装着できるアウトドアモデル「フラットツインS」を発売した。また、子会社イワタニ・プリムスはアウトドアやキャンプ用品の輸入・製造販売を行っている。同社の20年3月期営業利益は305億円(前期比15.3%増)予想だが、カセットコンロは災害に伴う備蓄用としても購入されることから、相次ぎ上陸した台風の影響にも注目したい。
このほか、第1四半期(4-6月)決算でアウトドア関連商品が好調だったデサント <8114> やゼビオホールディングス <8281> 、釣り具製品に強みを持つシマノ <7309> やグローブライド <7990> などもアウトドア関連市場拡大の恩恵を受けそうだ。
株探ニュース