【植木靖男の相場展望】 ─ 2万3000円大台への過程

市況
2019年10月19日 8時00分

「2万3000円大台への過程」

●2つの条件をクリアし年初来高値を突破

ラグビーW杯では、日本代表の強さが示されたこともあって大人気だ。おそらく、大多数の人がルールをよく知らないなかで、老若男女を熱狂の渦に巻き込んでしまったのだから凄い。

日本代表の強さは何か。外国出身選手を受け入れ、多様性に富んでいることだろう。日本経済も同じ。これまで30年間、他の先進国に成長率で大きく差をつけられたのは、優れた外国の人材を受け付けなかったから、とみるのは行き過ぎだろうか。

ところで、日経平均株価はようやく4月につけた年初来高値2万2307円(終値ベース)を突破してきた。

これまでのプロセスは理想的である。前回指摘したように、相場変動の本質からみて、8月26日安値から9月24日高値までの上昇の日柄、さらにその後の調整の日柄。それに、9月高値突破の条件として、押しが浅いこと。加えて、突破するときは数日の連続陽線であることの二つを指摘した。

これらの条件通りの展開となった。10年ほど前のパターンの既視感(デジャブ)を覚える。

●調整を経て戻り高値更新にトライへ

では、今後はどう展開を予想すればよいか。

本年の高値を上抜けた以上、次のメドは言うまでもなく2万3000円大台である。とはいえ、一本調子の上昇はあり得ず、その途次一服する局面があるとみるのが自然。昔の既視感で言えば、案外、近く調整に入るとみる。

もっとも、それは利食い売りであり、本格的な売りによるものではない。だとすれば、調整は1週間程度であろう。そして、徐々にジリ高となり、戻り高値を更新するのは11月相場入りあたりか。

この間の理屈としては、米中貿易協議における合意第2弾、中国政府肝入りの景気下支え策で成長鈍化に下げ止まり感が芽生える、などであろう。

一方、気をつけなければならないのは米国景気の先行きだ。ここ景気堅調の最後の砦は消費だ。ところが、消費指数の悪化が目立ってきた。その動向には注視したい。

NYダウ平均がいつ7月高値を突破するか、世界の株式市場は注目している。当面、日本株に近く調整ありとすれば、米国の景気、市場の動向が、日本株の調整が単なる利食い売りなのか、本格的な売りなのかを決定すると言っても過言ではないだろう。

さて、物色対象は業種というより個別物色にシフトし、移り変わりが激しいようだ。

今回は、超短期銘柄として、東海カーボン <5301> 。黒鉛電極は依然好調のようだ。ついで、太平洋セメント <5233> 。台風被災へのインフラ投資、都市再開発と需要は増える一方だ。あとは、アドバンテスト <6857> がどこまで上昇するのか。半導体関連の柱であることは間違いないようだ。

2019年10月18日 記

株探ニュース

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