来週の株式相場戦略=FOMC、日銀決定会合、中国経済指標など注目

市況
2019年10月25日 17時27分

来週(28~1日)の東京株式市場は、連騰疲れはあるものの基本的に上値を慕う強い地合いが想定される。目先上値も重くなっているが下押す場面は海外投資家などの実需の買いが予想され、押し目は買い場とのコンセンサスが高まりそうだ。日経平均のレンジは2万2300円~2万3300円と見ておきたい。来週は企業の決算発表が本格化する。これを横目に個別株は不安定な動きも予想されるが、総論としては買いに分がある流れが形成されそうだ。

注目されるのは29~30日にかけてのFOMCと30~31日に行われる日銀金融政策決定会合。そして、31日には10月の中国製造業PMIが発表される予定で、マーケットの耳目を集めそうだ。

まずFOMCは0.25%の政策金利引き下げをマーケットはほぼ100%織り込んでいる状況。更に年内はこれで利下げ打ち止めというムードも既に浸透している。したがって全体相場を波乱に導く要素は乏しい。なお、来週は30日に10月の米ADP雇用リポート、週末1日には10月の米雇用統計発表を控えているが、いずれもFOMC後であり「六日の菖蒲、十日の菊」と言えば語弊があるかもしれないが、それほど注目度は高くないといえる。

日銀の金融政策決定会合については、ツイストオペを絡めながらのマイナス金利の深掘りが選択肢として俎上に載っている。しかし、これは黒田総裁の“見せ札”であって、実際はそこまで踏み込むことなく現状維持で通過する確率が高いのではないか。仮に緩和的政策が見送られても、その後の記者会見ではこれまで通り「必要とあらば躊躇なく(利下げを)行う」という“黒田節”が市場のセンチメント悪化を防ぐことになりそうだ。

中国製造業PMIは最近の同国の経済指標の流れを考慮すれば、あまり弱い数字はイメージしにくい。強ければ当然株式市場は素直に好感する形となるが、コンセンサスを下回る数字であっても、それはそれで政策発動への期待にすり替わる。その場合、株価にポジティブとは言わないまでもネガティブな影響は限られよう。

東京市場では“売り方の撤退モード”が続いている。先物を絡めたショートカバーにとどまらず、個別株ベースでも貸株調達などを含め売り込んだ反動が随所に垣間見られる。今週のハイライトとなった日本電産<6594>の利益下方修正後の株高は、減額の理由が受注急増に伴う攻めの投資であったことからうなずける話だが、例えばNOK<7240>は今期の最終利益を135億円(前期比4倍)予想から30億円(同12%減)に衝撃的な下方修正を発表したにも関わらず、わずか1%未満の下げにとどまった。地合いが悪ければストップ安でもおかしくなかった。このNOKの株価の底堅さを目の当たりにして、決算発表を前に売りポジションを維持することが全く割に合わないという認識が広がりつつある。

今週は半導体関連の中小型株や量子コンピューター関連で高パフォーマンスを上げる銘柄が相次いだ。半導体製造装置関連ではアドバンテスト<6857>やディスコ<6146>など主力級の銘柄もさることながら、栄電子<7567>やアドテック プラズマ テクノロジー<6668>など小型の周辺株への投資資金の攻勢にも目を見張るものがあった。栄電子<7567>に次ぐ銘柄としてPALTEK<7587>なども人気化している。

また、量子コンピューター関連ではエヌエフ回路設計ブロック<6864>やYKT<2693>、フィックスターズ<3687>などのテーマ買いの常連銘柄の他に、スパークス・グループ<8739>やシグマ光機<7713>など穴株的な位置にある銘柄も動意した。

来週前半にマークしておきたい銘柄としては、半導体関連でタカトリ<6338>やヒーハイスト精工<6433>。また、リチウムイオン電池関連でテクノスマート<6246>が底練りから急速に立ち上がってきており目先注目か。テーマ買いの流れからは外れるが、独自のアルゴリズムを使った画像検査装置でグローバル展開を狙うナビタス<6276>にも着目。24日の長い上ヒゲ形成後にいったん下値を試したが、結局陽線で引け上値追い基調を維持、単発では終わらないムードも漂う。(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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