電力自由化に“新たなる潮流”、「卒FIT」で狙える7銘柄はこれだ <株探トップ特集>

特集
2019年11月5日 19時30分

―11月から買い取り満了のユーザー出現、蓄電池や「仮想発電所」にも関心高まる―

電力自由化が新ステージに入る。11月以降、 太陽光発電の「固定価格買い取り制度(FIT)」に基づく電力の買い取り期間が満了となる住宅用太陽光発電が出始める。この動きは従来の売電型から自家消費型への動きを促進させることになる。また、FIT見直しの動きは高価格買い取りに依存する企業の淘汰を促す可能性がある一方、新たなビジネスも誕生させている。電力業界では「卒FIT」とも呼ばれる大きなトレンドが生まれている。このなか、「蓄電池」「仮想発電所」などの関連銘柄には投資家の熱い視線が注がれている。

●10年の買い取り保証期間満了で売電から自家消費にシフト

FITは企業や家庭を発電事業者と認定して、発電した再生エネルギーの電気を電力会社が固定価格で買い取る制度。FIT制度が導入されたことで、国内で太陽光発電などが急速に普及した。2009年に開始した住宅用太陽光発電の固定価格買い取り制度の保証期間は10年間で、11月からは買い取り期間が満了となる家庭が生まれる。買い取り期間が過ぎると価格は保証されなくなる。

「卒FIT」を迎える家庭は新たに売電先を契約するか、発電した電力を自家消費することになる。しかし、電力会社による買い取り価格は従来に比べ大幅に下がることになるため、売電によるメリットは低下する。このため、住宅用太陽光発電は従来の売電型の市場から自家消費型の市場に変わることが予想されており、ここで家庭用蓄電池の需要が急拡大するとの観測が浮上している。更に、今年相次いで上陸した大型台風により千葉県で長期停電が発生したことから、分散型電源として家庭用蓄電システムを活用することも注目を集めている。

●「仮想発電所」や「V2H」関連にも注目

加えて、経済産業省は再生可能エネルギーの普及に向けた新たな支援策として、あらかじめ決めた価格で買い取るFITから新たな入札制へ切り替える方針であり、来年の関連法改正を目指している。これら「卒FIT」に絡みVPP(バーチャルパワープラント)という構想も注目されている。これは、「仮想発電所」とも呼ばれるもので、家庭や工場などに点在する太陽光などの再生可能エネルギー発電、蓄電池などをネットワークでつなぎ、一つの発電所のように機能させるもので、電力の需給バランス調整に活用することができる。 電気自動車(EV)と家庭をつないだ「V2H」も改めて注目されている。V2Hとは「クルマ(Vehicle)から家(Home)」を意味する。「卒FIT」に関連し、EVの大容量蓄電池を活用し昼間は太陽光で蓄電し、夜は家庭に給電するような動きが拡大する可能性も出ている。

蓄電池関連の関連銘柄は、パナソニック <6752> やNEC <6701> 、シャープ <6753> 、京セラ <6971> 、ニチコン <6996> など。VPP関連では、富士電機 <6504> や日本ユニシス <8056> 、三社電機製作所 <6882> [東証2]、きんでん <1944> 、ダイヘン <6622> など。V2Hは、デンソー <6902> や三菱電機 <6503> 、豊田通商 <8015> などだ。「卒FIT」に絡んでは再生エネルギー関連株のなかでも「潮流に乗る銘柄と流れに取り残される銘柄に分かれる」(アナリスト)ともみられている。以下、注目銘柄を取り上げた。

●ウエストホールディングス <1407> [JQ]~太陽光発電事業を全国展開。住宅向けからメガソーラーまでをカバー。電力の自家消費などFITに頼らない事業モデルの構築に注力。地域の金融機関との提携を強化し、中小企業向け自家消費太陽光発電設備の普及に注力。

●アズビル <6845> ~資源エネルギー庁の補助事業である「VPP構築実証事業」に参加。エネルギー管理サービス(BEMS)での事業拡大を図る。

●エヌエフ回路設計ブロック <6864> [JQ]~家庭用リチウムイオン蓄電システムを展開。伊藤忠商事 <8001> や英国モイクサ社などと連携したAI技術を活用した次世代蓄電システムではIoT遠隔制御システムを手掛ける。

●ニチコン~蓄電池で高実績。容量16.6kWhのリチウムイオン蓄電池を採用した蓄電池を販売。卒FIT向け蓄電池V2Hシステム「EVパワー・ステーション」も開発。スマホからの対応も可能としており、VPP(バーチャルパワープラント)にも対応。

●日本ユニシス~資源エネルギー庁の補助事業である「VPP構築実証事業」に参加。仮想発電所関連として注目。再エネ自家消費支援システムを手掛ける。

●レノバ <9519> ~太陽光からバイオマス、風力まで展開。再生可能エネルギー発電事業で売電収入が好調。20年3月期業績は増額修正され、過去最高益に。

●イーレックス <9517> ~電力小売りが主力。電力調達先の一つであるJEPXの価格が低位で推移し、収益改善期待が強まる。20年3月期は2期ぶり最高益更新見込みで21年3月期も2ケタ増益の見込み。

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