山内俊哉氏【年末ラリーの前哨戦? ここからの個別株戦略】(2) <相場観特集>

特集
2019年11月18日 19時45分

―米国株は最高値街道、日本株の行方と為替動向を占う―

NYダウなど米国株の主要指数が揃って史上最高値を更新するなか日本株の出遅れ感が意識され始めた。週明け18日の東京株式市場は日経平均株価が目先筋の利益確定売りをこなして続伸、前週に陰線で下回った5日移動平均線を再び回復してきた。年末相場へ向けた下地が整いつつあるとみてよいのかどうか。今後の株式市場見通しと物色対象として有力視される銘柄を第一線で活躍する市場関係者に聞いた。また、全体相場に大きな影響を及ぼす為替の動向についても専門家に意見を求めた。

●「米中協議は先送りの可能性も」「英国のEU離脱がリスク要因」

山内俊哉氏(上田ハーロー 執行役員)

これから年末に向けて、為替相場をみるうえでのポイントは、やはり米中貿易協議の行方だ。12月10~11日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が予定されているが政策は現状維持が予想される。米金融政策が焦点にならない分、米中動向に関心が高まる。しかし、米中協議は「来年に先送り」となることもあり得ると思う。

中国には景気減速の懸念が高まっている。米国による対中関税引き上げは致命傷になりかねず、これ以上の悪化要因は避けたいところだろう。

ただ、米国にとっては足もとの株価は最高値水準にあり、いまのままでも構わない状況だ。

こうしたなか、中国としては何らかの妥協をしつつ先送りを図ることはあり得るだろう。米中首脳会談の日程も定かではないなか、12月15日に予定されている米国の対中第4弾関税引き上げも来年に持ち越す形で、先送りとなる可能性は小さくないと考える。

仮に中国による米国の農産物の購入拡大という「第1弾」の合意があったとしても、知的財産権や産業補助金といった「第2弾」での隔たりは大きい。このため、第1弾の合意ができてもドルの上昇は一時的だろう。

12月末に向けドルのレンジは1ドル=107円30~110円50銭を見込む。トレンドは108円後半を中心にしたドルのジリ高を予想する。

年末に向けたリスク要因として、12月12日に予定されている英国の総選挙がある。ここで英保守党が勝利し、英国はブレグジット(EU離脱)に向かう可能性がある。この際、一時的にポンドは買われるかもしれないが、英国の景気悪化やスコットランド独立への懸念が高まり、買い一巡後は再度売られるだろう。

ブレグジットの動きは、景気低迷と金融緩和が続くユーロ圏には逆風となる。ユーロは1ユーロ=1.076~1.1200ドルのレンジのユーロ安を予想する。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(やまうち・としや)

上田ハーロー、執行役員・マーケット企画部長。1985年 商品先物会社入社。コンプライアンス、企画・調査などを経て1998年4月の「外為法」改正をうけ外国為替証拠金取引の立ち上げを行う。2005年7月 上田ハーロー入社。前職の経験を生かし、個人投資家の視点でブログなどへ各種情報の発信やセミナー講師に従事。日経CNBC「朝エクスプレス」為替電話リポートに出演のほか、金融情報サイトなどへの情報提供などでも活躍している。

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