人気本番「半導体パッケージ関連株」、データセンター需要拡大で変わる世界 <株探トップ特集>

特集
2019年11月19日 19時30分

―3D積層など新技術に市場の熱視線、「5G」がデータセンター用半導体ニーズを喚起―

半導体関連業界が活気づいている。米国などを含むチップメーカーや製造装置関連株は、昨年までの伸び悩みから復活し軒並み高値圏に上昇している。こうしたなか、半導体パッケージ基板など周辺株を見直す動きが強まり始めた。 データセンター向け半導体需要が伸びるとともに、イビデン <4062> や新光電気工業 <6967> など半導体パッケージ基板とその関連株への注目度が高まっている。

■「5G」に向けデータセンター用半導体需要拡大、米インテルの存在感高まる

半導体関連株の人気が強い。米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は15日に一時1758ポイントと史上最高値を更新。特に、14日引け後に発表された米アプライド・マテリアルズの決算が好調だったことが好感された。この半導体株物色の流れに乗り、東京市場では東京エレクトロン <8035> やSCREENホールディングス <7735> といった半導体関連銘柄に対する物色人気が続いている。そんななか、イビデンや新光電工などが高い競争力を持つ半導体パッケージ基板の成長力が注目を集めている。

半導体パッケージ基板とは半導体とプリント配線板 (マザーボード)をつなぐ配線板のこと。半導体とマザーボードとの間での情報のやりとりを行う。半導体需要を押し上げている要因の一つにデータセンター向けの拡大がある。特に、「5G」の時代を迎えるにあたり、データ量が飛躍的に増大するとともにデータセンターで使われるサーバー向けのメモリーやCPU(中央演算処理装置)などへの需要の一段の拡大が見込まれている。このデータセンター向けCPUで高シェアを誇るのが米インテルだ。続いて台湾のTSMCが攻勢をかけている。

■3次元積層のパッケージ技術の普及で日系メーカーに活躍期待

インテルやTSMCはデータセンター向け需要の拡大も視野に足もとで大型投資を進めているが、特に今後は複数の半導体チップをパッケージ内で3次元方向に積層してパッケージする「3D積層」と呼ばれる技術が本格的に取り入れられるとみられている。

3D積層パッケージによりCPUの性能が向上すれば、データセンター向け半導体市場は一段と活気づくことが予想されている。この3D積層パッケージなど半導体パッケージ基板関連での日系企業の活躍が期待されている。以下では、半導体パッケージ基板の関連銘柄の動向を探ってみたい。

●イビデン~ICパッケージの大手でインテル向けが主力。20年3月期の設備投資額は前期比3.9倍の900億円と過去最高を計画。ICパッケージ基板関連の投資を前倒しする。20年3月期の連結営業利益は前期比68%増の170億円の見込み。来期以降も2ケタ増益が予想されている。

●新光電気工業~半導体パッケージ・リードフレーム大手。インテルなどへ供給。18~21年度に次世代の半導体用フリップチップパッケージ向けに540億円を投資。生産能力は約40%増に。10月に20年3月期業績を減額修正も、来期以降の回復に期待。

●日東紡績 <3110> ~ガラス繊維の大手。半導体パッケージやプリント基板向けにガラスクロスを供給。5Gの普及に伴い、半導体デバイスには高周波特性に優れたガラスクロスが求められることが注目されている。

●太陽ホールディングス <4626> ~プリント配線板用ソルダーレジストインキで世界トップ。医薬事業にも展開。データセンター向け需要拡大に伴うサーバー用CPUの生産増は追い風に働く。

●味の素 <2802> ~子会社味の素ファインテクノではCPUの絶縁材である「ビルドアップ基板向け絶縁フィルム(ABF)」を生産。絶縁フィルムで世界トップシェアを誇る。高性能半導体に特化した生産を進めている。

●JCU <4975> ~配線板の回路設計で使うめっきの添加剤などを製造。5Gでは半導体パッケージ基板に対する品質要求は一段と高まり、銅めっきは隙間なく密着することなどが求められるため、添加剤も高品質な製品が求められる。

●メック <4971> ~電子基板向け中心の薬品会社。高い密着性を実現するエッチング剤「CZシリーズ」などを展開。樹脂との密着度を飛躍的に高めたことで、世界のパッケージ基板メーカーから幅広く採用されている。

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