富田隆弥の【CHART CLUB】 「調整一巡、師走相場へ」
◆いまなお米中両国の駆け引きにマーケットが揺らされている。11月16日のアジア太平洋経済協力会議(APEC)で署名予定だった「部分合意」もいまだ決まらず、合意に関する要人のコメントも「楽観」、「悲観」とコロコロ変わる。それに振り回される投資家はたまらない。トランプ氏のツイートと秋の空。香港情勢は気掛かりだし、12月15日に迫る米国による対中追加関税発動もあり、米中両国に振り回される展開はまだ続くことだろう。
◆日経平均株価は11月8日の高値2万3591円から調整に入った。日足、週足とも二段上げのN波「2万3500円」を達成したほか、日柄でも7月25日や9月19日の高値から17週、9週を経過し、調整してもおかしくないタイミングだった。
◆そして、21日に日経平均は一時2万2726円(前日比421円安)と急落したが、引けは2万3038円(同109円安)と下げ幅を縮めて終え、日足は長い下ヒゲ伸ばす「たくり足」となり、11月1日に空けた窓(2万2852円)を埋めた。11月8日高値から日足は10本目(変化日)の安値で、22日は前場段階で142円高の陽線で「明けの明星」となり、一時割り込んだ25日移動平均線(2万3015円)の上に浮上する。これで日足チャートは「調整一巡」と見ることができる。
◆今週の米国は28日が感謝祭(休場)で、29日から年末商戦が始まる。ブラックフライデー(29日)、サイバーマンデー(12月2日)と今年の年末商戦も前年比+4%程度の好調が予想されており、株式市場も12月上旬にかけて上昇するアノマリー(経験則)がある。 NYダウは11月19日に過去最高値2万8090ドルをつけ、そこからスピード調整に入っており、どこで切り返すかが注目される。
◆日本も師走が近づき忙しくなる。小売業は 年末商戦に注力するし、金融機関はボーナス資金獲得作戦に尽力し、証券界も「株高」をアピールしたい時期となる。日経平均は11月8日の高値2万3591円奪回から2万4000円を目指すような上昇に転じてもおかしくない。とはいえ、米中両国の状況で乱高下しやすいことや、日本株の上昇にはNYダウの上昇が不可欠であることを承知しておきたい。
(11月21日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース