明日の株式相場戦略=13兆円財政出動で新たな株高潮流

市況
2019年12月9日 17時36分

週明け9日の東京株式市場では日経平均が3日続伸と上昇歩調を継続。きょうは寄り天(始値がきょう1日を通じての高値)となったものの、一時はマイナス圏に沈むかとみられたところで切り返し、2万3400円台で着地する粘り腰を発揮した。

米景気減速に対する警戒感が強くなっていたが、マーケットが身構えたところで発表された11月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数が26万人6000人増と市場コンセンサスの18万人増を大きく上回った。これで米景気に対する不安が完全に拭えたわけではないものの、投資家マインドの改善につながった。今週は、FOMCやECB理事会、更にブレグジットの帰趨を占う英国総選挙も行われる。そして週末金曜日にメジャーSQ算出を控えるとあっては、イベントに絡めた先物主導の荒い値動きも想定されるところであり、総論的には模様眺めもやむなしという場面。しかし、全体は薄商いでも個人投資家の熱気はムンムンで、経済対策周辺の内需株の値動きに乗り遅れまいとするムードが強い。

個別株に目を向けると前週の事業規模26兆円、財政支出13兆2000億円の大型経済対策決定を受け、建設関連の中小型株に投資資金の流入が加速している。建設コンサルティング会社の高収益体質が投資家サイドに広く認知され始めた矢先、建設会社へのICT導入というテーマと相まって相場に発展する銘柄が相次いでいる。

先駆した応用地質<9755>などは上昇一服となったが、株価が3ケタ台で値ごろ感のあるオオバ<9765>が本領を発揮し900円台乗せ。光通信<9435>大株主に有するFCホールディングス<6542>は一時ストップ高に買われる脚力の強さをみせている。

このほかでは、中堅だが橋梁や道路で実績の高い大日本コンサルタント<9797>なども面白い存在。高速道路の耐震補強など文字通り国土強靱化関連に括(くく)られる銘柄であり、現在進行形で積み上がる受注が早晩評価されそうだ。また、 建設コンサルタントでまだ株価が500円未満と低位に位置するウエスコホールディングス<6091>は西日本を地盤に官公需向けで実績が高い。ここ動意しているものの、依然としてPBR0.5倍前後と割安でマークしておく価値がある。建設コンサルタント以外ではコンクリート2次製品を手掛ける銘柄に足の軽いものが数多く存在している。そのなか、日本ヒューム<5262>は中段で売り物をこなした後、上空に吸い上げられるようなチャートで追撃妙味を感じさせる。

また、今回の経済対策で骨子のひとつである教育ICT関連も続々と動き出している。パソコンを使った双方向授業の先駆であるチエル<3933>はその筆頭だが、こういったテーマ買いの大きな波が来ている時は、株価が初動で上値余地の大きい銘柄を探す作業が大切となる。そのなか、さくらインターネット<3778>に着目。同社は、NTTデータ<9613>などと、教育機関向けクラウドサービス「edumap(エデュマップ)」を展開しており、今後活躍余地が広がる。同じく教育ICT関連で浮上前夜の気配にあるのがネオス<3627>。AI・IoT分野に経営資源を投下、特にキッズ向けでノウハウを持っており、今の政策恩恵を大きく享受できるポジションにいる。このほか同じ範疇の株では、前週取り上げたシステム ディ<3804>は学校法人向けを主力に特定業種特化型の業務ソフトを開発・販売するが、きょうは引け後に19年10月期業績予想と配当の増額を発表、チャートの強い銘柄は実態面のアドバンテージを内在させているケースが多いことを改めて認識させられる。

日程面では、あすは朝方取引開始前に11月のマネーストック、引け後には11月の工作機械受注が発表される。また、10月の特定サービス産業動態統計速報など。また、IPOではテクノフレックス<3449>が東証2部に、ALiNKインターネット<7077>がマザーズに新規上場する。海外では、11月の中国消費者物価指数、中国生産者物価指数の発表のほか、11日までの日程でFOMCが開催される。このほか任天堂<7974>の「ニンテンドースイッチ」が中国で発売される。(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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