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2019年12月25日 19時30分
特集

吹き始めた国策の風 マイナンバー普及本腰で急騰シナリオに乗る銘柄群 <株探トップ特集>

―マイナポイント付与により普及促進、政府が描く23年3月末100%保有の青写真―

普及が進まないことがたびたび話題に上る「マイナンバーカード」だが、普及促進を図るため、政府が本格的に力を入れ始めた。先ごろ閣議決定された政府の2020年度予算案では、マイナンバーカードの保有者にポイント(マイナポイント)を付与する新制度に約2500億円を当てることが明らかになった。

新制度は、マイナンバーカードを持つ人が キャッシュレス決済で2万円の買い物をすると、民間のキャッシュレス決済を通じて買い物に使える5000円相当の「マイナポイント」がもらえる仕組み。消費増税後の需要喚起と、東京オリンピック・パラリンピック大会後の個人消費下支えに向けた対策と位置付けられており、20年9月から21年3月までの7ヵ月間実施する。

対象となるためにはマイナンバーカードとマイキーID(専用のID)の取得が必要であることから、マイナンバーカードの普及を後押しするとみられ、20年はマイナンバーカード関連銘柄に改めて脚光が当たることになろう。

●現在のマイナンバーカード普及率は14%

マイナンバーカードは、周知の通り個人番号を証明する書類や本人確認の際の身分証明書として利用が可能で、さまざまな行政サービスを受けることができるカード。ただ、カードの申請・受け取りに手間がかかるうえ、既存の「自治体ポイント」は自治体が指定した店舗でしか使えないため、取得のメリットが小さいことなどが課題として挙げられている。そのため、政府の思惑ほどには普及が進んでいない。

総務省が発表しているマイナンバーカードの交付状況をみると、17年3月8日時点の交付枚数は約1071万枚で、人口に対する交付枚数率(普及率)は8.4%だった。その後、普及率は上昇を続けているものの、19年11月1日時点では1823万枚の14.3%にとどまる。最近では、運転免許証を返納した代わりにマイナンバーを取得する人も増えているというが、それでも国民の7人に1人が持っているに過ぎないのが現状だ。

●23年3月末にはほぼ全ての住民への普及が目標

政府は、20年9月のマイナポイントによる消費活性化策実施を目前に控えた7月末に交付枚数3000~4000万枚、21年3月末のマイナンバーカードの健康保険証利用の本格運用開始時に同6000~7000万枚、22年3月末の医療機関などのシステム改修概成見込み時に同9000~1億枚、23年3月末にはほとんどの住民がカードを保有するという目標を掲げている。

特に、健康保険証としての活用では、診療時の本人確認や保険資格確認での利用に加え、本人の同意のもとで服薬履歴や特定健診情報を医療機関などで閲覧可能にすることで、医療の質の向上効果なども見込まれている。政府では20年度で医療機関の6割程度、21年度で9割程度、22年度で概ね全ての医療機関での導入を目指している。

●総務大臣認定事業者にメリット

前述の予算案では、マイナポイント付与の原資や円滑な運用のためのシステムの設置・管理、円滑な発行を行うための交付事業費や事務費の補助金などが盛り込まれている。マイナポイント制度の導入には国や自治体だけではなく、決済事業者のシステムもそれぞれ改修する必要があり、ここにビジネスチャンスが広がりそうだ。

民間企業では既にマイナンバーカード電子証明書による本人確認サービス「公的個人認証サービス」を活用した各種ソリューションが徐々に広がりをみせている。現在は住宅ローンの契約手続きや証券口座開設手続きなどの場面で主に活用されているが、政府のマイナンバーカード普及施策が進めば、更にさまざまな場面で活用されるようになろう。「公的個人認証サービス」は、システムや組織・人的措置などで一定基準をクリアした総務大臣認定事業者や、その事業者に電子証明書取引などの全業務を委託した企業が利用できることから、総務大臣認定事業者はプラットフォーマーとしてメリットを受けよう。

●パイプドHDにビジネスチャンス

その総務大臣認定事業者には、NTTデータ <9613> 、野村総合研究所 <4307> 、凸版印刷 <7911> 、日立製作所 <6501> 、NEC <6701> など大手システムベンダーが名を連ねるが、パイプドHD <3919> 傘下のパイプドビッツもその一社だ。

同社は、情報資産プラットフォーム「スパイラル」を基盤として、公的個人認証サービスを利用してオンラインで本人確認ができる「スパイラル本人確認サービス」を開発。従来の書類の提出による本人確認では指定書類の取得やコピー、郵送、保管など利用者と民間事業者双方に手間と人的コストがかかっていたが、同サービスのAPIを利用することで、民間事業者は個別に総務大臣の認定を受けることなく、公的個人認証サービスを利用した本人確認システムを構築することができるようになる。また、8月には国内初となるマイナンバーカード×顔認証×ブロックチェーンを用いた、ネット投票システムをつくば市に提供し、実証実験に成功した。パイプドHDの20年2月期営業利益は前期比3.0倍の12億円見通しと好業績も注目できる。

●ITbookやスマバも関連銘柄として注目

総務大臣認定事業者ではないものの、ITbookホールディングス <1447> [東証M]は、傘下のITbookが東京都をはじめとする多くの自治体にマイナンバーのコンサルティング業務を提供しているほか、マイキープラットフォームの構築や運用を支援。今年9月にマイナポイントの実施が発表されて以降、地方自治体や商工会議所からの問い合わせや受注が増加しており、「今後、更なる支援業務受注増が見込まれる」という。同社の20年3月期営業利益予想は3億8900万円(前期比6.0倍)で、こちらも好業績を見込んでいる。

スマートバリュー <9417> は、スマートフォンにマイナンバーカードをかざして個人認証し、転出入などの行政手続きを簡略化できるサービスを20年春にも開始する。事前にスマホで個人情報を入力することにより窓口で書類を書く手間が省け、手続きによっては利用者が役所を訪れる必要がなくなるようになる。同社はデジタルガバメントを成長領域と位置付けて注力しており、22年6月期に営業利益8億円を目指す中期計画の成長ドライバーとする方針だ。関連銘柄ではこのほか、マイナンバーの認証強化ソリューションを手掛けるジャパンシステム <9758> [JQ]などもテーマとの感応度が高い。

●自治体の発行窓口効率化を支援する内田洋とTKC

一方、政府がマイナンバーカードの普及に本腰を入れたことで、混乱が予想される自治体窓口に向けたサービスを手掛ける企業もメリットが期待できる。

内田洋行 <8057> は、マイナンバーカードを読み込ませると、カードの基本情報を転入届などの届出書や、住民票や戸籍などの各種証明書の申請書に印刷するマイナンバーカード対応記帳台を自治体向けに展開しているが、カード発行予約受付システムやマイナンバーカード収納システムなどマイナンバーカード交付事務にかかる窓口対応支援もワンストップで提供し交付窓口の効率化支援で注目される。

また、TKC <9746> は、手入力に頼るカード情報の管理をOCRなどを使って半自動化するほか、交付までの手続きもシステム上で管理できるマイナンバーカードの交付作業を効率化するマイナンバーカード交付予約・管理システムを20年春をメドに投入する予定で、22年度末までに全国300市町村での導入を目指している。

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