2020年の利益成長“青天井”ばく進、有力株リスト <新春特別企画>
本日10時に配信した「2020年【業績最強株】候補リスト」に続き、今年活躍が期待される銘柄を探ってみたい。本特集では、直近四半期に過去最高益を更新し、かつ通期見通しも最高益を見込む、いわゆる利益が“青天井”状況になっている銘柄に注目した。
下表では、時価総額80億円以上1000億円未満の中小型株を対象に、本決算月にかかわらず、直近の3ヵ月決算において経常利益が全四半期ベースで過去最高益を10%以上、上振れて更新した銘柄をピックアップ。さらに、会社側が今期(通期計画)も過去最高益を5%超上回る見通しを示している39社を選び出し、直近四半期経常利益の過去最高益に対する上振れ率が大きい順に記した。
上振れ率トップに輝いたのは、システム開発会社のアイル <3854> 。中小企業向けを中心に基幹業務システムやECサイトの一元管理・販促システムなどを提供している。直近3ヵ月の19年8-10月期(第1四半期)は消費増税前の駆け込み需要や来年1月の「Windows7」サポート終了を背景に、販売・在庫・生産管理システム「アラジンオフィス」を中心に受注が大きく伸び、経常利益は8.5億円と過去最高を2.4倍も上回って着地。第1四半期業績の好調を踏まえ、早くも通期計画を大幅上方修正し、2期連続の最高益予想をさらに上乗せした。株価は12月20日に約6年2ヵ月ぶりに上場来高値を更新している。
2位のイーレックス <9517> と5位のナガオカ <6239> [JQ]の株価も堅調で青空圏を走る展開が続く。新電力会社のイーレックスは新規パートナーの開拓が進み、家庭用など低圧小売部門の販売電力量が急増したうえ、電源調達で安価な市場取引の比率を高めたことも利益を押し上げ、7-9月期(第2四半期)の経常利益は3四半期連続の最高益更新を果たした。
一方のナガオカは石油関連プラントの心臓部に使われる内部装置“スクリーン・インターナル”の大手企業。7-9月期(第1四半期)は前期に受注した大型案件の製造が進んだうえ、材料調達で大量購入による価格引き下げに成功し、原価が大幅に低減したことも利益を押し上げた。業績好調に伴い、20年6月期の経常利益予想を2期ぶり最高益となる8.4億円(前期比2倍)へ大幅上方修正している。
選出リストでは、首位のアイルを筆頭に、業務効率化を中心とする旺盛なIT投資ニーズを追い風に業績を伸ばす銘柄が目立つ。6位に入った福井コンピュータホールディングス <9790> の7-9月期(第2四半期)は建設現場の生産性向上を図るi-Constructionの普及やIT導入補助金の後押しを受けて主力の測量土木CADソフトが大きく伸びた。また、7月に行われた参議院選挙の出口調査システムの売り上げを計上したことも収益を押し上げた。
8位にリストアップされたシグマクシス <6088> は、デジタル技術を活用してビジネスモデルの変革を行うDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するコンサルティング会社。7-9月期(第2四半期)は基幹業務システムのクラウド化サービスを立ち上げたことに加え、基幹システム更新など大規模プロジェクト管理の受注が伸び、売上高、経常利益ともに四半期ベースの過去最高を達成した。
10位の会計ソフト大手、ピー・シー・エー <9629> は消費増税や「Windows7」サポート終了前の駆け込み特需を背景にパッケージソフトのバージョンアップ収入が大幅に増加したほか、働き方改革に対応した就業管理ソフトも好調で、7-9月期(第2四半期)は実に54四半期ぶりに過去最高益を塗りかえた。今後は急拡大しているクラウドサービスを牽引役に成長を続ける構えだ。
製造業に目を移すと、5位ナガオカのほか、松風 <7979> 、ホロン <7748> [JQ]、新晃工業 <6458> などがリスト入りした。17位の松風は国内でデジタル口腔撮影装置や歯科用超音波治療器などの販売が伸びたうえ、販管費が減少したことも寄与し、7-9月期(第2四半期)の経常利益は17四半期ぶりに過去最高益を更新した。
29位に入ったホロンの7-9月期(第2四半期)は半導体大手などが半導体デバイスの微細化への投資を進めるなか、主力のフォトマスク用寸法計測装置や次世代露光技術であるEUV(極端紫外線)マスク検査向け観察・分析装置の販売が増勢だった。同社は半導体微細化の新技術として注目を集めるEUV周辺の有力株としても脚光を浴びている。
33位の新晃工業 <6458> はセントラル空調機器の国内トップメーカーで、新国立競技場などオリンピック関連大型施設にも納入実績を持つ。7-9月期(第2四半期)は都市再開発案件など良好な事業環境が続くなか、戦略受注による収益性向上が奏功し、経常利益は前年同期比2.4倍の26.2億円に膨らんだ。予想PER9.7倍と割安感が強く、株価の水準訂正余地は大きいとみられる。割安成長株では25位のエーアンドエーマテリアル <5391> (予想PER5.8倍、PBR0.81倍、配当利回り3.45%)などもマークしておきたい。
┌─ 四半期 経常利益 ─┐ ┌── 通期 経常利益 ──┐ 予想
コード 銘柄名 上振れ率 直近四半期 過去最高 上振れ率 今期予想 過去最高 PER
<3854> アイル 142 851 351 58.0 1536 972 49.3
<9517> イーレックス 94.0 3541 1825 58.3 7189 4540 23.9
<3328> BEENOS 78.4 1775 995 73.6 3000 1728 9.3
<9519> レノバ 70.6 1711 1003 18.5 4100 3460* 27.1
<6239> ナガオカ 66.4 356 214 68.7 847 502 15.2
<9790> 福井コン 48.2 1775 1198 15.2 4780 4149 22.9
<2453> JBR 48.1 714 482 6.8 2100 1967 22.1
<6088> シグマクシス 47.8 702 475 47.5 1950 1322 33.9
<3983> オロ 47.6 487 330 11.7 1325 1186 70.0
<9629> PCA 46.1 1191 815 36.6 2435 1783 21.6
<6175> ネットマーケ 45.4 410 282 43.5 812 566 24.6
<3852> サイバーコム 41.0 385 273 5.5 650 616 42.9
<9416> ビジョン 36.5 1338 980 30.0 3248 2499 41.1
<6086> シンメンテ 36.5 344 252 15.2 742 644 24.1
<3538> ウイルプラス 34.2 490 365 10.3 1384 1255 9.8
<2751> テンポスHD 33.3 804 603 16.8 2605 2231 22.3
<7979> 松風 27.1 742 584 12.6 1941 1724 20.9
<6199> セラク 21.8 296 243 5.8 780 737 25.7
<7856> 萩原工業 20.7 949 786 5.3 3000 2850 12.0
<2477> 手間いらず 19.7 298 249 31.8 1164 883 56.2
<8704> トレイダーズ 19.0 1138 956 103 1750 864 10.3
<7638> NEWART 17.7 1090 926 13.5 2710 2388 7.7
<3201> ニッケ 17.5 3686 3137 9.6 10000 9128 13.0
<3984> ユーザーロカ 15.5 171 148 13.6 601 529 73.9
<5391> A&AM 15.3 1153 1000 14.3 3000 2624 5.8
<3917> アイリッジ 15.1 99 86 18.5 250 211 77.7
<3245> ディアライフ 14.3 2298 2010 17.3 4000 3409 8.4
<3837> アドソル日進 14.1 339 297 9.5 1108 1012 30.2
<7748> ホロン 13.8 420 369 36.4 1106 811 25.5
<6556> ウェルビー 13.4 508 448 21.5 1787 1471 40.4
<2445> タカミヤ 13.2 1319 1165 9.2 3630 3325 13.4
<3475> グッドコムA 13.1 597 528 32.6 2188 1650 9.7
<6458> 新晃工 12.2 2628 2342 23.2 7900 6411 9.7
<2395> 新日本科学 12.0 1209 1079 24.0 2000 1613 18.8
<8117> 中央自 11.7 1637 1466 19.8 5700 4758 10.8
<3031> ラクーンHD 10.9 194 175 22.9 670 545 36.4
<4714> リソー教育 10.8 1400 1264 18.1 3000 2540 31.7
<3919> パイプドHD 10.7 372 336 37.7 1190 864 26.7
<9795> ステップ 10.2 1138 1033 5.1 2900 2760 13.2
※「*」レノバの通期経常利益の過去最高益(19年3月期)は10ヵ月の変則決算。
※ 18年1月以降に上場した企業と今期見通しを開示していない企業は除いた。四半期の過去最高益は原則、四半期決算の開示が本格化した2003年4-6月期以降の業績に基づいたものです。
★元日~6日に、2020年「新春特集」を一挙、“26本”配信します。ご期待ください。
株探ニュース