大相場への扉が開く、AI・IoT「倍騰株スーパーセレクション5」 <株探トップ特集>
―眠りから目覚め、強烈な上昇トレンド構築に動き出した“システム系”珠玉株―
2020年の新春相場は大発会こそ中東の地政学リスクが意識されるなか波乱含みに幕を開けたが、その後はバランスを立て直し再びリスクオンの流れを取り戻した。何といっても強靱な米国株の動向が支えとなっているが、たとえNYダウが短期調整に入っても、相対的に出遅れ感が顕著な日本株は海外投資家の資金シフトの対象として優位性を発揮しそうだ。日経平均は因縁場ともいえる2万4000円トビ台で瀬踏みを繰り返しているが、早晩売り物をこなし、バブル崩壊後高値である18年10月2日の終値2万4270円を払拭して新たなステージに突入することになるだろう。
●来期以降の成長を先取りする大相場が始まる
そうしたなか、ここまで雌伏局面にあった材料株に眠りから覚めるがごとく急速に上値を伸ばす銘柄が相次いでいる。今の中小型材料株の活況ぶりは、米国を中心軸とする世界的な過剰流動性を土台に、個人投資家にとどまらない大口の資金が継続的に実需買いを入れている背景がある。それを象徴するのがジャスダック市場の動きで、日経ジャスダック平均は昨年9月を起点にブレることなく定規で線を引いたような一本調子の上昇トレンドを形成、そのほとんどが週足陽線であり、ファンド系資金の組み入れの動きが進んでいることをうかがわせる。
もちろんこれはジャスダックの銘柄が優れているということではなく、東証1・2部、マザーズなど市場を問わず、中小型の成長期待の強い銘柄に対する評価が進んでいることを反映するものだ。
米中貿易摩擦や国内の消費税引き上げなどを背景に19年は企業の収益環境に北風が吹き続けた。総論として各社の今期(20年3月期)業績を警戒して買いを入れにくいという心理が働いていたが、既に舞台は回り、投資家の思考は来期業績の拡大期待へと変わっている。そして、同時にDX(デジタルトランスフォーメーション)と定義されるビジネス環境の構造的変化をマーケットは感じ取っている。次世代テクノロジーである人工知能(AI)やIoTを企業側が重要な成長の歯車と認識し取り込む動きが活発化、この流れに乗って商機を捉える システム開発・ITソリューション系銘柄に大相場の気配が漂い始めている。
17日の東京市場で例を挙げれば、大和コンピューター <3816> [JQ]が6連騰で一時500円高はストップ高に買われる人気となったほか、東海ソフト <4430> [東証2]も250円近い上昇で1700円台に乗せる場面があった。また、アイレックス <6944> [JQ]も222円高と値を飛ばし高値引けで中段を上放れてきた。こうした動きは一つの大きな潮流となって全体相場を包み込んでいる。
●強い株につけ、ダブルバガー候補の珠玉5銘柄
今は成長シナリオを素直に評価して、強い株がより強くなる相場だ。テンバガー(10倍株)とは言わないまでも、ダブルバガーやトリプルバガーとして株価変貌を果たす銘柄が昨年来いくつも輩出されているが、今回はその流れに最も乗りやすいシステム・ソリューション分野の珠玉株を5銘柄エントリーした。
【NCS&Aはホテル関連システムで強力な追い風】
NCS&A <9709> [東証2]は年明けから上値慕いの動きを強めているが、収益環境には構造的な追い風が吹いており600円近辺は絶好の仕込み場となろう。日々の値動きはまだおとなしいものの、17年7月につけた620円の高値を払拭しギアチェンジに期待がかかる。独立系のソフト開発会社で、成長領域の AI・IoT分野に経営の重心を置いている。システム可視化ソリューションでは大手企業の引き合い旺盛で信頼性が高い。ポイントとなるのは、東京五輪を境に再び増勢が予想される訪日客需要によって潤うホテル関連のシステムを取り扱っていること。同社はホテルの宿泊システム全般においてはNEC <6701> のトータルパッケージソフトを販売するほか、自社の主力製品である宿泊インターネット予約システム「i-honex」の評価が高い。全国280のホテルに導入し、ユーザビリティーの高さと充実したサポートで高水準の需要を獲得。大阪本社ということもあって、地の利を生かし25年の万博特需も優位に取り込むことが予想される。19年4-9月期営業利益は前年同期比88%増と急拡大、20年3月期の7億円予想は上振れの公算大。
【キーウェアは大相場形成へ急騰スイッチオン】
キーウェアソリューションズ <3799> [東証2]は上値指向が強いが佳境入りはまだ先で、大相場に発展する素地を内包している。13年に2154円まで買われる急騰相場を演じたが、この時の初動がここ数ヵ月で形成された上昇波と似ている。同社は総合システム開発を手掛け上位株主であるNECとの取引関係が厚い点が一つのポイント。そして同社が得意とする分野はERPやセキュリティーにとどまらず、現在人気株の輩出が相次ぐ農業ICTや医療ICTのテーマと完全に合致している点が2つ目のポイントで、大型案件獲得をバネに中期的に収益成長が加速するシナリオも想定される。農業ICTでは熟練農業者の技能の可視化と技能継承の支援を行うOGAL(オーガル)を展開。また、医療ICTでは検査システム、院内感染対策システム、医療安全管理など広範囲に自社製品で対応、パートナー製品と合わせ幅広いソリューションをワンストップで提供する。必要なバイタルデータを記録しながら、健康をサポートする健康情報管理ソリューション「健康からだコンパス LifeRoute」による法人向け需要開拓にも傾注している。
【クロスキャットは最高値睨み上放れの緒に就く】
クロスキャット <2307> は1000円近辺を軸とするもみ合いを約1年続けていたが、満を持して本格上放れの緒に就いた。キャッシュレス化や マイナンバーの普及途上で活躍余地は大きく、今期予想される収益水準をモノサシに18年5月につけた上場来高値1740円の奪回は決して高いハードルではない。クレジット会社向けや銀行・保険会社など金融機関向け大規模システム開発で高い実績を有するが、足もとは流通や製造業のほか、保険向けの大型案件が収益に寄与しており、20年3月期営業利益は会社側計画の6億6000万円から7億7000万~8億円前後に上振れする公算が大きい。現時点では7.7%減益予想ながら、一転して2ケタ増益に転じる可能性が高いほか、21年3月期は30%前後の高い伸びで初の10億円台乗せが有望視される。政府はマイナンバーカードの保有者にポイントを付与する新制度の予算を組んで普及を図る方針で、同社にとってもフォローの風が強まる。また、金融向け中心に業務効率化の切り札であるクラウド型AI-OCRサービスなどに収益貢献期待が大きい。増配や自社株買いなど株主還元にも積極的。
【アジア航測は急騰パフォーマーのDNA開花へ】
アジア航測 <9233> [東証2]の4ケタ大台近辺は絶好の買い場と判断される。19年9月期は営業利益13億4600万円と前の期比40%を超える伸びをみせたが、20年9月期も2ケタ増益の15億円を計画するなど収益成長トレンドが続く。測量土木の大手で空間情報の計測のほか、GIS(地理情報システム)などの情報システムにも展開、官公庁に強く国土強靱化では大きなビジネスチャンスを捉える。3次元レーザー計測による鉄道ICTソリューションへの展開でも注目される。AI搭載型ドローンなどのソリューションビジネスを展開するALIテクノロジーズとは業務提携関係にあるが、筆頭株主であるJR西日本グループを交えドローン活用ビジネスに積極的に踏み込んでいる。株価は昨年11月に底値圏から急浮上、1000円トビ台まで買われた後、調整を入れていたが上昇第2ステージに向け機は熟した。急騰習性があり、17年7月に500円台の株価を1900円台まで短時日で駆け上がった実績がある。ひとたび人気に火が付けば水準訂正のスピードは速い。
【KYCOMは大化け実績、超小型株特有の快足魅力】
KYCOMホールディングス <9685> [JQ]は持ち前の足の軽さを発揮し、大きく株価の居どころを変える可能性が高い。時価総額30億円前後の小型株で、人気化した際の瞬発力は抜群。15年2月に5日連続のストップ高を交え、6営業日で株価を4倍以上に大化けさせた経緯がある。通信分野やエネルギー分野で優位性を持つシステム受託開発会社であり官公庁にも実績の高い企業として成長路線を走る。19年3月期は営業利益が前の期比2倍となった。20年3月期も営業8%増益と増益基調をキープする見通し。各省庁が来秋をメドに基幹システムにおけるクラウド環境構築を本格化させる構えにあり、官公庁版DX関連として同社のビジネスチャンスが広がることになる。また、社員の資格取得を後押しし、人材面からのレベルアップにも抜かりなく取り組んでいる。株価は昨年来高値を約1年ぶりに更新した矢先の段階にあるが、中期波動では週足でみた一目均衡表の分厚い雲を上に突き抜ける局面にあり、テクニカル的にも妙味が高まっている。
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