来週の株式相場戦略=新型肺炎の懸念織り込みへ、DX関連銘柄の動向注目
今週は、中国からの新型肺炎の感染拡大懸念で、日本や米国の株式市場が波乱となる予想外の展開となった。来週は、2万4000円回復を視野に入れた下値固めが予想される。想定レンジは2万3650~2万4100円。
2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の感染拡大の際も、相場の下げ要因となったことが想起され、市場には警戒感が強まっている。中国の春節が終わる30日頃までは、新型肺炎関連に相場が左右される状態は続くとの見方もあるものの、徐々に懸念要因は織り込まれる展開が予想される。
とは言え、「新型肺炎が絶好の売りの口実となった」(アナリスト)という面も小さくない。米国でNYダウは最高値圏にあるが、PERは19倍前後と高水準にある。日経平均株価も一時2万4000円台を回復したが、今後のV字回復が期待できるほど強い決算が期待できるか、どうかには不透明感が出ている。「株価の一段の押し上げには業績の裏付けが必要」(市場関係者)であり、来週から本格化する日本企業の10~12月期決算と米国決算が注視されている。
27日の日東電工<6988>に続き、28日に信越化学工業<4063>、29日にアドバンテスト<6857>、30日に東京エレクトロン<8035>といった半導体関連企業が決算を行う。30日にはアンリツ<6754>の決算も予定されている。「半導体 」「5G」といった中心テーマ株への投資スタンスはその決算内容に左右されそうだ。
さらに、半導体などと並び今年の重要テーマとなっているのがIT投資に絡む「DX(デジタルトランスフォーメーション)」だ。そのDX関連の注目銘柄であるNEC<6701>が29日、富士通<6702>が30日に決算を行う。決算内容が好調なら「ソフトウエア関連やITなど非製造業の内需成長株が見直される可能性もある」(アナリスト)という。また、海外では29日早朝にアップル、30日にアマゾン・ドット・コム、31日にキャタピラーが決算発表を行う。
28~29日に米連邦公開市場委員会(FOMC)があるが、金融政策は現状維持の見通し。30日には米10~12月期国内総生産(GDP)が発表される。さらに、31日の中国1月製造業PMIは、中国景気をみるうえで注目度が高く、相場を左右する可能性がある。(岡里英幸)