ゼロから始める「株探」の歩き方 ― (14)有望成長株は花開く瞬間を待っている!

特集
2020年2月14日 10時30分

「企業が発表する情報を読み解き、急騰銘柄を探そう」

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆「エクイティ」、プラス材料の株式分割・マイナス材料の増資・売り出し

「エクイティ」では、株式の分割や売り出し等についての情報がまとめてあります(図8参照)。ここでは、株主として知っておかなければならない株式分割と公募増資・売り出しについて解説します。

まず株式分割は、1株を複数の株に分割し、発行済みの株式数を増やすことをいいます。たとえば、1株を2株に分割すると、保有していた人の持ち株数は自動的に2倍の株数になります。株数が増えても、株式の全体での価値は分割前後で同等ですから、1株の価値は半分になります。

ただし、株式分割を行うということは、流通する株式数や株主数が増えることにつながりますから流動性が高まります。また、株式分割を行う企業は一般的に、成長力があると期待されて人気がある場合が多いため、株価が高い企業が比較的多いといえます。株式分割を行うことで株価が安くなって買いやすくなるためか、企業の成長性が評価されてか、株式分割を発表する企業の株が人気化することも少なくありません。

しかし、企業の業績に懸念が生じると、株数が増えた分だけ需給が悪化してしまうことも多々あります。企業業績の確認や、企業が考えている成長シナリオなどをチェックして、何のための株式分割なのか、そして株数増加を上回る業績を今後叩き出せるのかを確認しなければなりません。

なお、株式分割の権利を株主として取得したい場合には、株式分割の権利が発生する権利確定日に株主になっておかなければなりませんから、権利確定日の2営業日前までに株式を購入しておきましょう。

図8 「エクイティ」、企業の目的を見極めることが重要!

【タイトル】

このほか、株式の売り出しや公募増資も株価に影響を及ぼします。公募増資とは、新たに株券を発行して、不特定多数の新しい株主を増やし、株式市場から資金を調達することです。公募増資を行うことで発行済株式総数が増えるため、既存の株主にとってみれば株式の価値は希薄化することになります。一方、売り出しはすでに発行されている株券を不特定多数の投資家に売却することをいいます。実質的な流通株式数が増加することで需給の悪化要因となり、やはり株式の価値は希薄化します。そのため、公募増資や売り出しの発表とともに、市場では株式の価値の希薄化を嫌気した株主の売りが出ることが多くあります。

しかし、公募増資の目的が事業拡大のための設備投資などであれば、時間はかかりますが、企業の成長とともに株価が再び元の水準に戻ることは、経験上それなりにあります。何のための増資なのか、そして増資を成長エンジンに変えることができ、成長をさらに加速させる商品を有しているのかなど、企業が発表したリリースはしっかり読む必要があるでしょう。

どうしても私たち投資家は、目先の株価が上がったか、それとも下がったのかということに注目してしまいがちです。しかし、企業が将来をどのように考えて、どのような成長を遂げようとしているのか、ロードマップをしっかりと描くことができれば、近い将来、株価が大化けする銘柄を発見できる可能性が高まります。企業が発表する情報には普段からしっかりと目を通しておきたいですね。

次回以降は、株を取り引きするさまざまな手法や、それが株価動向にどのような影響を及ぼしているのかについて解説していきます。

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