【植木靖男の相場展望】 ─ 底値波乱はいつ終わる?!
「底値波乱はいつ終わる?!」
●カギを握る中国の経済回復
東京市場は、消費増税、米中貿易摩擦、加えてコロナウイルス感染拡大の懸念などで景気の先行き不透明感が強まり、ここ大きく下げてきた。
18年10月高値奪回を目指すべく、19年8月からの上昇相場に期待がかかったが、3度にわたって挑戦したものの志果たせず、三尊天井という汚名を着せられて下げに転じた。その後、2万4000円どころから10%下げて本格調整入りとなったが、この間、数日の暴落商状をみせたことで、いまは底値波乱期に移行している。
暴落の段階は終わったとはいえ、コロナウイルスの猛威は収まらず、市場環境は依然、厳しいものがある。
さて、今後の展開はどうみればよいのか。やはり、気になるのはコロナ感染拡大懸念だ。いまや、米国でも感染者が急増しそうな状況にある。カリフォルニア州では非常事態宣言を発令、事の深刻さを認識しているようだ。
だが、震源地である中国は早くも、コロナ終息に近づいているかにみえる。日本人の入国を制限したり、アリババがマスク100万枚を日本に寄贈するなど、姿勢に余裕が出てきている。中国が経済面で回復に向かえば、世界景気の景色は大きく変わるとみられる。
●近づく脱コロナ相場
ところで、暴落から底値波乱へ移行するとすれば、その期間は過去の経験則から、個別銘柄は多種多様のパターンがあるが、指数は概ね1週間から3週間である。最安値はこの間につけることになるが、底値波乱期ではそれを詮索してもあまり現実的ではない。安値をつけても瞬間的であるからだ。
ともあれ、今回に当てはめると、すでに底値波乱は1週間は経過しているので、3月第4週連休明け、それか遅くとも3月中には終了し、脱コロナ相場がスタートすることになろう。2月上旬以降、一度たりとも買いシグナルが点灯していないだけに、久々の買いタイミングが訪れることになる。また、その頃には円高トレンドもいったん転換するとみられる。
いずれにしても、今月は見るべき材料も多い。海外では、やはり米国FOMCだ。先般の0.5%引き下げに続いて、3月のFOMCで0.25%の引き下げがあるのかどうか。また、政府が景気の見通しをどうみているのかをうかがう手掛かりとなる。いまひとつは、国内デリバティブ市場だ。13日のメジャーSQに向けての駆け引きが注目されよう。こうした材料に市場は一喜一憂することになろうが、これも所詮、底値波乱の一環とみてよかろう。
ところで、この間の物色はどうか。コロナウイルスに対応したワクチンや治療薬の開発で医薬品株が乱高下しているが、実力のある武田薬品工業 <4502> やJCRファーマ <4552> などに動意がなければ、一過性で終わる懸念があろう。
これに対し、政府としては次の経済対策は財政出動しかない。それも災害関連が主とすれば、急落しているPER8倍近辺の建設技術研究所 <9621> 、地質調査の応用地質 <9755> 、地滑り対策工事の日本基礎技術 <1914> 、気象観測の明星電気 <6709> [東証2]などの突っ込みに注目したい。
2020年3月6日 記
株探ニュース