【植木靖男の相場展望】 ─ 買いの主役、日銀が後押しするTOPIX
「買いの主役、日銀が後押しするTOPIX」
●目先底入れ感が漂うTOPIX
世界の株式市場は厳しい局面が続いている。もっとも、悲鳴を上げているのは株式だけではなく、債券、金、原油など軒並み急落している。現金化現象が起きているのだ。
特に欧米の低格付け債は資金の流出が続いているという。原油安で発行体であるシェールガス業者が不良債権まみれという。こういうご時勢になると、巨額の株式、債券を抱えるわが日本銀行は大丈夫かと心配になってくる。
だが、現金化されたおカネはどこに向かうのであろうか。避難先はどこか。新たな投資商品を探るチャンスでもある。
さて、株式市場の先行きをどうみればよいのか。世界の株価を見ると、何よりも米国株の下げが印象的である。だが、世界の株価が同じく下げるわけではない。たとえば、NYダウ平均、インド株、ドイツ株などの下げが急であり、なお先安感が漂う。
だが一方で、典型的ともいえるのはTOPIXだ。早くも目先的な底入れ感が漂っている。この違いは何か。 TOPIXが高値をつけたのは18年1月だ。一方、NYダウは今年の2月、わずか1ヵ月前に過ぎない。TOPIXはすでに下げて2年が経過、調整は十分といえる。日経平均株価は18年10月。1年半経過している。
つまり、日経平均、TOPIXとNYダウの足取りは大勢では同じながら、短期的には若干、底入れの時期は異なることになるだろう。
●銘柄探しのポイントは業績面での安心感か?
加えて今回、米国は3月以降、0.5%の利下げ、1%の利下げ、500億ドルのコロナ対策、さらに100兆円に及ぶ大型財政政策を表明している。しかし、株価はその都度下落し、このためせっかくの対策が効果なし、と批判されているようだ。確かに、好材料を打ち出すのは自律反発後の方が効果てき面であることは相場の鉄則である。
幸か不幸か、わが国はいまだに大型対策が打ち出せずにいる。だが、自律反発があってから打ち出すことになればその効果は絶大なものがあるだろう。皮肉である。
さて、いまどき投資可能な銘柄を探すのは至難の業であるが、とにかく全般安に逆行して上昇している銘柄がやはり注目される。ひとつは常識的な、こういうときだから業績面から安心感のある銘柄か、あるいは悪目買いという手もある。
いわゆる、市場環境からとても買えない銘柄だが、大きく下げてこれ以上、下げようがないといった銘柄群だ。たとえば、ある投資家は中長期狙いで、どうにもこうにも買えそうにない地銀株、それも200~300円の株を数日前に購入したら、わずか2日ぐらいで20%も上昇した、という。悪目買いの最たるものだ。
さて、今回は種々多様な業種の中から、まず大氣社 <1979> に注目したい。ビル空調で史上最高益更新を見込む。つぎは、丸和運輸機関 <9090> だ。アマゾンの物流を受け持つ。巣ごもり消費がネット通販を押し上げる。最後にANAホールディングス <9202> だ。人、モノが動かず、航空機は必要ないか、悪目買いの対象だろう
2020年3月19日 記
株探ニュース