来週の相場で注目すべき3つのポイント:ロックダウン警戒、米雇用統計、中国PMI
■株式相場見通し
予想レンジ:上限20000-下限17500円
来週はいよいよ新型コロナウイルスの影響を織り込み始めた経済指標の発表が相次いでくる。前週末に先んじて発表された週間の米新規失業保険申請件数は過去最大の300万件程度と市場予想を大きく上回る急増ぶりをみせ、雇用情勢の不透明感が強まったものの、米国市場も日本市場も経済対策への期待の方が勝る格好となっていた。予想を超える程度の悪い指標が出ても、相場は既にそこまで織り込んでいるということなのか、まだ見極めがつかない状況だ。しかし、4月1日に日銀短観、米ADP雇用統計、米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数、3日に米雇用統計、米ISM非製造業景気指数など主要な経済指標が相次いで発表される。日銀短観については、事前の市場予想では大企業製造業の業況判断指数(DI)が7年ぶりにマイナスに転じるとの見方が広がっており、国内景気の先行きに対する強い警戒感が浮上している。また、その他の米雇用統計や米ISM製造業・非製造業景気指数などは、上述の米新規失業保険申請件数よりも相当に重要な指標である。そのため、さすがにこのあたりの指標が軒並み予想を大きく下回るということがあれば、市場もネガティブに反応せざるを得ないのではないかという懸念がある。2008年のリーマンショック時には二番底があったが、今回もこれが警戒されている。時間軸を重ねれば、今回の二番底がくるのは7-8月あたりだ。新型コロナの実体経済への影響度合いを確認するまでは相場の方向性には確信が持てないため、安易な押し目買いは控え、発表される経済指標を一つひとつじっくりと確認していくことが大事となろう。
また、売り方の信用評価損益率も徐々にプラス幅が縮小しており、足元の売り方による急速な買い戻し相場への期待感は既に乏しいといっていいだろう。新型コロナの世界的な感染拡大により日経平均が本格的な下げを見せ始めた2月下旬以降における価格帯別売買動向で商いが最も集中している水準は21000円前後となっており、今後は強い戻り売りに押される地合いも想定しておく必要がありそうだ。買い戻し相場の一巡が意識されるタイミングのなか、首都圏では自治体から相次ぎ週末の外出自粛要請が出されており、連日で感染者の急増が確認されている。海外勢を含め新規の買いポジションを積み上げにくい状況が目先的には続きそうである。市場では今後の東京都の都市封鎖(ロックダウン)への警戒も増しており、日経平均は節目の19000円レベルを回復しているが、資金の逃げ足の速さには十分に注意しておく必要がありそうだ。他方、サウジアラビアは先週末に原油価格・生産に関してロシアと協議を行っていないことを表明。このため、価格戦争の長期化が懸念され、原油価格は20ドル割れ寸前までの下落をみせており、東京市場の資源関連銘柄の動向には引き続き注意が必要だろう。物色としても、引き続きテレワークや巣ごもり消費関連のほか、相対的に業績懸念の少ない食品などのディフェンシブ銘柄優位の地合いを想定しておきたい。
主な国内経済関連スケジュールは、3月31日に2月有効求人倍率、失業率、鉱工業生産指数、小売売上高、建設工事受注、4月1日に日銀短観(1-3月)、3月製造業購買担当者景気指数(PMI)、自動車販売台数、2日に対外・対内証券投資、3月マネタリーベース、3日に3月サービス業PMI・総合PMIなどが予定されている。
■為替市場見通し
来週のドル・円はもみ合いか。米国内での新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今年4-6月期の米国経済が景気後退(リセッション)に陥ることは、避けられない状況となった。ドル資金不足が解消されつつあること、インフレ進行の可能性は低いとみられることから、目先的にリスク選好的なドル買いは抑制される可能性がある。
ただし、米国政府と議会は雇用情勢の急激な悪化などに対応するため、2兆ドル規模の大規模な経済支援策について合意し、法案は可決された。トランプ米大統領は、同経済支援策に署名している。
今後発表される雇用関連や企業景況感などの経済指標は、大幅に悪化することが確実視されているが、米国株式は経済の大幅な悪化をある程度織り込んだ水準まで下落している。米長期金利の低下はドル売り材料となるが、日本の各種経済指標も3月以降は大幅に悪化するとみられており、国内におけるウイルス感染が拡大していることから、リスク回避的なドル売り・円買いが大きく広がる可能性は低いとみられる。
■来週の注目スケジュール
3月30日(月):日・五輪組織委員会理事会、ユーロ圏景況感指数、独・消費者物価指数、米・中古住宅販売成約指数など
3月31日(火):日・有効求人倍率・失業率・鉱工業生産指数・小売売上高・百貨店・スーパー売上高・建設工事受注、中・各種PMI、独・失業率、米・消費者信頼感指数など
4月1日(水):日銀短観・製造業PMI・自動車販売台数、中・財新製造業PMI、ユーロ圏製造業PMI、露・GDPなど
4月2日(木):日・対外・対内証券投資、印・製造業PMI、スイス・消費者物価指数、ユーロ圏生産者物価指数、米・貿易収支、米・製造業受注など
4月3日(金):日・総合PMI・サービス業PMI、豪・小売売上高、米・雇用統計、米・ISM非製造業景況指数など
《SK》