為替週間見通し:ドル・円はもみ合いか、米国での感染被害拡大への懸念残る

通貨
2020年4月4日 15時22分

【先週の概況】

■原油価格の大幅反発でドル買い強まる

先週のドル・円は強含み。米国政府による過去最大規模の経済救済策が成立したものの、新型コロナウイルスの感染拡大によって2020年の世界経済はマイナス成長に陥るとの見方が広がっており、リスク回避のドル売り・円買いが一時優勢となった。4月1日発表の3月ADP雇用統計は2017年9月以来となる雇用減少を記録したことから、ドル・円は106円92銭まで下落した。米国内におけるウイルス感染が今後2週間で一段と深刻化する可能性が指摘されたこともドル売り材料となった。しかしながら、トランプ米大統領がロシアとサウジアラビアの減産を示唆し、原油先物は急反発したことを受けて、リスク回避的なドル売り・円買いは一服した。

3日のニューヨーク外為市場でドル・円は、108円68銭まで買われた後に108円19銭まで下落した。この日発表された3月の非農業部門雇用者数は前月比70.1万人減少し、失業率は4.4%まで上昇したことから、リスク回避のドル売りが優勢となった。しかしながら、ロシアとサウジアラビアは大規模な減産で協調する姿勢を示しており、原油先物は一段高となったことから、ドル売りは一段落。108円55銭でこの週の取引を終えた。先週のドル・円の取引レンジは106円92銭から108円73銭となった。ドル・円の取引レンジ:106円92銭-108円73銭。

【今週の見通し】

■ドル・円はもみ合いか、米国での感染被害拡大への懸念残る

今週のドル・円はもみ合いか。米国内での新型コロナウイルス感染がピークを迎えつつあるとみられており、感染の被害状況をにらみながらの為替取引となりそうだ。米国経済縮小への懸念が強まることによって日米の株安につながり、一時的にユーロ、日本円に対するドル買いがやや強まる可能性がある。

トランプ大統領は4月12日の復活祭までのビジネス再開を目指していたが、ウイルス感染被害がさらに拡大するとの理由で外出自粛措置などの政策を延長した。ただし、米国内でのウイルス感染による死者は大幅に増加する可能性が高いとみられており、ドル買いが長続きするとの見方は少ないようだ。ウイルス蔓延の影響が経済指標にも徐々に表れている。特に雇用関連指標は景気後退(リセッション)入りを思わせる極めて低調な内容が続くとみられる。

トランプ政権は2兆ドル規模の大型経済対策を成立させたほか、連邦準備制度理事会(FRB)は無制限量的緩和やドル資金供給などさまざまな政策を繰り出し、金融市場の混乱をできるだけ抑えようとしている。ただ、ウイルス感染被害の拡大ペースに追い付かず、経済支援策の効果は長続きしない可能性もある。なお、4月10日は聖金曜日の祝日となり、欧米諸国の金融市場はおおむね休場となる。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨】(8日公表予定)

米FRBは実質ゼロ金利政策に踏み切った。その後、無制限の量的緩和(QE)も決めているが、さらなる金融緩和を模索していることが確認された場合、株式市場は好感する可能性がある。

【米・3月消費者物価指数(CPI)】(10日発表予定)

10日発表の3月消費者物価指数(CPI)は、前年比+1.6%、コア指数は同比+2.3%といずれも2月から鈍化する見通し。人口の多い地域の封鎖などが消費にどのような影響を与えているか注目される。

予想レンジ:106円50銭-110円00銭

《FA》

提供:フィスコ

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