日経平均は大幅に3日続伸、それでも抜けない「19000円超」の壁/ランチタイムコメント

市況
2020年4月7日 12時19分

日経平均は大幅に3日続伸。232.23円高の18808.53円(出来高概算8億2000万株)で前場の取引を終えている。

週明け6日の米株式市場でNYダウは大幅に反発し、1627ドル高となった。米国内で新型コロナウイルスの感染者が最も多いニューヨーク州やニュージャージー州で感染拡大ペースが横ばいに入った兆候が見られるとの報告を受け、経済活動再開への期待が高まった。東京市場でも投資家心理が上向き、本日の日経平均は302円高からスタートすると、朝方には一時19162.52円(586.22円高)まで上昇。ただ、19000円を超える場面では一段の上値追いの動きは鈍く、前引けにかけて上げ幅を縮めた。

個別では、ソフトバンクG<9984>が欧米株高を追い風に4%近い上昇。今期、連続増益となる見通しのニトリHD<9843>が7%近く上昇したほか、東エレク<8035>やアドバンテス<6857>といった半導体関連株も大きく上昇した。その他売買代金上位ではソニー<6758>やファーストリテ<9983>が堅調。また、オープンハウス<3288>との資本業務提携を発表したプレサンス<3254>はストップ高水準での買い気配が続いた。一方、新型コロナ治療を巡り期待の高まる富士フイルム<4901>やデンカ<4061>だが、本日は利益確定売りに押され大幅反落。中小型株でも直近賑わったテレワーク関連などに売りが出た。任天堂<7974>やトヨタ自<7203>は小幅に下落。三越伊勢丹<3099>などの百貨店株は外出自粛の長期化が懸念されて軟調だった。

セクターでは、サービス業、その他金融業、ゴム製品などが上昇率上位。半面、海運業、鉱業、パルプ・紙などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の72%、対して値下がり銘柄は25%となっている。

先の週末に欧米で新型コロナ感染者の増加ペースが鈍ったことは前日の取引でも織り込み済みだが、NYダウが想定以上に大きく上昇したことを受け、本日の日経平均も大幅続伸して始まった。しかし、3月下旬の戻り局面で壁となった「19000円超」の水準を上抜けすることはできず、前引けにかけて伸び悩む展開。日足チャート上では18700円台前半に位置する25日移動平均線を明確に上抜けできず、押し返される格好となった。業種別の騰落状況を見ると、朝方に比べ景気敏感セクターでマイナスが増えてきた。ここまでの東証1部売買代金は1兆4000億円弱とここ数営業日に比べやや多いとはいえ、目に見えて増えたという印象もない。

日本では今夕にも緊急事態宣言が発令されるとともに、事業規模108兆円の経済対策が閣議決定される見通し。緊急事態宣言の発令を受け、対象区域となる東京など7都府県が住民への要請・指示を出す。とはいえ、こうした要請や指示に強制力はなく、厳格な措置を講じた欧米のメディアからは早くも実効性を疑問視する意見が出ているようだ。日経平均の直近戻り高値を前に海外勢の買いが鈍ったのは、新型コロナの影響長期化への懸念が背景にあると考えられる。今後は東京などの感染者数推移を見極めたいとのムードが強まりそうだ。

また、足元で小売企業を中心に決算発表が進んでおり、4月下旬からは3月期決算企業の発表も本格化する。ニトリHDのようにコロナ禍でも強さを見せつけた企業には安心感があるものの、内需系・外需系を問わず幅広い企業が大きな影響を受けることは間違いない。決算発表前には警戒ムードが先行しやすいとみておいた方がいいだろう。なお、本日は業績観測の報じられたスギHD<7649>のほか、ディップ<2379>、マニー<7730>などが決算発表を予定している。

欧米でも経済の停滞が長引くとの懸念がくすぶり、注目される原油相場を巡り早期の需給改善への期待が後退していることも気掛かり。「19000円超」の壁突破にはなお時間を要する可能性がある。(小林大純)

《AK》

提供:フィスコ

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