「緊急事態宣言」ついに――その時、マーケットはどう動く <株探トップ特集>

特集
2020年4月6日 19時30分

―出尽くしか底抜けか、焦点は“史上最大規模”緊急経済対策へ―

6日の東京株式市場は日経平均株価が前週末に比べ700円を超す大幅高となった。米国での新型コロナウイルス の感染拡大が落ち着きつつあるのではとの期待や円安が相場を押し上げた。しかし、何と言っても大きかったのは、「安倍首相が近く緊急事態宣言に踏み切る」との観測が膨らんだことだ。安倍首相はあすにも緊急事態宣言を出すと伝わった。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、いまや緊急事態宣言は秒読みに入った。市場関係者は今後の展開をどうみているのか。

●海外投資家の買い戻しが日経平均急騰の原動力

この日の株式市場は、日経平均が前週末比756円高の1万8576円まで上昇した。株高の背景となったのは、複数のメディアが「安倍首相が緊急事態宣言を近く判断する」と報道したことだ。一部では「7日にも宣言を行う」と伝えられたことから、この報道を受け、株価は急伸した。市場関係者からは、「日本株にショート(売り)を振っていた外国人投資家が買い戻しを入れた」(アナリスト)との見方が出ている。また、アルゴリズムの買いもあったとの声もある。市場からは「東京での新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、日本はいつ緊急事態宣言を出してもおかしくない状況にある。それだけに、ショートポジションを閉じるきっかけを待っていた海外投資家はいったん利益確定売りを出したのだろう」(同)との声がある。

この緊急事態宣言は一都三県と大阪や兵庫、福岡が入るとみられ、外出の自粛要請などが実施され、欧米のようなロックダウン(都市封鎖)が行われることはないとみられている。かねてから7日の発表が予定されていた緊急経済対策とセットでの発表となるともみられている。政府は現金給付を柱とする緊急経済対策をあすにも閣議決定する予定だが、その事業規模は108兆円程度と過去最大規模となる方針とも伝えられている。

●日本では108兆円規模の緊急経済対策も

当初、56兆円程度と報道された緊急経済対策に対しては「1回では足らず2回目の追加の経済対策が求められるだろう」との見方が出ていた。米国のトランプ政権は2兆2000億ドル(約230兆円)規模の経済対策を打ち出したが、足もとで更なる追加の経済対策が出されるとの観測が強まっている。この2兆2000億ドルという数字は米国のGDPの10%前後にあたった。56兆8000億円も同10%前後で、その規模は足りないとの声もあった。しかし、経済対策の規模が108兆円規模とGDPの20%前後と膨らめば、市場は前向きにとらえる可能性が出ている。

緊急事態宣言の期間は、報道によれば5月6日までとも伝えられている。この点に関しては上田ハーローの山内俊哉執行役員は「実際に期間を5月初旬までで打ち切るのは難しいのではないか」と指摘する。特に、「日本国内に限らず米国や欧州も同様だが、国内の感染拡大が一段落しても、発展途上国を含め感染が続いている地域があると、終了を宣言することは難しい。ズルズルと期間が延長されることもあり得る」と指摘する見方もある。

●日経平均の上値の節は1万8000円台後半に

ファンドマネジャーからは、「いったん利益確定の買い戻しが終われば、更に上値を買えるかどうか疑問はある」とみる声もあるものの、当面の相場は市場の予想を上回る経済対策を好感する可能性は出ている。

また、証券ジャパンの大谷正之調査情報部長は「緊急事態宣言や緊急経済対策が出てから、その方向性を確かめる必要がある」と指摘する。同氏によると、足もとのチャートの節目は上方向では、一目均衡表の転換線がある1万8605円、続いて25日移動平均線がある1万8820円前後、同じく一目均衡表の基準線がある1万9038円となる。一方、下方向のメドは先月19日安値から25日高値までの半値押しが1万7961円だが、この水準は今月に入り既に破られているため、同3分の2押しの1万7426円となるとみている。

果たして、緊急事態宣言と緊急経済対策は、相場の転換点となるのか。先行きには、依然強弱感は残るものの、今後の動向は春相場の大きなポイントとなることは、間違いない。

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