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2020年4月4日 19時30分
特集

解禁秒読み「オンライン診療」最前線株、“医療崩壊”阻止へ高まる注目 <株探トップ特集>

―新型コロナ感染リスク低減へ政府後押し、市場は長期的にも拡大へ―

■感染対策、医療崩壊阻止に動く「オンライン診療」、最前線を追う

「オンライン診療」を巡る動きが加速している。 新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、いままで原則対面としていた初診からのオンライン診療が、定められた条件のもとで可能になりそうだ。イタリアなど欧州各国の惨状に加え、米国でも急激に感染が拡大しており、医療崩壊へのカウントダウンが始まっている。日本においても感染者が急増するなか、医療崩壊を懸念する声が日増しに高まってきた。これを防ぐ一つの手立てとして急浮上してきたのが、患者に直接会うことなくオンラインで診断などを行う「遠隔医療」だ。

●意義の大きい初診での利用

安倍首相は3月31日の経済財政諮問会議で、感染拡大を踏まえオンライン診療など規制緩和策の検討を指示。安倍首相は、この日の諮問検討会議において「医師・看護師を、院内感染リスクから守るためにも、オンライン診療を活用していくことが重要」と述べている。オンライン診療を初診から認める検討に入ると伝わったことを受けて、1日の株式市場では、遠隔医療に関連する多くの銘柄に物色の矛先が向かった。

こうしたオンライン診療への期待感が高まるなか、3日は関連銘柄が急反落した。2日に行われた有識者会議において、初診でのオンライン診療の内容が限定的なものにとどまると伝わったことで、失望売りを呼んだようだ。ただ、感染リスクが高まるなか、オンライン診療が初診でも受けられることになった意義は大きい。今後の市場拡大については疑う余地がなく、中長期の視点で関連銘柄には妙味がありそうだ。

●MRT、医療機関に無償提供

遠隔診療・健康相談アプリ「ポケットドクター」を展開するMRT <6034> [東証M]に注目が集まっている。同社は、遠隔医療関連の本命的存在で、折に触れて株式市場でも人気化していた。新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、2月初旬には800円近辺だった株価は、ここ急速に上げ足を速めていたが、3日はいったん1859円まで買われた後、大幅に値を崩し302円安の1337円でこの日の取引を終えた。2月28日、同社とポケットドクターを共同開発したオプティム <3694> と「オンライン診療ポケットドクター」を期間限定で医療機関に無償提供することを発表しており、これも事業拡大思惑を誘っている。業績については、決算期変更に伴い単純比較はできないが、2019年12月期、20年12月期と業績拡大基調が続いていることも株価を後押ししそうだ。ポケットドクターの認知度が急速にアップするなか、今後の展開に期待がかかる。

●攻勢掛けるメドレー

ここにきて急速に投資家の熱い視線が注がれているのがメドレー <4480> [東証M]だ。同社は、オンライン診療システム「CLINICSオンライン診療」を展開しており、医療機関での導入シェアが急拡大している。3月12日には、新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的に、CLINICSオンライン診療を活用し、アインホールディングス <9627> 、クオールホールディングス <3034> 傘下のクオール、日本調剤 <3341> と服薬指導の実施で連携を開始すると発表。厚労省から2月28日に出された「新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて」という事務連絡を受け、調剤薬局向けにCLINICSオンライン診療を一時的に提供しているが、今回は国家戦略特区(千葉市)でオンライン服薬指導事業において連携している3社と、特区外の一部店舗への導入も推進していくという。メドレーの株価は、ここ強調展開を強めていたが、3日は一転MRT同様に急反落となっている。

●ニプロは支援システム「ニプロハートライン」

ニプロ <8086> は3月12日に、18年1月から提供を開始している遠隔診療サポート機能付き見守り支援システム「ニプロハートライン」の活用についてリリースした。ニプロハートラインは、自宅で測定した体温、酸素飽和度、血圧、血糖などのデータを、患者自身のスマートフォンやタブレットを用いて離れた医療機関とオンラインで共有し、テレビ電話などを介して診療や服薬指導を行うことを可能とするシステム。新型コロナウイルス感染症対策へのオンライン診療、オンライン服薬指導に活用可能としておりニーズを捉える構えだ。

●拡大続くマーケット

医療崩壊の防止に加え、高齢者、慢性疾患をもつ患者の通院などによる感染リスクも懸念されており、オンライン診療への期待感は強い。スポットライトが当たる遠隔医療だが、以前から多くの調査機関が市場規模の拡大を予想している。

市場調査会社の富士経済の「医療情報システムの国内市場調査」では、オンライン診療(遠隔診療)システム/サービスの市場規模について、19年(見込み)は18年比28.6%増の9億円、21年は20億円になると予測している。また、オンライン服薬指導システムについては、「現在、診療はオンラインで可能となっており、実証実験が行われているオンラインでの服薬指導が本格始動することで、患者は診察から薬の受け取りまでが自宅でできるようになり、遠隔医療の推進を後押しする」と分析している。

また、注目市場として「電子カルテ」を取り上げており、そのなか「クラウド型電子カルテ」については「病院向けや診療所向けからのシフトなどにより、今後市場は急速に拡大していく」と指摘。19年(見込み)は同26.2%増の53億円、21年(予測)は75億円に拡大するとしている。

●電子カルテでエムスリー、CEHD、BML

オンライン診療の規制緩和は、電子カルテの更なる普及拡大を後押ししそうだ。電子カルテでは、医療情報専門サイト「m3.com」などを展開するエムスリー <2413> が飛躍をみせている。グループのエムスリーデジカルが、クラウド型電子カルテ「M3 Digikar」を展開する。昨年9月にはフランスでクラウド型電子カルテ「WEDA」を提供するWedaを子会社化するなど、この分野でも攻勢を強めている。同社は、LINE <3938> と共同出資により設立したLINEヘルスケアで、現在オンライン健康相談サービス「LINEヘルスケア」を3月11日から無償で提供開始。4月1日に「いますぐ相談」と「あとから回答」の2種類のオンライン健康相談を、4月以降も無償で提供することを発表した。3月における医師への相談リクエスト数は、更に増加したとしている。株価は、3月13日に下ヒゲでつけた2319円を底に切り返し、現在は3200円近辺で推移している。

電子カルテでは、国内トップクラスの電子カルテシステム「MI・RA・Is/AZ (ミライズエーズィー)」を手掛けるCEホールディングス <4320> 、Web型電子カルテ・医療会計など自社開発の「PlusUsシリーズ」を中核にソリューションを展開するソフトマックス <3671> [東証M]にも目を配っておきたい。新型コロナウイルスの脅威が増すなか、電子カルテシステムの開発・販売を行うグループのシーエスアイが、企業や公的機関などの組織が所属する従業者の健康状態を把握できるWebサービス「かかりん健康問診」の無償提供(9月30日まで期間限定)を4月1日から順次開始した。従業者の健康を守り、かつ職場での二次感染を防止することへの支援としている。

また、臨床検査事業大手のビー・エム・エル <4694> も、診療所向け電子カルテシステムではトップクラスのシェアを有する「Medical Station(メディカルステーション)」と、軽快な操作性に加えスピードを追求した新電子カルテシステム「QUALIS(クオリス)」で攻勢を掛ける。同社が持つネットワークを生かすことで、医療情報システム事業分野でも成長期待が高まりそうだ。ここ同社は、新型コロナウイルスのPCR検査受託で注目されるが、こうした切り口の多彩さも魅力だ。株価は2月17日につけた4085円から調整を強いられており、現在は2500円水準にある。

拡大する新型コロナウイルスの猛威を背景に注目度が高まったオンライン診療だが、高齢化社会を急速に迎えている日本にとっては、必要不可欠な存在になりそうだ。いま、オンライン診療をはじめとする 遠隔医療は、本格的成長ロードを走り始めたばかりだ。

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