窪田朋一郎氏【日経平均2万円大台急接近、更なる上値は?】 <相場観特集>
―新型コロナ警戒も意外なほど強い相場の「ナゼ?」―
週明け27日の東京株式市場では日経平均株価が500円を超える上昇をみせ、一時1万9800円台まで上値を伸ばす展開となった。新型コロナウイルス の感染拡大が及ぼす企業業績や景気への悪影響は半端なものではないが、それを承知の上で株価が上がる理由とは何か。第一線で活躍する市場関係者に、現在の相場のポイントと今後の見通しについて意見を聞いた。
●「空売り買い戻しで2万円ライン突破も」
窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)
きょうの日経平均は予想を上回る強い動きをみせたといえるが、これは想定以上にショート(空売り玉)が溜まっていることが背景にあると思われる。日銀の金融政策決定会合では追加の金融緩和策を決定、国債買い入れについて年間80兆円としていた上限枠を撤廃したほか、コマーシャルペーパーと社債の買い入れ枠の増額を決めた。事前に織り込みが進んでいたとはいえ、既に発表しているETF購入額の拡大(年間12兆円)と合わせ、実体経済が悪化するなかでも株価を後押しする材料としてポジティブに作用している。
新型コロナウイルスへの警戒感が拭えない状況だが、欧米では感染拡大のペースがピークを越えたとの見方もあり、経済活動再開への兆しが見え始めたことで、売り方としては買い戻しのタイミングに神経質にならざるを得ない状況にある。また、これから本格化する企業の決算発表に対する懸念も指摘されるが、直近で決算発表した銘柄は内容が悪くても買われるケースが目立っており、これも空売りを仕掛けていた向きからすれば手仕舞いを急がせる動機付けとなる。
当面は世界的な金融緩和や財政出動の動きを背景に、日米ともに下値を売り込みにくい状況が続きそうだ。日経平均の上値は、(週足でみると)3月の下落局面で2万700円台から2万円近辺までマドを開けており、このマドを埋める形で2万700円前後への戻りは可能とみている。向こう1ヵ月程度のタームであれば下値は1万9000円前後だろう。物色対象としては、新型コロナウイルスに対するワクチンや治療薬の思惑が絡む医薬品セクターや、株式需給面で売り残の多いハイテクセクターの銘柄に相対的な株価上昇余地が大きいとみている。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。
株探ニュース