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2020年5月5日 9時00分
特集

100年に一度の経済危機『大封鎖』に打ち克つ! <GW特集>

text.若桑カズヲ

新型コロナウイルスの感染拡大による株価暴落が始まってから2カ月が経過した。日経平均株価は順調な回復を見せ、2008年に起きた金融危機当時とは異なった値動きを示し始めてきた(図表1)。当時はリーマン・ショックによる急激な信用収縮(クレジット・クランチ)に伴い極端に市場心理が悪化したものの、今回は米連邦準備制度理事会(FRB)による執拗な金融政策サポートによって、そうした事態は今のところ何とか食い止められているようだ。

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また、感染拡大を防止するためのロックダウン(都市封鎖)や緊急事態宣言などにより、各国の景気は急激な落ち込みを見せ始めているが、マーケットは早くも「アフターコロナ」を見据えている。リフィニティブが4月に入って世界中のエコノミストを対象に調査したところ、2020年の世界経済は記録的なマイナス成長となり、回復も緩慢な足取りとなる公算が大きいとの結果であった。その内訳はU字回復が56%、V字回復が20%、チェックマーク字(左の線が短い「レ」)回復が15%、L字回復が5%、W字回復が4%である。

◆ジュグラー・サイクルが示唆するもの

しかし、景気循環を考えると、景気の回復には時間を要するのかもしれない。景気循環には幾つかのサイクルがあり、例えば約10年のサイクルである設備投資循環(ジュグラー・サイクル)を日銀短観の業況判断(大企業製造業のDI)で見てみよう。どこを起点にするかにもよるが、1975年から40四半期(10年)強のサイクルが4つ確認できる(図表2)。

そして、現在のサイクルは2017年12月をピークに底へ向かっており、新型コロナウイルス感染拡大の以前から景気は下向きとなっていた。サイクルの幅や長さは、そのときの状況によって変わるため、今回のサイクルの底が何時で、どの辺りかは分からない。だが、感染拡大によって相当に深く、長くなることは推測できる。

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◆「大恐慌」以来となる現在の危機「大封鎖」

一方、国際通貨基金(IMF)は2020年4月の世界経済見通しで「世界経済が今年、10年前の世界金融危機の時を超える、大恐慌以来最悪の景気後退を経験する可能性はきわめて高い。現在の危機は大恐慌ならぬ『大封鎖』の様相を呈しており、世界経済はこの危機の結果、劇的なマイナス成長に陥ることが予測される」と厳しい見方を示した。

この見方は、パンデミックが2020年後半に収束するというシナリオが前提となっているものの、それでも100年に1度の景気減退が来るのだという。となると、約50年のサイクルである技術革新循環(コンドラチェフ・サイクル)が底に向かっている可能性も考慮する必要がありそうだ。

◆大恐慌時の株価

およそ100年前の1918年から1920年かけて世界中でスペイン風邪が大流行した。世界で患者数は5~6億人、死亡者数が2000~5000万人(一説には1億人とも)に達したこのインフルエンザのパンデミックは、第1次世界大戦の終結に一役買ったとの見方もある。そして、先ほど触れた大恐慌が1929年に起きたのは周知の通り。このときの株価はどうだったのか。残念ながら戦前の日本株データが入手できないため、ニューヨーク・ダウ工業株でみてみる。

スペイン風邪当時の株価調整は3割強で、今回の調整と同程度である。しかし、その後の大恐慌では下落率が異なるものの、調整期間(1929年9月の高値から1932年7月の安値まで34カ月)は、日本が90年代に経験したバブル崩壊(1989年12月の高値から1992年8月の安値まで32カ月)と似ていた(図表3)。

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◆手立てはある

仮に90年代のバブル崩壊が再来するとなれば当分の間、株式投資は手控えるべきとは思う。だが、全く手立てがないわけではない。景気が悪くとも需要が落ちにくい食品や薬品などのディフェンシブ・ストックには食指が動きやすいだろう。また、デフレ時代にもてはやされたディスカウントストアやLCC(格安航空会社)など、安売りを売り物にする業態が稼ぎやすいはず。

また、今後、パンデミックの第2波、第3波の襲来が十分に予想される中、最近のトレンドである巣ごもり関連は再び賑わうかもしれない。

しかし、それよりも今回の大封鎖を経て人々の価値観が劇的に変化することで、テレワーク関連やリモート教育関連、そして5G関連などで更なる需要の拡大が期待できるだろう。加えて、アフターコロナに誕生してくる新しいニーズを捉えた新業態の萌芽にも目配りをしたい。

◆ビットコインも

更に100年に1度の景気減退となれば、金価格が一段と上昇することも考えられるため、金ETFや非鉄金属の一角も物色対象か。

加えて、暗号資産のビットコインや同関連銘柄にも注目したい。ビットコインは発行上限が決まっているという意味で、有限な金と同様の性質を持ち、バブルとバブル崩壊を経て少しずつ社会的認知が進みつつある。

ビットコインは目先に半減期を迎えることも材料と言えよう。ビットコインは過去の取引をまとめたブロックが21万個生成されると、生成される際の成功報酬が半減する仕組みになっている。過去に2度の半減期を経験しているが、いずれも半減期以降にビットコインの価格が大きく上昇しており、今回の半減期も同様の展開が期待されている。(2020年4月30日 記)

◆若桑カズヲ (わかくわ・かずを):
証券会社で株式やデリバティブなどのトレーダー、ディーラーを経て調査部門に従事。マーケット分析のキャリアは20年以上に及ぶ。株式を中心に債券、為替、商品など、グローバル・マーケットのテクニカル・需給分析から、それらに影響を及ぼすファンダメンタルズ分析に至るまで、カバーしている分野は広範囲にわたる。「株探プレミアム」で「需給で読み解く株式市場」を連載。

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