市場の環境変化を整理します/後場の投資戦略

市況
2020年6月5日 12時30分

日経平均 : 22616.77 (-78.97)

TOPIX  : 1598.51 (-5.31)

[後場の投資戦略]

本日の日経平均は利益確定売り優勢で小安いが、下値も堅く、ややこう着といった印象。米5月雇用統計の発表を控えた週末ということで、模様眺めムードも出てきやすいだろう。日足チャートを見ると、節目の23000円を前に伸び悩む一方、22400円台に位置する5日移動平均線が下値を支える格好だ。売買代金上位では、空運株のほかにメガバンク、自動車や電機大手といったシクリカルバリュー株(景気敏感系の割安株)が堅調。一方で日経平均への寄与が大きい値がさ株が小安く、高バリュエーションのグロース(成長)株の軟調ぶりが目立つ。業種別騰落率を見ると、景気敏感セクターがプラス側、内需・ディフェンシブセクターがマイナス側の上位に顔を出している。ここまでの東証1部売買代金は1兆円あまりと、やはり前日までよりやや低調だ。

新興市場ではマザーズ指数が3日続落。前日安値(978.16pt)近辺で下げ渋っているが、1000pt手前に位置する5日移動平均線を割り込み、目先調整が意識されそうなところではある。

前引けの東証株価指数(TOPIX)は0.33%の下落となり、後場に日銀による上場投資信託(ETF)買い入れが実施されるかは見通しづらい。ただ、アジア株式市場でも中国・上海総合指数や香港ハンセン指数を中心に総じて小動き。後場も大きく売り込むような動きは出てこず、日経平均は小安い水準でのもみ合いが続くとみておきたい。

さて、当欄では海外ヘッジファンド等の「二番底シナリオ」修正に伴う買い戻しの動きを伝えてきた。これによる株価上昇もあり、足元の株式相場の動向に変化が出てきたので整理したい。

実体経済と株価のかい離を指摘する声が増えてきたが、そもそも筆者も日経平均が経済回復を示唆する株価純資産倍率(PBR)1倍(現在なら20600円程度)を大きく上回るのは説明しづらいと考えている。まして23000円となると2月下旬のコロナショック前の水準だけに、「やり過ぎ」と受け止める投資家が多いようだ。前日の日経平均は寄り付き直後を高値に陰線を引き、買い手が減ってきていることを窺わせる。

一方で、ここまで相場を押し上げてきた主要中銀による潤沢な資金供給は変わらず。度々指摘しているとおり、「二番底シナリオ」修正と買い戻しに動き始めた投資家の存在も無視できない。目先の日経平均は上値こそ重いものの調整らしい調整とはならず、来週末の先物・オプション特別清算指数(メジャーSQ)算出まで買い戻しの動きが続き、23000円にタッチしてくる可能性も十分にあるとみている。

また、株売り・円買いポジションの解消に伴い株式、為替ともリスク選好的な方向に振れ、経済再開への期待もあって米金利に上昇圧力がかかってきた。これはやや過熱感の出てきていた中小型グロース株の利益確定売りと、出遅れている大型バリュー株の買いを促しそうだ。出遅れた海外勢が出遅れ感の強いシクリカルバリュー株への関心を高めているのも証券各社のレポート等で窺える。ただ、主要中銀が金融緩和的なスタンスを維持することが確認され、株価の過熱感が和らいでくれば、再び中小型グロース株の買い場がやってくるだろう。(小林大純)

《AK》

提供:フィスコ

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