米国株式市場見通し:見通し改善で過去最高値を試す展開へ

市況
2020年6月6日 15時03分

ウイルス第2波の脅威や第2四半期決算発表の内容に再度焦点が集まるまで、当面は経済活動再開による見通しの改善で過去最高値を再び試す展開が予想される。連邦準備制度理事会(FRB)や米政府の力強い支援策で経済や金融市場がウイルスパンデミックにより最悪のシナリオに陥る確率は低下している。経済活動の再開に伴い、雇用回復ペースも予想以上に早いことが5月雇用統計で証明され、今後は消費改善を確認できるかが焦点となるだろう。米経済への貢献度が大きいニューヨーク市が今週から第1段階の経済活動を再開することも支援材料だ。5月雇用統計のポジティブサプライズは経済が4月で底入れした証拠ともなり、市場がすでに織り込んでいる4-6月期国内総生産(GDP)でのマイナス40%成長予想が上方修正されれば、市場にプラスに働くだろう。加えて、トランプ大統領は給与税減税などを含む1兆ドルの第4弾財政策を検討している。

さらに、相場上昇を示唆するいくつかの兆候が見られる。ダウ平均株価は重要な節目である200日移動平均水準を突破したため、中期的な上昇基調入りした可能性が示唆される。また、株式投資家の恐怖心理の度合いを示す指数VIXも2月25日来の低水準まで低下した。安全資産の米国債から株式相場への投資資金の移動も継続していると見られ、米国債相場は下落し、米10年債利回りは経済封鎖が開始された前後の水準まで上昇した。FRBの措置も奏功して景気後退を示唆するとされる長短金利差の逆転は解消してイールドカーブはスティープニングしており、経済の健全性を示唆している。

経済指標では、4月JOLT求人(9日)、5月消費者物価指数(CPI)(10日)、

5月生産者物価指数(PPI)(11日)、6月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値(12日)などが予定されている。6月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値では小幅の改善にとどまる見込みだが、予想を上回れば回復期待をさらに後押しすることになるだろう。また、FRBは連邦公開市場委員会(FOMC)を9日から10日にかけて開催予定。パウエルFRB議長は繰り返し、追加緩和が必要となる可能性に言及しているが、すでに導入している大規模緩和による経済への影響を判断するため、当分は金融政策を据え置くと見られる。声明では景気判断や見通しに注目したい。議長会見ではイールドカーブコントロールなどの追加措置の具体策に関する言及に注目が集まる。

企業決算ではオンライン衣料品小売のスティッチフィックス(8日)、外出規制の影響が直接的に業績悪化に響いたと見られる映画館運営のAMCエンタテインメント(9日)やゲームストップ(9日)、ペット用品のオンライン販売を手掛けるチューイー(9日)、ソフトウェアのアドビ(11日)、カルバンクラインやトミー ヒルフィガーを傘下に持つアパレルのPVH(11日)、ヨガアパレル小売りのルルレモン(11日)などが予定されている。ルルレモンは店舗販売は低調ながらオンライン販売が好調で、堅調な結果が期待されている。一方で、PVHは減益が予想されている。スティッチフィックスはコストの高いカリフォルニア州の雇用を1400人削減し、コストの安いダラス、クリーブランドなどで新たに2000人ほどの雇用を増やす計画を発表している。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

提供:フィスコ

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