今週の【早わかり株式市況】4週ぶり反落、米株急落と急激な円高で失速
■今週の相場ポイント
1.日経平均は4週ぶりに反落、相場の調整局面入り気分が強まる
2.ナスダックは初の1万大台乗せ、日経平均は2万3000円回復で達成感も
3.FOMCはゼロ金利政策の長期維持が示されたが、景気基調の弱さも指摘
4.米金利の先高感後退で急激な円高が進行、日本株の軟化要因に
5.週末はNYダウが過去4番目の下げ幅と急落、新型コロナ「第2波」を警戒
■週間 市場概況
今週の東京株式市場は日経平均株価が前週末比558円(2.44%)安の2万2305円と4週ぶりに反落した。
週前半はリスクオンの地合いを引き継ぎ、日経平均は一時2万3000円台を回復した。しかし、9~10日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)を契機に急激な円高が進行したこともあり、週後半にかけ全体相場は下落した。新型コロナ感染拡大「第2波」が警戒されNYダウが週末に急落したことも軟化要因となった。
8日(月)は日経平均が6日続伸。前週末の米5月雇用統計が市場予想を上回る結果となり、リスクオンが継続。日経平均は3ヵ月半ぶりに2万3000円台を回復した。9日(火)は日経平均が利益確定売りで7日ぶりに反落。ただ、下値には買いが入り下げ幅は限定的だった。10日(水)は日経平均が小幅高。FOMCの結果待ちで様子見姿勢が強まった。前日の米国市場でナスダック指数は一時初の1万ポイント大台に乗せた。11日(木)は先物主導の下げで日経平均は大幅安。FOMCでゼロ金利政策を2022年末まで継続する方針が示されたほか、米景気の先行き不透明感も指摘され、米金利の先高感が後退。これを受け円高が進行したことが嫌気された。12日(金)は前日のNYダウが急落。米国での新型コロナ感染拡大「第2波」や景気回復の遅れが警戒され、下げ幅は史上4番目の大きさとなった。相場の調整気分が強まるなか、日経平均は朝方急落したが、引けにかけ買いが入り下げ渋って取引を終えた。
■来週のポイント
ここ1ヵ月の日経平均は一本調子に上げてきただけに、来週は調整局面入りとなり下値を探る展開になりそうだ。ただ、海外投資家が巨額に買い越してきており、下値は限られると見られる。
重要イベントとしては、国内では15日-16日に開催される日銀金融政策決定会合や17日朝に発表される5月貿易統計、19日朝に発表される5月全国消費者物価指数が注目される。海外では15日発表される中国5月の小売売上高と鉱工業生産や16日に発表される米国5月の小売売上高と鉱工業生産、18日発表の米国5月景気先行指標総合指数に注視が必要だろう。
■日々の動き(6月8日~6月12日)
【↑】 6月 8日(月)―― 6日続伸、欧米株高や円安進行で2万3000円台回復
日経平均 23178.10( +314.37) 売買高17億0307万株 売買代金 2兆8712億円
【↓】 6月 9日(火)―― 7日ぶり反落、円高受け利益確定売りも下げ幅限定的
日経平均 23091.03( -87.07) 売買高15億2158万株 売買代金 2兆5070億円
【↑】 6月10日(水)―― 小幅反発、FOMCの結果発表を控え様子見ムード
日経平均 23124.95( +33.92) 売買高12億5774万株 売買代金 2兆2934億円
【↓】 6月11日(木)―― 急落、円高進行が嫌気され先物主導で大きく崩れる
日経平均 22472.91( -652.04) 売買高16億7956万株 売買代金 2兆8403億円
【↓】 6月12日(金)―― 続落、一時2万2000円割れも後場に下げ渋る
日経平均 22305.48( -167.43) 売買高19億0416万株 売買代金 3兆3246億円
■セクター・トレンド
(1)全33業種中、32業種が下落
(2)郵船 <9101> など海運、日本製鉄 <5401> など鉄鋼、三井金 <5706> など非鉄といった景気敏感株が大きく売られた
(3)日産自 <7201> など自動車、オリンパス <7733> など精密機器といった輸出株は大幅安
(4)菱地所 <8802> など不動産、大和ハウス <1925> など建設といった内需株も総じて軟調
(5)野村 <8604> など証券、三菱UFJ <8306> など銀行、第一生命HD <8750> など保険といった金融株も安い
(6)任天堂 <7974> の健闘でその他製品が唯一プラスを確保
■【投資テーマ】週間ベスト5 (株探PC版におけるアクセス数上位5テーマ)
1(1) デジタルトランスフォーメーション(DX)
2(7) バイオテクノロジー関連
3(3) 人工知能(AI)
4(2) テレワーク
5(4) 5G
※カッコは前週の順位
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