明日の株式相場戦略=刮目すべき半導体関連の伸びしろ

市況
2020年7月6日 17時31分

週明け6日の東京株式市場は日経平均 が寄り後に次第高の展開で400円を超える上昇パフォーマンスをみせた。世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることが、総論強気のシナリオを封じている意味があり、買い方の過剰な期待が乗せられていない相場はそのぶん値運びも軽い。一方、きょうの東証1部の売買代金は2兆円を下回っており、仮にこれで日経平均が冴えない動きであれば夏枯れ相場のレッテルを貼られるところだ。市場エネルギー不足というのは、イコール弱い相場とは限らない。今の相場では売り圧力の乏しさを意味する。先物主導で木の葉が舞う趣きだが、ともあれ終値で日経平均は再び25日移動平均線の上に顔を出してきた。

きょうの相場のポイントは米株価指数先物ではなく、取引時間中の中国上海株市場の異彩の強さ、そしてそれに追随するアジア株高だった。上海総合指数は5連騰で上げ足を一気に加速、18年3月中旬以来約2年4カ月ぶりに3300台を回復した。6月末に施行された香港国家安全維持法が米中関係の先鋭化をもたらすなか、市場では「ここで株価が大きく下がったら、習近平政権は弱り目に祟り目なってしまう。何としても強い中国を鼓舞することに対する政府の思惑が働いている」(国内中堅証券アナリスト)と指摘する。中国人民日報系の証券時報が株高を支持する論陣を張り、「これに呼応する形で中国の公的資金が政策買いを入れている」(同)という。

結果的に、この中国発アジア株高の動きをみながら米株価指数先物が買われ、世界株高ムードのなかで、日本株もその波に乗る形となった。東証1部の値上がり銘柄数は1900近くに及び、率にして87%の銘柄が上昇しており、ほぼ全面高様相といってよい。マザーズ市場も相対的に上値が重いとはいえ買いが優勢。影響力の大きいアンジェス<4563>は目先筋の戻り売りに下値を試す動きが続いたが、売りが波及したのはテラ<2191>やプレシジョン・システム・サイエンス<7707>などの“大化け組”に限られ、バイオ関連全般で見れば売りは広がっていない。きょうはマザーズに上場する銘柄のほぼ8割が上昇した。個人的には要警戒との見方を変えていないが、思った以上に足腰は強い。きょうは同市場の直近IPO銘柄もロコガイド<4497>がストップ高を演じるなど気を吐いた。

このほか個別では半導体関連が引き続き強い。目先高値警戒感から一本調子には行かないが、押し目を拾えば報われる可能性が高いことは、これまでの相場の経緯が証明している。シンボルストックの東京エレクトロン<8035>は機関投資家に任せて、個人はこの流れに乗る中小型株の成長性の高い銘柄、もしくは波動的に出遅れているものを狙っていくスタンスでよいと思われる。継続注目してきたマルマエ<6264>や野村マイクロ・サイエンス<6254>は既に株価位置を大きく変貌させたが、まだ太刀先が伸び切った感触はない。

これは東京エレクトロン<8035>の傘下にある東京エレクトロン デバイス<2760>や化合物半導体に特化した製造装置を手掛けるサムコ<6387>などにも言えることで、これから本領を発揮しそうな気配が漂う。値幅効果を享受するためには噴き値を買わず押し目買いに徹することだ。

このほか半導体リードフレーム大手の三井ハイテック<6966>も適度に押し目を形成しながらジリジリと水準を切り上げている。出遅れ組では独立系半導体商社でテキサスインスツルメンツなどの外国製商品を扱う丸文<7537>が挙げられる。同社株は無線給電技術のIPベンダー米オシア社との戦略的提携発表を受け急動意した後、調整を入れているが、500円台半ばでの瀬踏みは魅力的な水準にみえる。

半導体以外では株式分割により値ごろ感が改めて意識されるノムラシステムコーポレーション<3940>を継続注目。独SAPのERPソフトに特化したシステム導入コンサルを展開するが、足もとの業績は好調で株式分割実施前の6月23日につけた高値785円(分割後修正値で392.5円)は早晩奪回してくるイメージがある。

日程面では、あすは5月の家計調査、5月の景気動向指数など。また30年国債の入札も予定されている。IPOが1件あり、東証マザーズにBranding Engineer<7352>が新規上場する。海外では豪中銀やマレーシア中銀が政策金利を発表する。

(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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