雨宮京子氏【大幅高の日経平均、ここからの投資戦略を読む】(1) <相場観特集>

特集
2020年7月6日 18時30分

―新型コロナ感染拡大でも崩れない流動性相場どこまで―

6日の東京株式市場は大きく買い優勢に傾き、日経平均株価は400円高超に買われた。前週末の米国株市場は休場であったため、手掛かり材料に事欠いたものの、取引時間中は中国上海株や香港株をはじめアジア株が大きく上昇したことなどが投資家心理を強気に傾けた。外国為替市場では足もと円安が進行しており、これも東京市場では主力株中心に追い風材料となっている。ここからの株式市場の見通しのほか、相場にも大きな影響を与える為替の動向について、それぞれ業界第一線で活躍する市場関係者に話を聞いた。

●「流動性相場で上値2万3000円台半ばか」

雨宮京子氏(SBI証券 投資情報部 シニア・マーケットアドバイザー)

全体相場は強弱感が対立するなか、総論として方向感のつかみにくい地合いにある。米国などで新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、警戒感は拭えない。また、今週は8日と10日にETF分配金に絡む先物売り圧力が金額ベースで8000億円から1兆円出る可能性があり、これは株式需給面からは逆風材料として意識される。今月末からは企業の4~6月期決算発表シーズンに突入することで、この結果を見極めたいとの思惑から積極的な買いは入れにくいという面もある。

しかし、世界的な金融緩和政策を背景とした流動性相場が続くなか、大きく売り叩かれるような地合いでもない。FRBを筆頭に世界の中央銀行の緩和的政策が下値を支える構図に変化はなさそうだ。基本的に底堅い状況が続くのではないか。下値メドは2万700円前後、対して上値メドは2万3500円近辺とみている。

個人投資家の物色意欲は旺盛であり、直近IPO銘柄については目先波乱展開で高値をつかんでしまった向きも出ているようだが、ITや半導体関連を軸にバイオ関連の一角や新型コロナ対策に絡む銘柄などは日替わりで人気化するものが相次いでいる。これらの銘柄の回転が効いているうちは個別株物色の流れが途絶えることはないとみている。

個別では、企業のテレワーク導入の動きが加速するなか、デスクやデスクチェアなどの伸長が期待できる島忠 <8184> や、5G関連の一角として注目される金属表面処理加工の山王 <3441> [JQ]、また、大阪大発のバイオベンチャーで再生誘導医薬の開発に市場の期待が集まるステムリム <4599> [東証M]などに上値妙味が大きいと思われる。また、熊本の大雨被害が深刻な被害をもたらすなか、その復興を担う建設関連株の一角もマークしておきたい。地盤改良など特殊土木で実績の高いライト工業 <1926> や、地質調査の首位で幅広く建設コンサルタントを展開する応用地質 <9755> などに目を配っておきたい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(あめみや・きょうこ)

SBI証券 投資情報部 シニア・マーケットアドバイザー。元カリスマ証券レディ。日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスターなどを経て現在に至る。

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