「テレワーク時代」本格始動! 株価3ケタ台の“隠れ本命株”リスト <株探トップ特集>

特集
2020年7月11日 19時30分

―新型コロナ感染拡大で変わる世界、加速するリアル空間からの決別で買われる株―

3月下旬を底値に6月初旬にかけ目の覚めるような戻り相場を演じた東京株式市場だったが、ここ1ヵ月ほどは強弱感が対立し全体指数はもみ合い局面を強いられている。株価急回復局面では、各国政府による積極的な財政出動と中央銀行による超金融緩和的措置が、マーケットに強力な援軍となった。だが一方では、これまでの経緯から新型コロナウイルスが人類にとって一筋縄ではいかない強力な敵であるということも改めて認識されている。

米国では南西部の州を中心に新型コロナの感染者数が記録的な増加をみせており、経済活動停止への警戒感が再び高まっている。日本でも対岸の火事とはいえず、都内での1日の感染者数がついに連日で200人を大幅に超えてきた。緊急事態宣言が再度発令されてもおかしくない状況下で株式市場も下値リスクに身構える場面が続いている。

●新型コロナがもたらした「新常態」で勝ち組探し

しかし、必ずしも新型コロナによって収益成長力が減退する企業ばかりではない。コロナ耐性の強い企業、あるいは新型コロナがもたらした経済の新しい枠組みのなかで商機を捉える企業も数多く存在している。株式市場でも「ニューノーマル(新常態)」が次の世界を支配する底流テーマであるということが、投資家の意識に浸透し始めた。既にウィズコロナ・アフターコロナ時代をにらんだ銘柄選別が始まっている。

新型コロナショック後の株式市場で投資テーマとして常に脚光を浴びてきたのがテレワーク関連である。官民を挙げたデジタルシフトの動きが喫緊の課題として意識されるなか、テレワークはこれまでにもデジタルトランスフォーメーション(DX)の一翼を担う業務形態として一部で取り入れる動きはあった。しかし、少なくともマジョリティーではなかった。ところが、周知の通り足もとではテレワークを導入する企業が怒涛の勢いで増えている。

●社会の仕組みそのものが変わってしまう衝撃

その流れを決定的に印象づけたのが富士通 <6702> だ。日本のDX推進の旗頭でもある同社は、テレワークを新型コロナ収束後も基本的な働き方にすることを発表した。通勤定期代の支給をとりやめ実費精算とするかわりに、在宅勤務でかかる通信料や光熱費を補助するという。オフィスに出勤する社員が減ることから、国内のオフィス面積も半減させる方針を示しているほか、小型オフィスの設置及び全席をフリーアドレスにする計画を打ち出しており、その本気度がうかがわれる。おそらく、大手IT企業を中心に、この富士通の英断に追随する動きが今後出てくる可能性が高い。

また、新型コロナの影響から最近では冠婚葬祭もリモートで行われる一種の社会現象が起きている。祝儀をクラウドファンディングで集める結婚式などもひとつのトレンドを形成する可能性があるという。テレビなどの映像メディアでもソーシャルディスタンスの徹底と、リモートの活用が既に企画演出の一部となっているような状況だ。最近では飲み会やパーティーなどもリモート化に違和感を伴わない風潮となってきた。これまでリアル空間で人間同士が集まってコミュニケーションを図るしかないと思われていたシーンが、実はそうではなかったという衝撃。人類の歴史的見地からも、これまでの常識がコペルニクス的に覆されようとしているといっても過言ではない。

テレワーク関連では純粋にそのシステムを提供する企業が特需を得るということにはならない。むしろそこから派生する市場のほうがはるかに大きい。テレワークの推進は世界的な流れであり、これに伴うデータセンターの増設需要が半導体市況の回復と同関連株の上昇を後押しするというのは最も顕著な例だ。テレワークがもたらす社会変革で大相場の可能性をはらんだ有望株が意外なところから輩出される可能性もある。

●1000円未満で変身余地内包する5銘柄

今回はテレワーク導入加速の流れに乗り、収益機会を膨らませている銘柄に照準を合わせたが、ポイントとなるのは値ごろ感。相場が発展途上にある株価3ケタ台の中低位株から注目必至の5銘柄を選りすぐった。

◎MCJ <6670> [東証2]

パソコン関連製品の受注生産を手掛けネットで直販するビジネスモデルで高成長トレンドをまい進。テレビコマーシャルなどで認知度を高めた「マウス」ブランドを主力に、ユニットコムやテックウインドなどパソコン関連の有力子会社を数多く擁している。新型コロナの影響で企業のテレワーク導入の動きが加速するなか、それに伴うパソコンの在宅勤務特需が収益に追い風となっている。また、企業価値向上と同時に社会的価値の向上を図るESGにも積極的に取り組み、年金系資金など機関投資家が重視する投資ニーズにも対応している。20年3月期業績は2ケタ増収を確保し、営業利益は137億600万円と前の期比4割超の増益を確保。21年3月期業績予想は非開示ながら、成長トレンドは継続する見込み。配当利回りなど株価指標面からも割安感がある。

◎アイティフォー <4743>

金融機関を主要顧客にネットワークの構築や債権管理システムに優位性を持つ独立系システムインテグレーター。主力パッケージ商品である個人ローン業務支援システムなどが収益に寄与している。政府が推進するキャッシュレス普及に向けた政策にも乗っており、キャッシュレス決済端末では従来の据え置き型やモバイル型マルチ決済型端末に加え、クレジットカードのコンタクトレス決済やQRコード決済に対応した無人販売用の組み込み型端末の開発に着手している。新型コロナの感染拡大を背景にテレワーク導入の動きが広がるなか、コンタクトセンターの在宅化に対応した「在宅コンタクトセンターソリューション」なども時流を捉えたサービスとして注目される。小売業界向けPOSソリューションでも強みを発揮、リテールテック関連としての側面も持つ。コロナ禍にあって21年3月期は減収を見込むが、営業利益段階では増益基調をキープする見込み。

◎ワイヤレスゲート <9419>

複数の通信会社から回線を借りて公衆無線LANやWiMAXサービスを提供するビジネスを展開している。企業のテレワーク導入加速に伴いネット接続ニーズが急拡大していることが、同社の収益環境にフォローの風となっている。WiMAXについては建設現場や病院、美容室・ネイルサロンといった法人向けも深耕する構え。また、同社のIoT子会社であるLTE-Xは、安全かつ低コストで実現できるリモートワークソリューションを提供し、在宅勤務拡大の流れを捉えている。20年12月期業績は訪日客向けSIMが落ち込むものの、それを補ってあまりあるテレワーク関連特需が利益押し上げ要因となり、営業利益は前期比55%増の1億5000万円を見込む。同社株に対する投資信託などからの実需買いニーズも旺盛とみられ、投資運用会社を通じた買い増しの動きなどが顕著。

◎カナミックネットワーク <3939>

医療や介護事業者向けに特化したクラウドサービスを展開するが、業績成長路線をまい進している。クラウドサービスは新型コロナ対策の政府補助金対象として追い風が吹く。新型コロナ感染症対策として屋内空間除菌装置も販売し“3密”回避に向けた対策ニーズを取り込む。医療・看護・介護・保育等事業者における契約書締結作業の効率化とテレワークの推進を目的に、弁護士ドットコム <6027> [東証M]とは電子契約「クラウドサイン」でのシステム連携及び販売で提携、新型コロナの影響もあって同サービス分野の成長余地は大きい。このほか、自治体向けに独自AIを活用した「要支援要保護児童等リスクアセスメントAI評価システム」を販売するなどビジネス領域は幅広い。業績も好調でトップラインは2ケタ伸長が続いており、20年9月期売上高は前期比10%増の18億6000万円、営業利益は同12%増の6億1000万円を見込んでいる。

◎ノムラシステムコーポレーション <3940>

独SAPのERPソフトに特化する形で戦略的システム導入コンサルティングを手掛けるほか、同社オリジナル開発のテンプレートも好評を博している。RPA ビッグデータなど次世代コンサル分野での受注開拓も進めており、企業のDX投資の担い手として収益機会を広げている。新型コロナの感染拡大を契機としたテレワーク需要の拡大に伴いRPAの活用が改めて見直されているが、これは定型的な業務をRPAで自動化することによって人員を節約し、より付加価値の高い業務にマンパワーをシフトすることが可能となるため。そうしたニーズに同社は機敏に対応し、RPA事業に重心を置く経営で商機を捉える。20年12月期営業利益は前期比14%増の3億7900万円を見込むが上振れる可能性がある。株式分割実施により株価300円台と買いやすくなったことも人気につながっている。直近動意づいているが押し目狙いで臨む。

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